【フローラS】5番人気以内は差のないデータ 中心はエルフストラックらフラワーC組
勝木淳
ⒸSPAIA
ざっくり上位5頭による争い
牝馬クラシック第一冠の桜花賞はステレンボッシュの勝利で幕を閉じた。しかし、その当日忘れな草賞をタガノエルピーダが勝つなど、早くも次のオークスを睨んだ戦いがはじまる。いや、正確にはフラワーCからその戦いは静かに幕が開いている。
マイルから2400mへ。800mの距離延長はもはや別競技といってよく、ハナからオークス照準の中距離型もいる。芝中距離は競馬の王道であり、牝馬もまた中距離を目指す馬が多い。マイルを素質でこなし、最終的な適性は中距離にある。現代の理想の牝馬像はそこにあるのではないか。だとすると、オークスは未来を占うレースでもある。そんな分岐点に立つのはどの馬か。出走権争いに注目しよう。データは過去10年分を使用する。
トップどころの大半は桜花賞へ向かうため、中距離戦線はまだまだ力量差がはっきりせず、ヨコの比較が難しい。1番人気【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%はそんな悩ましい状況を物語る。2番人気【1-3-2-4】勝率10.0%、複勝率60.0%、3番人気【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%など5番人気までは差がなく、人気という指標は頼りにならない。ざっくり上位5頭が力差なし。そんな構成が定番のレースでもある。
一方、10番人気以下も【1-3-2-73】勝率1.3%、複勝率7.6%で、伏兵の優先出走権獲得もある。人気の死角も探していきたい。
キャリア別では3戦【3-2-2-28】勝率8.6%、複勝率20.0%、4戦【3-0-1-20】勝率12.5%、複勝率16.7%、5戦【0-4-3-21】複勝率25.0%あたりを中心に、7、8戦まで好走馬が出ている。素質だけではなく、経験によって増したたくましさを推したい。春戦線も後半戦に差しかかり、順調に使われてきた強みがいきる。
高評価のフラワーC
今年もフラワーC組や中距離の1勝クラスを突破した馬たちが中心を担う。バラバラな道を歩んだ馬たちの力量差はつかみにくい。しっかりデータで傾向をつかもう。
前走GⅢ【3-4-5-31】勝率7.0%、複勝率27.9%のうち、フラワーCは【2-2-4-14】勝率9.1%、複勝率36.4%。着順別では3~5着【2-2-3-3】、6着以下【0-0-1-8】と掲示板以内が目安になる。
今年のフラワーCは前半1000m通過1:00.0と平均ペースで流れ、後半800mはゴールまですべて1ハロン12.0で48.0という精緻で珍しいラップ構成だった。
5着エルフストラックは逃げてタイトな流れを演出。もう少し息を入れれば粘れそうで、開幕週のスローなら逃げ残りもあるかもしれない。
前走1勝クラス【6-3-3-59】勝率8.5%、複勝率16.9%は距離に注目。2000m【2-1-1-25】勝率6.9%、複勝率13.8%より、2000m未満【3-2-2-29】勝率8.3%、複勝率19.4%、2000m超【1-0-0-5】勝率、複勝率16.7%と距離変化がいい。中山芝1800mの若竹賞3着トロピカルティーや、水仙賞を勝ち2戦2勝のクリスマスパレードは、キャリア的にやや少ないが注目だろう。
水仙賞は2回中山初日芝2200mで争われた。7頭立て、稍重馬場とあってペースは上がらず、13秒台が2度も入り、前半1000m通過1:02.0。後半1000m59.9で先行勢の競馬。番手から早めに先頭に立ったクリスマスパレードには展開利もあった。牡馬相手に勝ったのは評価できるものの、東京の高速上がりに対応できるかわからない。
同コースの前走東京芝2000m1勝クラスは【0-0-1-1】と意外と多くない。フリージア賞2着アドマイヤベルも候補に残したい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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