【北九州記念】トレンドは過去4年で3勝の「6歳馬」 昨年2着ファストフォースに期待

門田光生

過去10年の北九州記念の年齢別成績,ⒸSPAIA

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差しが届くレース?

2022年8月21日に小倉競馬場で行われる第57回北九州記念。小倉競馬場といえばスパイラルカーブを採用している影響なのか、外を回っても差し届くイメージがある。そのせいか、このレースも追い込み馬が台頭しているイメージが強い。

過去10年のデータで調べてみると、逃げ0勝、先行4勝、差し5勝、そして追い込み1勝。そこまで偏ってはいないが、1200mで逃げ馬が勝っていないということは、やはりスピード一辺倒では厳しいということなのだろう。

ただ気になるのは、小倉開催が休みを挟んでいること。馬場の傷みが回復していれば、当然ながら例年以上に先行馬が有利となる可能性も十分ある。2020、2021年も同様に休みを挟んで開催されたが、逃げ馬のモズスーパーフレアが2020年2着、2021年3着と粘りこんでいる。

今年も逃げ馬の動向は気になるが、それはひとまず置いておいて、いつも通り過去10年の成績を基にして傾向を調べていきたい。

北九州記念出走馬の所属,ⒸSPAIA
北九州記念出走馬の性別,ⒸSPAIA
北九州記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
ひと昔前に比べて、美浦所属馬が小倉競馬場に滞在するケースが極端に減っている。その影響もあるようで、過去10年で美浦所属馬は6頭しか出走していない。関東馬で馬券に絡んだのは、2016年の1着馬バクシンテイオーだけ。

性別は牡馬・セン馬、牝馬とも10連対(5勝)ずつとほぼ互角。出走頭数の関係で、勝率、連対率だとやや牝馬優勢となっている。

年齢別で最も活躍しているのは4歳馬。3勝、2着2回で、勝率、連対率ともにほかの世代を大きく上回っている。連対数が一番多いのは8連対(2勝)の5歳馬。3歳馬は長い間勝っていなかったが、昨年ヨカヨカが勝利。1993年のシルクムーンライト以来、実に28年ぶりの快挙であった。7歳以上で連対したのはただ1頭で、それが関東馬唯一の馬券絡みでもあったバクシンテイオー。この馬は例外として扱っていいかもしれない。

北九州記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
北九州記念出走馬の主な前走,ⒸSPAIA
北九州記念出走馬のハンデ,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走、ハンデ
最も連対数が多いのはGⅢ経由組の10連対(6勝)。レース別だと、6連対のアイビスSD(3勝)、そして4連対のCBC賞(3勝)が主なところ。ただし、函館SSだけは【0-0-0-7】ですべて馬券圏外だ。

また条件組も頑張っており、特に2勝クラスを走っていた馬は【1-1-0-0】。斤量は53キロ、55キロだから、決してハンデに恵まれたというわけではなかった。

そのハンデだが、いつも通り牡馬・セン馬と牝馬に分けて考える。勝ち馬が出ているのは、牡馬・セン馬だと54~57キロの間のみ。牝馬では55キロ以下となっている。

北九州記念出走馬の前走場所,ⒸSPAIA


☆前走場所
前走場所で相性がいいのは、7連対(3勝)の新潟と、6連対(3勝)の小倉。特に小倉は勝率18.8%、連対率37.5%とともに優秀だ。

北九州記念におけるプラスデータ,ⒸSPAIA
北九州記念におけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他のデータ
そのほかで気になったデータをいくつか挙げていこう。まず前走着順では、1着馬が【4-8-2-21】でほかの着順と比べて好成績を残している。前走人気だとさらに顕著な傾向が出ており、1番人気だった馬は連対率43%超え。牝馬に限ると連対率50%となる。

あとローテーションでは、中3週で挑んだ14頭はすべて着外。また、前走から距離短縮してきた馬は連対率5.6%で、同距離や距離延長組に比べて好走確率がガクッと下がってしまう。

4歳馬優勢のデータだが……

では、北九州記念のデータをまとめていこう。まず好走確率が上がるデータはA「4歳馬」B「前走が2勝クラス、またはGⅢ」C「前走が小倉、または新潟」D「前走1着馬」E「前走1番人気(特に牝馬)」。

好走率が下がってしまうのはF「7歳以上」G「前走から距離短縮」。連対がないのはH「前走が函館SS」I「中3週」となる。

今回は3つのプラスデータを持っている馬が最有力となる。その中で、連対率40%を超える強データE「前走1番人気」を持つのはアネゴハダ、カフジテトラゴン、ディヴィナシオン、ナムラクレアの4頭だ。ディヴィナシオン以外の3頭は牝馬で、連対率50%のデータに該当する。

牡馬のディヴィナシオンは連対がないI「中3週」での出走なので、残り3頭を検討する。まずカフジテトラゴンだが、前例のない1勝クラス経由でデータ的には未知。また、ナムラクレアは連対がないH「前走が函館SS」で消える。

残ったアネゴハダは3歳牝馬、そしてCBC賞で負けての参戦。これは昨年の優勝馬ヨカヨカと同じパターンである。というわけで今回の本命馬はアネゴハダに決定したい。……と、ここまで書いておいて登録馬の出走順を調べてみたら、アネゴハダは19番目(出走可能頭数18頭)だった。出走してくれば最有力候補としつつも、除外候補の馬を本命とするわけにもいかない。別の視点から今回の登録馬たちを見直してみよう。

気になったのは年齢。最も好走率が高い4歳馬は5歳や6歳に比べて出走頭数が少ない傾向にあるものの、登録22頭に対して2頭だけというのは少なすぎる。思えば、昨年も1頭(10着ボンボヤージ)しか出走していなかった。直近4年は連対しておらず、近年は不振傾向だ。

逆に最近調子がいいのは6歳馬で、ここ4年で3勝、5年連続で馬券に絡んでいる。6歳馬でプラスデータを複数持っているのはスワーヴシャルルとファストフォース。この2頭は圏内争いが十分可能だろう。

ともに好相性の新潟&小倉経由組になるが、勝率、連対率ともに小倉組の方が大きく上回っている。また、スワーヴシャルルと同じ前走ダート組は、サンプルは少ないが【0-0-0-2】で高評価を与えづらい。というわけで、紆余曲折を経て本命はファストフォースに変更。昨年の2着馬で、小倉芝では6戦4連対と心強い。

アネゴハダと同様に除外対象だが、カフジテトラゴンには印を入れたい。あとはプラスデータが3つで、マイナスデータがない3歳牝馬テイエムスパーダ、そしてアイビスSD組もよく馬券に絡むということで、レジェーロにも印を加えておく。

◎ファストフォース
◯スワーヴシャルル
▲テイエムスパーダ
△レジェーロ
☆アネゴハダ
☆カフジテトラゴン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
コロナで全体の感染者数を発表するか、しないか議論されているようですが、感染者を全く知らない状態なら、気にせず旅行や飲み会に出かけてしまいそうです。抑止力という点では発表に効果がありそうなのですが、何が正解なのか、いまだに分かりませんね。

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