【オールカマー】 データ上は三強も本命は死角の少ないあの馬
門田光生
Ⓒ明石智子
かつては地方馬が活躍したレース
セントライト記念はポケットでうまく運んだリオンリオンが抜け出し、白帽子が2、3着に。典型的なイン競馬だった。◎に推したニシノデイジーは大外を回って伸び切れず。休み明けというよりコース取りの差が明暗を分けた印象。今回のセントライト記念は着順そのままの実力とは思えず、本番の菊花賞では、馬場次第では着順が大きく入れ替わる可能性は十分あるだろう。
さて、オールカマーといえば筆者の世代ではハシルショウグン、もっと前ではジュサブローやジョージモナーク。この3頭に共通するのはこのレースで好走した地方馬ということ。「All Comers(参加希望者全員)」というレース名だけあって、以前は地方招待競走として、中央馬と地方馬がしのぎを削ったレースだった。
現在も地方馬は出走可能だが、1995年に招待制度を廃止し、代わりに外国馬に門戸を開いた。その結果、地方馬の出走はほとんどなくなり、期待された外国馬の参戦もなし。それでも、秋のGIにつながるステップレースとしての役割は変わっていない。
余談だが、過去のレース結果を調べていると、1970年にマキノホープという馬が勝っている。この馬の馬主、実は後の第64、65代内閣総理大臣を務める田中角栄氏。現在でも馬主をしている政治家はいるが、これほどの大物が馬を持っていて、しかも重賞勝ちしているとは知らなかった。
実績馬を狙え
GIを狙う馬が多く出走してくるこのレース。当然ながら秋はここから始動という馬が多い。その結果はというと、過去10回分のデータを見れば一目瞭然。
10週以上開いた馬、つまり夏場を休養に充てた馬の成績がいい。さすがにGⅡ、しかもGⅠへのステップレースともなると、夏場に条件やオープンを勝った勢いだけでは通用しないようだ。
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上記の表も実績馬有利を裏付けるデータといっていいだろう。前走でGIを使った馬の率がすばらしくいい。26頭いて連対率5割超えは信頼に値する数字だ。逆に条件戦やオープン特別を経由するとガクンと率が下がる。素直にGI経由の馬狙いが正解。
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続いて脚質。先行馬の数字がいい。合わせて中山芝2200m全体の脚質のデータも調べてみたが、傾向はほぼ同じ。先週のセントライト記念もそうだったが、この条件は先行有利とみて間違いない。
結論は三強
今回はシンプル。
①休み明けが有利
②前走GI出走
③先行馬
となる。
10頭と頭数的にはさみしいが、ダービー馬と海外GI馬が出走することを思えば少数精鋭ともいえなくはない。
①②③の全てを満たしているのは3頭。ウインブライト、スティッフェリオ、そしてレイデオロだ。3頭とも牡5歳。後は好みの問題になってくるが、ウインブライトは勝ち鞍が全て2000m以下、そしてスティッフェリオは中山に好実績なし。となると、死角が少ないレイデオロ中心が妥当という結論。
馬券はレイデオロからウインブライト、スティッフェリオへ。縦目も少々押さえる。配当的な妙味は少ないが、ここは確実に当てておきたい。
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《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
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