【天皇賞(春)】上位人気2頭の取捨選択が焦点 Cアナライズは京都適性が見込めるタイトルホルダーを推奨

貴シンジ

2011年以降の京都開催の天皇賞(春)、人気別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

フローラSではキミノナハマリアを推奨し6番人気11着。直線で他馬に寄られてミスステップしてしまったとコメントがあった通り、ラスト200mで不利を受けてからはセーブして追っているように見えた。

さて、今回は4月30日(日)京都競馬場で行われる天皇賞(春)について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「過去走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭を検討対象とし、京都開催だった11年~20年の10回分のデータを使用する。


重要データ:1着は人気馬、相手は穴の構図

人気別成績,ⒸSPAIA


重要データで取り上げるのは人気別成績。1着馬のうち7頭が1、2番人気で【7-1-2-10】の成績。1、2番人気の単勝をベタ買いでも回収率141%だから十分有効なデータと言えるだろう。

一方3番人気以下は【3-9-8-128】となっていて2、3着が非常に多い。12年の優勝馬が単勝14番人気159.6倍のビートブラックだったため、こちらも単勝回収率127%と優秀な成績だが、複勝回収率も101%ありこの数字は1~2番人気の95%という数字を上回る。

したがって今回は1番人気、2番人気が予想されるタイトルホルダー、ジャスティンパレスの比較と、3番人気以下からの相手のチョイスが非常に重要となる。

【1、2番人気が予想される出走予定馬】
・タイトルホルダー
・ジャスティンパレス


過去走の不利データ:有馬記念のタイトルホルダー

普段は前走不利データを使うのだが、今回は見極めの対象をタイトルホルダーとジャスティンパレスに絞ったので、その2頭が直接対決した有馬記念に焦点を当て、臨戦過程や条件も含めてどちらがより厳しい戦いを強いられていたか分析する。

ジャスティンパレスは有馬記念7着、タイトルホルダーは9着と着順の上ではジャスティンパレスが先着しているが、有馬記念は前走海外組の取り扱いに重要な点がある。過去10年で前走海外組は、前走1着【1-0-0-0】、2着【1-0-0-0】、3着以下【0-1-2-4】となっていて、勝ち馬は海外でも連対してから有馬記念に臨んでいた。

タイトルホルダーは重馬場の凱旋門賞11着からの臨戦。間隔をあけていたとはいえ昨年の凱旋門賞はかなりタフなコンディションでのレースだったため、状態面が不安だということは戦前の記事でも記した通り。タイトルホルダーはスタート一息で押してハナを取るも、イクイノックスやボルドグフーシュの動き出しがかなり早く、競馬としても厳しい内容だった。

そのうっぷんを晴らすかのように年明け初戦の日経賞は楽勝。やはり強い。万全の状態ならタイトルホルダーに軍配が上がりそうだ。


血統解説:アスクビクターモア、ジャスティンパレス、タイトルホルダー

・アスクビクターモア
母カルティカはイギリス産馬。現役時はフィユドレール賞(GⅢ・芝10.5F)で3着などの実績がある。この牝系はスタミナが持ち味の一族で今回の舞台は合う。本馬はディープインパクトをつけられてスピードが添加された芝中長距離馬となったが、両親の良いところが上手く出ていて、パワーとスタミナを兼ね備えた万能タイプに出た。

古馬初戦は日経賞9着と敗れてしまったが、菊花賞で見せたパフォーマンスは本物。今後も芝中長距離では一線級でやれるだろう。京都芝3200mという舞台も合っていて、前走大敗したことで人気落ちするならここから入りたい。

アスクビクターモアの血統表,ⒸSPAIA


・ジャスティンパレス
こちらもステイヤー色が強いファミリーの一頭。兄にはベルモントS(GⅠ・ダート2400m)とメトロポリタンH(GⅠ・ダート1600m)を勝利したPalace Malice(父Curlin)と阪神大賞典とステイヤーズSで2着のアイアンバローズ(父オルフェーヴル)がいる。

スタミナ適性の高さは言わずもがなだが、器用なタイプのステイヤーなだけに阪神内回りの前走がベストな舞台。狙うなら前走だったか。

ジャスティンパレスの血統表,ⒸSPAIA


・タイトルホルダー
日本での牝祖は母メーヴェ。妹には今回の特別登録にも名前があるメロディーレーンがいる。メーヴェは現役時に丹頂Sを勝ち、4代母Loraを根幹とする一族からは英ダービーや凱旋門賞などGⅠ・4勝のGolden Horn、英チャンピオンS連覇などGⅠ・4勝のCracksmanら芝中距離以上の一流馬が出ているスタミナ十分なファミリーだ。

本馬はそこにドゥラメンテを迎えた。適性に関しては母、成長曲線に関しては父に近いものを持っていて、5歳シーズンの今年も充実しそうだ。長く脚を使えるから京都コースは恐らく大得意。待ちに待った京都開催の天皇賞(春)は落とせない。

タイトルホルダーの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではタイトルホルダーを推奨

今回のCアナライズではタイトルホルダーを推奨する。有馬記念こそジャスティンパレスに先着されたが、臨戦過程やレース内容を考えればこの舞台では十分逆転可能だろう。同程度のオッズなのであれば断然タイトルホルダーの方が期待値は高い。

相手で推奨するならばアスクビクターモアだ。こちらは日経賞ではタイトルホルダーを抑えて1番人気に支持された馬。前走は完全に出負けしてしまった形で、ゲートに突進した影響もあり順調さを欠いたレース内容だった。あれが本来の姿でないのは間違いなく、敗戦で人気を落とすなら面白い存在。血統的にも推せる一頭だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほかPOG本での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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