【阪神JF】京都芝マイルは末脚が生きる舞台 東大HCの本命は決め手あるコートアリシアン
東大ホースメンクラブ
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2歳女王決定戦
今週日曜日、京都競馬場でGⅠ・阪神JFが行われる。アルテミスSの勝ち馬ブラウンラチェットに2着馬ミストレス、8年ぶりに牝馬でデイリー杯2歳Sを制したランフォーヴァウ、そしてアメリカからはメイデイレディがデットーリ騎手とともに参戦。フルゲート18頭が揃った。
昨年は連対馬2頭が桜花賞でもワンツーを決めるなど、クラシックとの相関が強いレース。今年は1990年以来の京都開催。これがどう影響するかも気になるところだ。過去10年の本レース、そして京都芝1600m世代限定重賞のデータから考えていく。
中心は重賞連対組
まずは前走クラスとその着順別成績をみていく。
<阪神JF 前走クラスと着順別成績>
新馬、未勝利【0-1-0-22】勝率0.0%/連対率4.3%/複勝率4.3%
1勝CかOPで勝ち【2-5-1-36】勝率4.5%/連対率15.9%/複勝率18.2%
1勝CかOPで負け【0-0-0-20】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
重賞連対【8-2-7-33】勝率16.0%/連対率20.0%/複勝率34.0%
重賞3着以下【0-2-2-34】勝率0.0%/連対率5.3%/複勝率10.5%
※前走地方【0-0-0-3】
新馬、未勝利勝ちからの好走例は22年シンリョクカのみ。同馬は新馬戦を0秒6差で快勝していた。14年には新馬戦を0秒5差で勝利したロカが1番人気8着に敗れた例もあり、前走でよほどのインパクトを残していない限りは難しい。
同じく苦戦しているのが前走1勝クラスとOP組。勝ち馬はまだしも、そこで負けた馬は【0-0-0-20】で5着以内に入った例すらない。
1勝クラス、OP勝ち馬のうち、距離延長馬は【1-0-0-20】。短距離からの転戦は実らない。同距離組【0-4-1-14】、距離短縮組【1-1-0-2】が狙い目となる。また着差0秒0【0-1-1-15】、0秒1以上が【2-4-0-21】で着差を付けていた方が信頼度は高い。
最後に重賞組。最多の8勝を挙げており馬券に絡まなかった年はない。今年もここが中心となる。特に重賞連対馬は好走率が格段に上がる。アルテミスS連対馬は【5-2-2-7】と半数以上が馬券圏内に入り、ブラウンラチェット、ミストレスは評価できる。
ファンタジーSの連対馬は【2-0-1-14】。2着馬は全滅で1着馬は【2-0-1-5】。ただし本番で5番人気以下だと【0-0-0-4】、いずれも9着以下だった。人気にならない可能性が高いダンツエランも厳しいか。
その他で好走例があるのは、昨年勝ち馬アスコリピチェーノがとった新潟2歳Sからの直行。コートアリシアンは着順こそ違うが、新馬戦の内容が評価され1番人気だった点はアスコリピチェーノと共通している。チャンスありとみる。
重賞組も前走3着以下だと好走率が下がる。3着馬は【0-1-1-3】と最低限は結果を残しているが、4着以下は【0-1-1-31】と厳しい。
4着以下から巻き返した2頭(15年2着ウインファビラス、20年3着ユーバーレーベン)は、その前に重賞連対歴があった。重賞出走経験がある馬は、最低でも馬券圏内の実績が必要と考えたい。
例年より末脚重視
次に過去10年の京都芝マイル世代限定重賞14レースのデータを見る。阪神JFのデータとも比較し、傾向の変わる部分を補正したい。
<京都芝1600mの世代限定重賞、上がり3F順位別成績>
1位【8-2-4-1】勝率53.3%/連対率66.7%/複勝率93.3%
2位【3-7-1-4】勝率20.0%/連対率66.7%/複勝率73.3%
3位【2-1-4-10】勝率11.8%/連対率17.6%/複勝率41.2%
4~5位【1-3-4-17】勝率4.0%/連対率16.0%/複勝率32.0%
6位以下【0-1-1-92】勝率0.0%/連対率1.1%/複勝率2.1%
※14レース
なんといっても特徴は上がり3F1位の成績【8-2-4-1】だ。上がりを使いながら差し損ねて馬券圏外。という結果がほとんどなく、これは阪神JF上がり最速【3-3-1-4】との差も歴然だ。
京都コースの今回は例年よりも末脚を重視したい。前走上がり最速で差し切れなかったアルマヴェローチェ、コートアリシアンの評価を上げる。
一方、前が不利というわけでもなく逃げ馬は【1-2-2-9】(阪神JF【1-0-0-9】)。8番人気以下の2、3着が一例ずつある。改修後の23年以降3レースでは馬券に絡んでいないが、いずれも人気より上の着順。穴として面白そうだ。
2走続けて上がり最速で逃げ切り勝ちをし、今回距離短縮で臨むテリオスララなどが候補になる。
距離延長組【2-3-3-47】が振るわないのは阪神JF(【3-1-4-76】)と同じ。今年は6頭が距離延長で臨んでくるが、評価を落とす必要がある。
末脚生きる舞台
◎コートアリシアン
新馬戦は後続に0秒8差つけて勝利。1番人気に推された新潟2歳Sは残り200m付近で前を捉えて先頭に立ったが、最後は勝ち馬に差し返され2着。仕掛けが少々早かったのが敗因といえる。とはいえ上がり最速で見せ場は十分。差し返した勝ち馬を称えるべきレースだった。
京都マイルの世代重賞は前述の通り、速い上がりを使った馬がほぼ確実に結果を残している。前走同様のパフォーマンスを発揮できれば、今度は差し返されることなくゴールできる。
◯ブラウンラチェット
フォーエバーヤングの半妹。アルテミスSは先行して上がり3F4位で勝利し2戦2勝とした。2枠2番を生かして内でロスなく立ち回り、2番手の馬が落ちてきたところを上手く捌いた印象。騎手の技量によるものが大きかった。
瞬発力では3着ショウナンザナドゥに見劣る印象。王道ローテを順調に進んでおり軽視はできないが、1番人気想定なら少し疑いたい。
▲ショウナンザナドゥ
新馬戦は2着に敗れるも後続には1秒2差を付け、未勝利戦は2着に0秒8差で勝利した。アルテミスSは6番手から外を回って前を急追。3着だったが上がりは勝ち馬よりも速かった。
内外の進路差を考慮すればまだ決着はついていないと考える。内回りとはいえ新馬、未勝利で京都コースも経験しており、逆転の可能性はある。
以下テリオスララ、アルマヴェローチェ、ミストレスまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。
▽阪神JF予想▽
◎コートアリシアン
◯ブラウンラチェット
▲ショウナンザナドゥ
△テリオスララ
×アルマヴェローチェ
×ミストレス
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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