【新潟2歳S】能力を発揮しやすいコースで速い上がりが必須 京大競馬研の本命はスターウェーブ

京都大学競馬研究会

新潟2歳S 上がり3F3以内馬の成績

ⒸSPAIA

ポテンシャルを最重視

8月25日(日)に新潟2歳S(GⅢ)が行われる。昨年は暮れに2歳女王に輝く世代屈指のマイラー・アスコリピチェーノが人気に応え勝利した。近年はクラシックの大舞台に羽ばたいて行く馬にとって試金石の一戦となっている。今年も例年通り将来を期待される多くの素質馬が集結し、大混戦模様となった。

以下では、本レースが行われる新潟芝1600mのコース形態とそれに起因するレース質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まず新潟芝1600mのコース形態をみる。向正面中央からやや右側の地点からスタートして初角までの距離は約550m。外回りコースを使用し、向正面の内回りと外回りの分岐点辺りからやや上り坂、その後の3、4コーナーではやや急な下り坂になっている。3、4コーナーはスパイラルカーブでそれを回りきると日本最長を誇る約660mの平坦な最終直線が待ち構えているコースレイアウトだ。

注目すべきは初角までの距離が約550mとかなり長い点だ。通常、ここまで長いと序盤の先手争いは長引きやすい。ただ本レースはキャリアが浅いうちの世代限定重賞ということもあり、スローペースの瞬発力戦を勝利してきた馬が多くなるため、そこまで激しい先行争いにはなりにくい。ただ、そうは言っても前半3Fは多くの出走馬のキャリア最速を記録することが多い。序盤の先行負荷はそれなりに大きいという認識で良いだろう。

今回のコース形態でさらに重要な点はやはり最終直線の長さだ。ラスト3Fが全て収まる距離で、仕掛けのタイミングは直線に入ってからで十分に間に合う。そのため直線でどれだけ速い上がりを使えるかが重要になってくる。速い上がりを使えない先行馬の前残りは、序盤の先行負荷がそれなりに大きい点も含め、コース形態からほぼない。ポテンシャルの高い馬が順当に能力を発揮しやすいコースで、若駒を見極める試金石としては最上だろう。高い地力で上位の上がりを使える差し馬が有利になりやすい。というのが今回のレース質だ。


新潟2歳S、上がり3位以内馬の成績,ⒸSPAIA


この傾向は数字からも明らかだ。直近10回の本レースにおける上がり3F3位以内馬の成績は【10-7-5-10】勝率31.3%、連対率53.1%、複勝率68.8%、単勝回収率145%、複勝回収率162%と非常に優秀。勝ち馬10頭全てが上がり3F3位以内、馬券内30頭中27頭が上がり3F5位以内を記録していた。前述の通り、速い上がりを持たない先行馬の前残りはほぼ皆無。本レースで好走するためにはどの位置から競馬をする場合でも速い上がりを使えること、すなわち高いポテンシャルを持っていることが絶対条件だ。この点を評価して印を打っていきたい。

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が4頭。出走馬全11頭に対して少なくない。400mの距離延長馬が4頭、200mの距離延長馬が1頭おり、コース形態通り序盤から引き締まったペースになるだろう。同距離、短縮組は新馬戦から打って変わってペースアップが想定されるため、それに対応するだけのポテンシャルがあるかを見極めたい。序盤の先手争いから地力のない先行馬は脱落していき、速い上がりを使える差し馬が台頭してくると想定して、ポテンシャル重視で印を打っていきたい。

重賞級の器

◎スターウェーブ
前走東京芝1400m新馬戦はポンと好スタートを決めるも、無理にハナを主張せず、中団まで下げて折り合いを付けながら脚を溜める競馬。素質馬ならではの徹底的な教育競馬で、スローペースで道中やや行きたがりながらもしっかりと折り合いを付けた。直線に向くと前の馬群を避けるように外から内に俊敏に進路を変更。馬群を割ってから急加速。ラスト3F11.3-11.3-11.2の加速ラップで後続を引き離して勝利した。

時計は優秀。2歳6月の東京芝1400m新馬戦において、1:22.9以内かつ上がり最速で勝利した馬はアスコリピチェーノ、アエロリット、ウンブライルと本馬の4頭のみ。間違いなく重賞馬級のポテンシャルを持っている。また他3頭は良馬場での時計であるのに対し、本馬は稍重で進路を切り替えるロスがありながらこの時計を記録しており、評価できる。若干の折り合い難も前走よりもペースアップする今回は全く問題ない。鞍上も新馬戦の1ヶ月前から乗り込み、手の内に入れているとコメントしていた三浦皇成騎手と心強い。順当に勝ち負けできると見て本命を打つ。

◯シンフォーエバー
前走新潟芝1600m新馬戦は好スタートから無理に抑えることはせず、逃げる競馬。スローペースからの瞬発力戦をノーステッキでラスト3F33.3秒、ラスト1F11.0秒の脚を使い、一度も先頭を譲らず勝利した。一頭だけ古馬のような馬体の大きさがあり、力強さがありながら先行して速い上がりも使え、2歳とは思えない程の完成度を誇る。前走ノーステッキで勝利したことからもまだまだ上積みが見込める。今回は距離延長馬が多いため自然と差しに回る形になるだろうが、前目から持ち前の瞬発力を発揮できれば好走必至とみて2番手評価とする。

▲コートアリシアン
前走東京芝1600m新馬戦は出遅れながらも上がり3F最速33.3秒を記録。同2位の馬より0.7秒速い脚を使い、前が止まらないレースを後方から差し切った。2歳6月の東京芝1600m新馬戦で後半5F57.7秒は破格の時計。スターウェーブ同様、こちらも間違いなく重賞級の器だ。やはり懸念点はスタート。前走よりもペースアップする今回、出遅れると追走に脚を使って最後に伸びを欠く可能性はある。今回はオッズ妙味も考慮してスターウェーブを上に取りたい。ただ、秘めるポテンシャルは一級品である。

△トータルクラリティ
前走京都芝1600m新馬戦のラスト1F10.9秒は同コースで歴代最速タイの時計。前が止まらない展開を大外から一気の脚で伸び、ラスト100mで後続をちぎった。能力は十分に足りる。

×ジョリーレーヌ
前走東京芝1600m新馬戦はラスト3F12.2-11.4-10.9の超加速ラップをノーステッキで記録。印を打った他4頭に混じっても勝ち負けするだけの能力はあるとみる。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△×馬連4点、◎-◯▲△×3連複6点で勝負する。(花田)

▽新潟2歳S予想▽
◎スターウェーブ
◯シンフォーエバー
▲コートアリシアン
△トータルクラリティ
×ジョリーレーヌ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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