【宝塚記念】過去15年で牝馬は複勝率40%超え! 「前走着順」などの好データを満たすスルーセブンシーズ
門田光生
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牝馬の好走率が高いレース
2023年6月25日に阪神競馬場で行われる第64回宝塚記念。6月頭から6月末に施行時期が移動して、今年で28年目。3歳馬の出走を促すためだったと記憶しているが、28年間で出走した3歳馬はわずか9頭で、2002年ローエングリンの3着が最高着順。ここ15年では1頭しか出走しておらず、この数字を見る限り、JRAの思惑通りとなったかどうか、微妙なところ。
ただ、今年は久しぶりに3歳馬のドゥラエレーデが登録。ダービー馬のネオユニヴァースやウオッカでも超えられなかった、古馬の厚い壁を破れるかにも注目したい。
上半期の締めくくりとなる大一番がこのレース。今回も過去15年の成績を基にして検証していきたい。
☆所属と性別、年齢
所属別での出走頭数は、美浦所属馬45頭に対して栗東所属馬が173頭と、後者が4倍近く多い。当然ながら栗東所属馬が22連対(11勝)とリードしているが、勝率、連対率では美浦所属馬が若干上回っている。
性別も牡馬・セン馬【11-12-9-158】勝率5.8%、連対率12.1%だが、牝馬は【4-3-6-17】勝率13.3%、連対率23.3%と目に見えて好走率が高い。牝馬の複勝率に至っては43.3%となっている。なお、馬券に絡んだ13頭はいずれも4歳か5歳だった。
連対した7頭の牝馬をもう少し詳しく見ると、7頭中6頭が前走3着以内。また、5頭が前走馬体重458キロ以下と、比較的小柄だった。
牡馬・セン馬も含めた、全体の年齢別成績を見ると、15連対(8勝)を挙げている5歳馬が頭ひとつ抜けている。4歳と6歳はどちらも7連対と割り引くほどの成績ではない。しかし7歳馬からは勝ち馬が出ておらず、8歳以上になると連対馬がいなくなる。
☆前走クラスと主な前走
馬券に絡んだ馬のほとんどが前走で重賞を走っていた。例外は2010年の1着馬ナカヤマフェスタ(メトロポリタンS)。レース別だと、10頭の連対馬を出している天皇賞(春)が王道だが、勝率、連対率で見ると、抜けた存在とはいえない。
☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まずは前走人気。2番人気に支持されていた馬は【4-3-2-18】で、ほかの人気に比べて数字がいい。また、前走4番人気以下だった関東馬に絞ると、24頭が該当して2着馬が2頭いるだけ。
前走で大敗していた馬も好走率が低く、具体的には1秒以上の着差で負けていると【1-1-0-40】だ。最後に前走着順。連対した30頭中、19頭が前走3着以内。1着も10頭いて、4着以下と比べて勝率、連対率ともに高くなっている。
すべてのプラスデータを満たす牝馬
宝塚記念のデータをまとめてみよう。
【好走データ】
A「牡馬は5歳、牝馬は4、5歳」
B「牝馬で前走3着以内、前走馬体重が458キロ以下」
C「前走2番人気」
D「前走3着以内」
【好走率が低いデータ】
E「前走で1秒以上の負け」
【勝ち馬なし】
F「7歳馬」
G「関東馬で前走4番人気以下」
【連対馬なし】
H「前走が条件戦」
ここ5年で牝馬が3勝し、4年連続で馬券に絡んでいる。出走頭数の割合から考えても、牝馬の頑張りが目立つレースといえる。それを踏まえてデータ分析でも、細かい条件を付けて走るパターンを探してみた。
今年は出走回避を表明しているウインマイティーを除いて、牝馬が3頭登録しているが、「4歳か5歳」、「前走3着以内」、「前走馬体重458キロ以下」の3条件を満たしているのは、スルーセブンシーズだけ。しかも、C「前走2番人気」、D「前走3着以内」を含め、すべてのプラスデータを満たしている。
過去に牝馬で優勝したマリアライト、リスグラシュー、クロノジェネシスと比べて格で見劣るのは否めないが、ここをステップにして、来年の今頃は名牝の仲間入りを果たしている可能性もある。先物買いの意味も込めて、本命にする。
宝塚記念で最も好走率が高い5歳馬は、本命印を打ったスルーセブンシーズを含め、4頭しか登録がない。ここ15年で出走頭数が最も多いにもかかわらず、である。
5歳馬の好走率の高さを考えても、残る3頭のジェラルディーナ、ダノンザキッド、そしてブレークアップにも印を入れていいだろう。なかでも、王道ローテーションの天皇賞(春)からの臨戦であるブレークアップを相手筆頭としたい。
ジェラルディーナ、ダノンザキッドはともに香港のクイーンエリザベス2世C組。2012年2着馬ルーラーシップ、2019年の勝ち馬リスグラシューが同じローテーションだった。ドバイシーマクラシック(DSC)と同様、今後も有力なステップレースのひとつとなっていくだろう。
上記で名前が出たDSCをレコードで勝ったイクイノックスも参戦。特にマイナスデータはなく、押さえは必要だろう。過去にDSCを経て宝塚記念で連対したドゥラメンテ、クロノジェネシスの2頭も、DSCで連対しての参戦。その点でも期待できそうだ。
◎スルーセブンシーズ
◯ブレークアップ
▲ダノンザキッド
△ジェラルディーナ
×イクイノックス
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
宝塚記念の馬柱を眺めていると、前走で海外を走っていた馬が6頭もいることに驚き。しかもレコードで勝った馬までいます。ホント、日本生産馬、そして調教馬のレベルが上がりましたね。
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