【オーシャンS】超がつく大混戦! 一歩リードは5歳勢も逆転ならファストフォース
勝木淳
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波乱気配漂うも、1番人気は堅実
20年にダノンスマッシュ、タワーオブロンドンが参戦し、レースレベルがあがったこともあるものの、関東圏の高松宮記念ステップレースは毎年混戦模様。今年は昨年の春秋スプリント王が不在のため、短距離戦線そのものが混沌とした状況にある。混沌の中の混戦はもはや混乱に近い。馬券妙味を感じずにはいられない一方、難問すぎて当たる予感もない。なんとか過去10年間のデータから正解へのヒントを見つけたい。
まず人気別成績から。7番人気【1-0-2-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、10番人気以下【2-1-1-66】勝率2.9%、複勝率5.7%など同日チューリップ賞では見られない数字が多く、波乱決着の予感は高まるものの、1番人気は【3-3-1-3】勝率30.0%、複勝率70.0%と頼りになる。いっそ、混乱するぐらいなら1番人気を軸に置いた総流しでもいいぐらい。また2~5番人気も【3-6-3-28】勝率7.5%、複勝率30.0%で、人気が割れる傾向にありながらも、上位人気を過度に嫌う必要はなさそうだ。
スプリント戦といえばスピードに長けた若い馬優位と考えがちだが、4歳【2-1-2-24】勝率6.9%、複勝率17.2%に対し、5歳【6-2-4-32】勝率13.6%、複勝率27.3%、6歳【1-5-1-26】勝率3.0%、複勝率21.2%と年上が優勢。スピードも必要ながら、最後に急坂がある中山はパワーも欲しい。7歳以上も【1-2-3-48】勝率1.9%、複勝率11.1%と簡単には切れない。
巻き返しを期待するならファストフォース
年齢別に大きな差がない以上、ここからは年齢別に好走ゾーンについて前走距離からしっかり考えてみたい。
4歳の前走距離別成績に注目。同距離1200mだった馬は【2-0-1-16】勝率10.5%、複勝率15.8%と悪くないが、本当なら1400m【0-1-1-1】が面白い。数こそ少ないが、4歳は短縮を狙いたいところ。ただ今年の4歳勢には該当馬が不在。前走1200m出走馬を買えないわけではないが、データとしては強調しづらい。
5歳は前走1200mが【5-2-3-25】勝率14.3%、複勝率28.6%で買いやすい。勝ち馬の半数は5歳、前走1200mというプロフィールの馬なのだから、しっかりピックアップしたい。スマートクラージュ、ビアンフェなど上位人気候補に該当馬が多い。詳しく内訳をみると、シルクロードS【2-1-1-10】勝率14.3%、複勝率28.6%、淀短距離S【0-0-0-2】。
では5歳、前走1200m組についてその着順別成績をみてみよう。1着【2-0-1-4】勝率28.6%、複勝率42.9%なので、スマートクラージュはこのデータから十分戦える。一方、シルクロードS組のビアンフェが当てはまる6~9着も【2-0-0-4】勝率、複勝率ともに33.3%で極端な成績ながら悪くない。この2頭はまず買い目に入れたい。
では6歳はどんな傾向なのか。同じように前走距離別成績を出すと、1200mは【1-3-1-21】勝率3.8%、複勝率19.2%と5歳ほど確率は高くない。ナランフレグ、マリアズハートなどを買うならば、前走1400m【0-2-0-4】複勝率33.3%からファストフォースを狙いたい。阪神Cこそ7着と崩れたが、1200mかつGⅠを除く重賞だと、昨夏から1、2、3着と堅実。前走7着で人気が落ちるようなら、むしろ買いではないか。
最後に7歳以上のベテラン勢。こちらは前走1200mが【1-2-2-36】勝率2.4%、複勝率12.2%と好走馬の大半を占める。確率としては狙いにくいが、このうち前走2着が【1-1-0-1】、6~9着【0-0-1-8】複勝率11.1%、10着以下【0-1-1-17】複勝率10.5%。シルクロードS13着ジャンダルムなど好走の余地はあるものの、確率としては手を出しづらい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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