【宝塚記念】打倒イクイノックス一番手は? Cアナライズは好データを持つ良血馬を推奨

貴シンジ

宝塚記念 性別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週のユニコーンSはグレートサンドシーを推奨し3番人気5着。少しポジションが後ろ過ぎたこともあるが、ラスト1Fで脚色が鈍ったところを見ると、現状1400mがベストと捉えるのが良さそうだ。さて、今回は6月25日(日)に阪神競馬場で行われる宝塚記念について、下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった20頭のうち、除外対象のブローザホーンとプラダリア以外の18頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:牝馬優勢の宝塚記念

性別ごとの成績,ⒸSPAIA


宝塚記念では牝馬がとにかく強い。牡馬・セン馬【6-9-4-98】に対して、牝馬は【4-1-6-15】。勝率15.4%、複勝率42.3%で、牡馬の倍以上の好走率を記録している。暖かくなってきたことで牝馬の状態が上がってくる時期でもあり、最大限に実力を発揮出来るのだろう。

【牝馬の出走予定馬】
・ウインマイティー
・ジェラルディーナ
・スルーセブンシーズ
・ライラック


前走不利データ:大阪杯のジェラルディーナ

ジェラルディーナの前走はQE2世Cで、国内での直近は大阪杯6着。大阪杯で初角13番手以下だった馬の成績は、2013~2022年の10年間で【1-1-0-15】。単勝回収率20%、複勝回収率17%だ。もともと前のポジションを取れるタイプではないので、大阪杯の展開は少し厳しかった。その点今回は1ハロンの距離延長。大阪杯以上のパフォーマンスは望めるだろう。

血統解説:イクイノックス、ジェラルディーナ、ジャスティンパレス

・イクイノックス
日本では4代母ブランシユレインを牝祖としてファミリーが繋がっている。本馬の3代母メゾンブランシュはクイーンS3着の実績があり、最も活力のあるグループだ。元はフランスで繋がっていた牝系で芝適性は高くスタミナも豊富。持続性能の高い馬が多く本馬も鋭い末脚が武器で、大箱コースがベストだろう。

とはいえ基礎能力は今回のメンバーでも抜けた存在。中山コースもしっかりこなしていて、血統だけで消しとするのは難しい。懸念材料があるとすれば、関西圏でのレースが初めてということくらいだろうか。

イクイノックスの血統表,ⒸSPAIA


・ジェラルディーナ
日本での牝祖は祖母ドナブリーニ。同馬はチヴァリーパークS(GⅠ・芝6F)を勝つなど競走馬としての実績も一流だが、繁殖成績は超一流。産駒のドナウブルー(父ディープインパクト)は重賞2勝のほかヴィクトリアマイル2着、マイルCS3着などの実績があり、阪神牝馬S3着のドナウデルタ(父ロードカナロア)を輩出。ドナウブルーの全妹にあたるのが、本馬の母ジェンティルドンナだ。ジェンティルドンナは牝馬三冠に加えてJC連覇などGⅠ・7勝した超級の名牝。ジェンティルドンナもドナウブルーもそうだったように、成長力、スピード性能、持続力が高いのがこのファミリーの特徴だ。

3代母Cal Norma's Ladyを根幹とするファミリーからは、19年ダービー馬ロジャーバローズ(父ディープインパクト)も出ている。ロジャーバローズのダービーもこの牝系らしさがでた一戦だった。本馬はモーリス×ジェンティルドンナということで成長力の塊のような配合。Lyphardらしさをしっかり持っていて、昨年の有馬記念では出遅れたなか、馬群を捌いて3着まで追い上げてきた機動力は素晴らしい。

モーリス産駒は底力が求められるような展開に強く、ペースが上がればよりチャンスは増すだろう。エリザベス女王杯、有馬記念と連続好走し、4歳秋に本格化を迎えた。ここ2走は負けているが、いずれも言い訳のできる負け方だ。ここでの復活を期待する。イクイノックスを逆転する可能性があるとすれば、この馬か。

ジェラルディーナの血統表,ⒸSPAIA


・ジャスティンパレス
ステイヤー色が強いファミリーの一頭。兄にはベルモントS(GⅠ・ダート2400m)及びメトロポリタンH(GⅠ・ダート1600m)を勝ったPalace Malice(父Curlin)と、阪神大賞典及びステイヤーズSで2着のアイアンバローズ(父オルフェーヴル)がいる。

スタミナ適性の高さは証明済み。しかし、器用なタイプのステイヤーで阪神内回りとなる今回のコース替わりは、本馬にとってプラスだろう。

天皇賞(春)は前走レースとして宝塚記念と相性が良く、一気の距離短縮さえこなせれば。

ジャスティンパレスの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではジェラルディーナを推奨

今回のCアナライズではジェラルディーナを推奨する。イクイノックスが強いのは百も承知だが、断然人気が予想され、一つでも不安要素があるなら違う馬から入りたい。となると牝馬で好走データも持っていて、前走や2走前からの巻き返しが見込めるジェラルディーナを推したい。昨年は同舞台のエリザベス女王杯で勝利しており、コース適性はばっちり。血統的にも晩成傾向のある配合だけに、ラストシーズンとなる今年は更なる飛躍に期待したい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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