【北九州記念】今年は堅調? 勢いに乗る3歳勢が有力も、侮れないシンシティとタイセイビジョン

勝木淳

北九州記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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1番人気は2着3回のみ

夏競馬には人気が割れ、頭を悩ます重賞が多いが、そんな中でも北九州記念は屈指の難問。舞台は小倉芝1200m。ハンデ戦、馬場読みと読み解かなければならない要素が多い。今年は活況な3歳馬が揃い、例年ほど人気は割れない公算が高く、すんなり決着する可能性もあるが、はたして本当にそうなるだろうか。各馬の近況をしっかりおさらいして、挑みたいところだ。データは過去10年分を使用する。


過去10年北九州記念人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【0-3-0-7】複勝率30.0%でこの10年未勝利。馬券圏外7回とアテにならない。さらに3着以内30頭のうち、3番人気以内はたった9頭。占有率は30%と低い。6番人気以内は互角で、8番人気が【4-0-0-6】勝率、複勝率40.0%、10番人気以下は1着こそないが、【0-3-3-74】複勝率7.5%と油断ならない。


過去10年北九州記念年齢別成績,ⒸSPAIA


3歳は【1-2-2-16】勝率4.8%、複勝率23.8%。昨年までは不振と表現されていたが、昨年ヨカヨカが勝利し、風向きは変わった。前走古馬相手にスプリント重賞を勝ったナムラクレア、テイエムスパーダはこの流れに続けるか。古馬勢は4歳【3-2-4-17】勝率11.5%、複勝率34.6%を筆頭に5歳【2-6-1-40】勝率4.1%、複勝率18.4%、6歳【3-0-3-37】勝率7.0%、複勝率14.0%と幅広く好走。スプリント戦でも年齢で見限るのは危険。


不振データありも、ナムラクレアは消せない

過去の傾向としては人気も年齢も偏りがなく、どこからでも入れる。人気を頼りに買えない分、しっかり各馬の近況を確認したい。


過去10年北九州記念前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まず実績最上位の前走GⅠ【0-1-2-7】複勝率30.0%について。難解だからこそ、わかりやすく最上位クラスからここに来る馬を主軸に考える手はありそうだ。高松宮記念は【0-1-1-3】複勝率40.0%。今年は11着だったジャンダルムがいる。年齢は気になるが、今年はオーシャンSで約4年5カ月ぶりに重賞Vと衰えていない。ただし、好走2頭は高松宮記念5着以内。着外3頭はいずれも前走10着以下だった。


過去10年北九州記念前走GⅢレース別成績,ⒸSPAIA


好走馬の多くを占める前走GⅢ【6-4-5-73】勝率6.8%、複勝率17.0%はその内訳がわかりやすい。前走アイビスSD【3-3-2-31】勝率7.7%、複勝率20.5%、CBC賞【3-1-3-33】勝率7.5%、複勝率17.5%と本州で行われるサマースプリントシリーズが双璧。反対に函館SS【0-0-0-7】と好走がない。ナムラクレアはここに当たる。しかし、これをもってナムラクレア消しは危険すぎる。なぜなら、前走函館SS7頭のうち、前走2着1頭以外はみんな前走6着以下。函館SS組は凡走馬ばかりであり、これがナムラクレアに当てはまるとは言えない。

ナムラクレアのこのローテは早い段階から決まっていたローテでもあり、冷静に考えたい。函館SSは前後半600m32.8-34.4、1.07.2の好記録。3番手から抜け出し、2着に2馬身半差は決定的。抜けた存在ともいえる。


過去10年北九州記念前走アイビスSD着順別成績,ⒸSPAIA


では話をアイビスSDとCBC賞に戻す。まずアイビスSDの着順別成績は勝ち馬【1-2-0-1】が成績をけん引も今年は不在。2着シンシティ、4着レジェーロがスタンバイ。前走アイビスSD2~4着は【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%。なんとも言えない数字なので、別の面から見ていく。アイビスSDでの位置取り別成績は後方が【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%。直線競馬でついていけなかった馬が芝1200mで巻き返すのはよくあることだ。

もっとも今年のアイビスSDは前半400m11.8-10.0で21.8とハロン平均11秒を切る競馬で差し追い込み優勢。であればむしろハナに行ったシンシティを評価したい。


過去10年北九州記念前走アイビスSD着順別成績,ⒸSPAIA


続いてCBC賞について。昨年は同舞台で行われ、1着ヨカヨカ、2着ファストフォースを輩出。それぞれCBC賞5、1着だった。着順別成績は1着【1-1-0-0】など好成績で5着以内の好走馬がいい。今年は1着テイエムスパーダ、2着タイセイビジョン、3着アネゴハダ、5着メイショウチタンが該当。昨年と同じ1、5着の組み合わせもあるか。なお前走CBC賞2着は【0-0-0-5】と案外だが、これもタイセイビジョン消しの根拠にするのはためらう。

というのも今年のCBC賞は、テイエムスパーダが前後半600m31.8-34.0で逃げきり、1.05.8という驚異的な記録を叩き出したレース。小倉の芝が北九州記念の時点で高速馬場かどうかは見極めたい。昨年はCBC賞1.06.0、北九州記念はやや重で1.08.2。馬場は変化していた。

テイエムスパーダは昨年のファストフォースに重なり、ここでもそれなりの評価は必要だろう。また、前半600m31.8とテイエムスパーダがぶっ飛ばしたレースで、追走する他馬も脚がなくなる競馬。ほとんどの馬が後半600m34秒を切れないなか、33.5で猛追したタイセイビジョンは評価できる。昨年、函館2歳S以来久々の1200m戦出走だったCBC賞は4着。今年はそれを上回っており、短距離の差し馬という形が板についてきた。ここも流れが向けば好走はある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


北九州記念インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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