【クイーンS】1番人気超堅実! 再出発3歳ウォーターナビレラ、古馬勢からはラヴユーライヴに注目
勝木淳
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1番人気の3着以下は1回
6月マーメイドSから10月府中牝馬Sまで古馬牝馬路線の重賞はこのクイーンSしかない。賞金加算が必須という勢力にとっては貴重な重賞である。また、秋のエリザベス女王杯を目指すにあたり、前哨戦である府中牝馬Sは本番までの間隔が詰まると考えると、牡馬相手の中距離重賞かここに出走するかという選択肢になる。とかく牝馬は詰まった間隔を嫌う昨今、サマー2000シリーズや9月オールカマーの役割が増すとともに、クイーンSも相対的に存在感を増しつつある。
ここから直行は少し間隔が開くきらいもあるが、ここを使うことで本番に向けて選択肢が広がる。陣営にとって各馬に合わせた道筋を選ぶには、その選択肢は多いに越したことはない。ここでは函館施行の2回を含めて過去10年間のデータを検証する。
1番人気【4-3-2-1】勝率40.0%、複勝率90.0%で堅調。函館に比べるとコーナーが緩く、紛れが少ない札幌、それも芝の状態がいい開幕2週目とあって、基本的に波乱は少ない。着外は17年ヴィクトリアマイル勝ち馬アドマイヤリードのみ。一方、対抗格が頼りなく、2番人気【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、3番人気【1-0-1-8】勝率10.0%、複勝率20.0%。4番人気や8番人気など伏兵の激走もちらほら。1番人気以下はシビアに考えたい。
今年は桜花賞2着ウォーターナビレラに注目が集まりそうだが、3歳は【2-0-1-9】勝率16.7%、複勝率25.0%で好成績。やはり斤量面の影響は大きい。ついで4歳【5-5-2-28】勝率12.5%、複勝率30.0%の成績がよく、若い組が優勢。やはりここで賞金を積んで、いざ秋へという意気込みが必要なようだ。一方ベテランも6歳【2-0-0-19】勝率、複勝率9.5%と一発に注意だ。
札幌得意ラヴユーライヴの巻き返し
1番人気堅調、3、4歳優勢といった傾向からウォーターナビレラが当てはまってきそうな気配はあるが、ほかにも候補がいないか、前走成績から掘り下げてみたい。
まずは前走クラス。前走GⅠ出走は【6-4-5-18】勝率18.2%、複勝率45.5%。春に格上のレースに挑戦した馬の成績がいい。ウォーターナビレラもここに該当。そのオークスは【1-0-1-6】勝率12.5%、複勝率25.0%。この数字、案外ともとれるが、好走2頭は12年アイムユアーズ1着とミッドサマーフェア3着。少し古い記録だが、2頭のオークスでの着順は4、13着。その1、2着はジェンティルドンナとヴィルシーナのハイレベル。今年のオークスも後半800m11.6-11.3-11.7-11.8、ゴールまでラップが落ちない厳しい競馬だった。大敗からの巻き返しも十分あるのではないか。
一方、古馬となると、前走Vマイル【4-4-4-9】勝率19.0%、複勝率57.1%で最有力。その着順別成績は4着以内の好走組は数も少ないが結果を出している。また5着以下がよく、とくに6~9着は【2-1-2-1】勝率33.3%、複勝率83.3%と目立つ。ただ今年、ここに当てはまる馬はおらず。10着以下【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%から昨年1、2着テルツェット、マジックキャッスルや春に阪神牝馬Sを勝ったメイショウミモザが出走予定。4着ローザノワールと合わせて、このあたりは候補だろう。
続いて前走GⅢからマーメイドS【2-2-2-16】勝率9.1%、複勝率27.3%について。ハンデ戦で波乱傾向のマーメイドS組の特徴は負けた組の巻き返しが目立つこと。6~9着【1-1-1-3】勝率16.7%、複勝率50.0%。6着ゴルトベルク、7着ルビーカサブランカなどが該当する。10着以下【1-0-0-3】勝率、複勝率25.0%まで広げると、ラヴユーライヴもいる。
ハンデ戦のマーメイドSとの関係を斤量から探る。別定にかわった今回斤量増減なしは【0-0-0-3】、斤量増【2-1-2-11】勝率12.5%、複勝率31.3%、斤量減【0-1-0-2】複勝率33.3%。ゴルトベルクとラヴユーライヴが浮上する。後者は札幌の芝中距離で1、2勝クラスを突破したコース巧者。注目したい。
最後に夏らしく、前走条件戦からここに挑戦する馬について。その距離別成績を出すと、同距離の1800mが【0-0-1-18】複勝率5.3%と不思議と好走確率が低い。狙うなら距離変化をつけてくる組。延長も短縮も複勝回収値は230、118。好走は8、9、10番人気。出走馬にいるようなら、穴候補に入れておきたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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