【アルゼンチン共和国杯】目黒記念2着ディアスティマは消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

過去10年のアルゼンチン共和国杯『前走2000m以下』かつ『前走4番人気以下』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週予想した天皇賞(秋)では3頭が凡走データを免れた。イクイノックスは圧巻の走りで連覇を成し遂げたが、ドウデュース、ダノンベルーガは馬券に絡むことができず。2、3着の2頭も消去しており、悔しい結果となった。

今週は11月5日に東京競馬場で行われるアルゼンチン共和国杯(GⅡ)を予想する。今回は除外対象となる4頭を除いた登録馬18頭を対象に、過去10年のデータから複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。


『前走10着以下』×『前年当レース勝ち馬以外』 ★0.0%★

前走の着順別成績を見ると、10着以下に敗れていた馬は【1-0-1-38】(複勝率5.0%)と多くが苦戦を強いられていた。

この中からはオーソリティ(21年1着)、ルルーシュ(13年3着)が馬券に絡んでいるが、2頭はそれぞれ前年に当レースを制していた。前年の当レース勝ち馬を除くと成績は【0-0-0-38】で、複勝率0%のデータとなる。今回はこれを凡走データとして採用する。

前年の勝ち馬ブレークアップがエントリーしていないため、前走で二桁着順に敗れた6頭全てがこのデータに該当する。前年2着のハーツイストワールも含まれるが、約1年の休養明けでの好走は難しいとみて消去する。

【今年の該当馬】
・アサマノイタズラ
・アリストテレス
・グランオフィシエ
・テーオーロイヤル
・ハーツイストワール
・ヒュミドール


『キャリア26戦以上』×『前走初角2番手以内』 ★0.0%★

当レースはキャリアを重ねた馬ほど複勝率が悪い傾向にあり、特にキャリア26戦以上の馬は【1-3-1-59】(複勝率7.8%)と振るっていない。さらにこれを前走初角2番手以内であった馬に限定すると、成績は【0-0-0-9】となる。

このデータには19年3着の実績を持つアフリカンゴールドが該当。8歳のベテランで、近走戦績から能力の衰えも感じる。府中の長い直線での逃げ切りも難しいと見て、軽視したい。

【今年の該当馬】
・アフリカンゴールド


『前走2000m以下』×『前走4番人気以下』 ★3.7%★

続いては前走距離に関するデータを取り上げる。2200m以上だった馬の成績が【9-8-6-96】(複勝率19.3%)であるのに対して、2000m以下だった馬は【1-2-4-34】(同17.1%)となっている。複勝率に大きな開きはないが、連対馬20頭の内17頭が前走2200m以上の組から出ていることを考えると、2000m以下からの転戦組はやや苦戦傾向と言える。

また、前走2000m以下からの転戦で好走した7頭のうち6頭は、前走で1~3番人気と高い評価を受けていた。前走で4番人気以下だった馬に限ると、成績は【0-1-0-26】(同3.7%)と極端に悪化する。500m以上の距離延長をこなすのは容易ではないはずで、特に前走で人気がなかった馬については評価を下げるべきだろう。

【今年の該当馬】
・アーティット
・セファーラジエル
・ユーキャンスマイル
・(グランオフィシエ)


『前走非重賞』×『前走右回り』 ★5.6%★

前走で非重賞だった馬の成績は【3-5-5-57】(複勝率18.6%)と及第点にあり、中でも前走条件戦組が【2-2-4-17】(同32.0%)と優秀であった。ハンデ戦ということもあり、OPクラスや条件戦からの転戦でも好走のチャンスは十分にありそうだ。

だが非重賞組を、前走での左右回り別に分類すると明暗がハッキリと分かれる。前走で左回りだった組は【3-3-5-23】(同32.4%)であったのに対して、右回りの組は【0-2-0-34】(同5.6%)と結果が出ていない。

右回りの競馬場における中距離レースは小回りの条件が多いが、左回りは東京、中京、新潟の3場ともに長い直線が特徴的だ。こうしたコース形態の差が、前走右回りの馬の不振に繋がる要因の1つだと考えられる。極端なデータが出ている以上、前走非重賞で、右回りを使っていた馬は評価を下げたい。

【今年の該当馬】
・ジャンカズマ
・レッドバリエンテ
・(アーティット)


『父ディープインパクト系』×『白老ファーム生産馬以外』 ★0.0%★

最後は血統と生産者に関するデータから絞り込みを行う。ディープインパクト系種牡馬の産駒と東京コースの相性は良さそうな印象だが、意外にも当レースにおける成績は【0-1-1-23】(複勝率8.0%)と振るっていない。

この系統から好走を果たしたのはソールインパクト(17年2着)、セダブリランテス(同年3着)だが、この2頭はいずれも社台白老ファームの生産馬であった。これ以外の牧場からの生産馬に限ると成績は【0-0-0-21】(同0.0%)と1頭も好走馬が出ていない。これを5つ目の凡走データとする。

今年は5頭のディープインパクト系種牡馬の産駒が出走予定だが、その中に白老ファームの生産馬は1頭もいない。また、17年こそ2、3着馬が出ているが、それ以外の年は全く好走できていない。データを見る限りでは当レースと相性が悪いようで、5頭とも消去対象とする。

【今年の該当馬】
・テーオーソラネル
・ディアスティマ
・(アーティット)
・(セファーラジエル)
・(レッドバリエンテ)

全ての条件を終えて、凡走データに該当しなかったのはチャックネイト、ヒートオンビート、プリュムドール、マイネルウィルトスの4頭だ。

特に注目したいのがチャックネイト。前走の六社S(3勝クラス)では、緩みない流れを道中7番手から押し切る好内容で勝利。厳しい流れでの経験は、重賞の舞台でも生きるだろう。また、六社Sからの転戦組は過去10年で【1-2-2-3】(複勝率62.5%)と好相性。相手も一気に強くなるが今回はハンデ戦。オープン昇級初戦でも通用する可能性は十分にあるはずだ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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