【オーシャンS】前走の敗因からショウナンハクラクを推奨 相手は単勝回収率122%のGⅢ組

貴シンジ

オーシャンステークス、前走OP、L組の好データ,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は3月2日(土)に中山競馬場で行われるオーシャンSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行なっていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった24頭のうち除外対象であるディヴィナシオン、スコールユニバンス、モリノドリーム、サンライズオネスト、ドロップオブライト、ファロロジー、ホウオウノーサイド、ロードベイリーフを除いた16頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。

重要データ:前走OP連対組とGⅢ組が中心

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


オーシャンSはGⅠ戦線で戦ってきた馬、条件戦から挑戦する馬など様々なクラスからの出走があるレースで、前走クラス別成績を考察することが重要だ。ただ、今年は条件戦、地方、海外や、優秀な成績を収めているGⅠ組【1-1-2-5】に該当する馬が一頭もいない。よって、登録全頭が当てはまるOP・L、GⅢ、GⅡ組からしっかりと絞り込みをかけていこう。

まずはGⅡ組。こちらは【0-1-0-9】で複勝回収率20%。この組は全て阪神Cからだが、14年2番人気のリアルインパクトが8着、22年3番人気のファストフォースが9着など、人気を裏切る傾向がある。唯一好走したのは15年のハクサンムーンだが、こちらは1番人気。全10頭中で人気よりも着順が良かった馬は20年のグランドボヌールの11番人気4着だけで、他9頭は人気よりも着順の方が悪かった。今年はダディーズビビッドが該当しており割引となる。

続いてOP・L組。こちらは【4-3-1-51】で単勝回収率50%、複勝回収率64%。母数が多いので回収率は低いが馬券に絡む頭数は多いので無視はできない。着目するべきは前走の着順だ。前走で連対していた馬に限定すれば【4-2-0-16】で単勝回収率135%、複勝回収率53%。勝ち馬は全て前走で連対している。複勝回収率はOP・L組全体の方が良く、前走で連対していないから消しとまではいかないが、軸馬や1着を狙う馬券を買う場合、前走で連対している馬がベターだ。

最後にGⅢ組。こちらは【3-5-4-45】で単勝回収率122%、複勝回収率81%と好成績。GⅢ組というだけで買える材料なのだが、こちらは着順が悪い馬が好走している傾向があって、着順だけで絞り込むのは難しい。ポイントは前走レースで、シルクロードS組が【3-2-2-31】で単勝回収率184%、複勝回収率61%と優秀。シルクロードS組以外からも好走馬は出ているが、勝ち馬が出ているのはここだけなので優先的に印を回したい。

【前走OP・Lで連対している出走予定馬】
・グレイトゲイナー
・シュバルツカイザー
・ビッグシーザー
・ヨシノイースター

【前走シルクロードSの出走予定馬】
・オタルエバー
・カイザーメランジェ
・ショウナンハクラク
・バースクライ

前走の敗因:シルクロードSのショウナンハクラク

ショウナンハクラクの前走はシルクロードSで結果は5着。このレースは前半33.4-後半34.3で前傾0.9秒。内側が荒れた馬場状態だったことや、多少ペースが速かったこともあって、外から差してきた馬に展開が向いたレースだった。勝ったルガルは課題だったゲートをしっかり決め、先行して押し切り。レースのバイアスに反した競馬で勝っており強かった。

さて、ショウナンハクラクだがこちらは出遅れてしまい最後方からの競馬になった。普段は中団かもう少し前の位置で競馬する馬なのでいつもとは違う競馬になった。加えて、浜中俊騎手も割り切ったのか溜める競馬に徹したが、折り合いが上手くついていなかった。3コーナーあたりの映像を見てもわかるようにかなり抑えている。

差し有利の展開だったとはいえゲート、折り合いの2点を加味すれば厳しい競馬だっただろう。ゲートを決めていつもの位置で競馬ができれば3勝クラス勝ちの内容から見ても展開ひとつで十分勝負になる。

血統解説:トウシンマカオ、ショウナンハクラク

・トウシンマカオ
日本での牝祖は祖母サスペンスクイーン。ただこの一族は4代母Rose Bowlを牝祖とした別の枝も日本で走っていて、17年小倉記念、新潟記念勝ちのタツゴウゲキなども近親にあたる。母ユキノマーメイドは現役時に芝中距離で4勝を挙げた実績馬で、繁殖としても20年マイラーズC2着のベステンダンクを輩出するなど、中央で8頭が勝ち上がっており優秀。今回のメンバーでも牝系の活力はトップレベルだ。

トウシンマカオ自身はビッグアーサー×スペシャルウィークという組み合わせで、古馬になるにつれてビッグアーサーらしい硬さとスピードが出てきた印象だ。前からでも後ろからでも自在に競馬ができるのがこの馬の強みで、1200mはベストの距離。とはいえ、均等なラップを刻みやすい京都芝1200mの京阪杯から、トリッキーな中山へのコース替わりは割引材料だ。

トウシンマカオの血統表,ⒸSPAIA


・ショウナンハクラク
日本での牝祖は祖母オールウェイズウィリング。3代母のAlways Loyalは仏1000ギニー(GⅠ・芝1600m)勝ち馬で、その半兄AnabaaもGⅠ馬と、活力ある牝系だ。母ショウナンアデラもGⅠ阪神JFの勝ち馬。一族の活躍馬を見てもわかるようにスピード性能が非常に高い。

本馬は父がFrankelで欧州馬らしいパワーと柔らかさを得ている。距離こそ短距離に出ており、馬体も短距離馬らしいが父由来のパワーで急坂もこなせる。ムラがあるタイプで芝は【4-0-2-13】と極端な成績だが一発の魅力は持ち合わせている。また、中山コースは初だが問題ない。

ショウナンハクラクの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではショウナンハクラクを推奨

今回はショウナンハクラクを推奨する。前走はこの馬としてはかなり健闘していた。ゲートで出遅れながらも勝ち馬のルガル相手に0.9秒差の5着までこれたところから、チャンスは十分。トウシンマカオも強いが、人気を背負った上で前走より条件が悪くなるなら相手の一頭まで。他では好走データに合致した馬を中心に馬券を組み立てたい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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