【平安S】ミッキーヌチバナ、スレイマンらアンタレスS組が有力 穴ではオーロイプラータの巻き返しに警戒
勝木淳
ⒸSPAIA
4、5歳の意欲を買う
ダート中距離は6月の帝王賞へ向かう実績馬たちと、賞金を加算してその先の夏、さらに向こうの秋へと飛躍を誓うものたちではっきりと分かれる。平安Sは帝王賞の前哨戦的立ち位置ではあるが、どちらかというとしっかり賞金を稼ぎたい意欲に満ちた戦いとなる。
前年覇者グロリアムンディと春のダート重賞を勝った馬たちを超えて、その先に向かえる馬はあらわれるのか。ダート重賞らしい激しい戦いを期待しよう。データは中京2回(21、22年)を含む過去10年分を使用する。
1番人気は【5-1-0-4】勝率50.0%、複勝率60.0%。小細工無用、真っ向勝負のダート1900mらしく、主役が主役たる力を発揮する。3番人気【1-3-4-2】勝率10.0%、複勝率80.0%など4番人気以内8勝と上位人気はそう崩れない。だが、7番人気【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%など伏兵の激走もなくはない。人気の盲点を探すのもいい。京都での8回に限っても基本的な発想は変わらないが、10番人気以下は【1-1-1-50】勝率1.9%、複勝率5.7%で、京都なら穴もある。
年齢ではダート戦特有のベテランが台頭する機会は少なく、4歳【4-3-1-28】勝率11.1%、複勝率22.2%、5歳【6-2-5-37】勝率12.0%、複勝率26.0%と主力世代が強い。賞金加算の意欲に満ちた若馬にとってJRA重賞は貴重な場だ。走りなれた中央のダートできっちり賞金を重ねにくる。
カギは京都ダート1900mの適性
マーチS2着のミトノオー、アンタレスS1~3着ミッキーヌチバナ、スレイマン、ハギノアレグリアスにグロリアムンディが上位候補。勢いを感じる顔ぶれになった。
前走GⅠ【2-1-1-4】勝率25.0%、複勝率50.0%は異例となる天皇賞(春)から臨戦のハピのみ。そうなると注目はやはり前走GⅢ【2-5-5-64】勝率2.6%、複勝率15.8%だろう。やや数字的に勝ち切れてはいないが、2、3着はそれぞれ半数を占めており、馬券の軸にすえるという意味で頼りになる。
まず関西圏の前走アンタレスS【2-3-4-45】勝率3.7%、複勝率16.7%から。着順の内訳は3着以内【1-1-2-11】なので、ミッキーヌチバナ、スレイマン、ハギノアレグリアスは有力だ。
100mの距離延長でよりスタミナが必要となる舞台に向くのはどの馬か。1900mで連勝した過去がある良血スレイマンは前走550キロの大型馬で、広いコースは魅力だ。対してハギノアレグリアスはシリウスS、名古屋大賞典と2000mの重賞2勝で、昨年のこのレース2着。長めの距離に申し分ない実績をもつ。この2頭は有力だ。ミッキーヌチバナも妹アコークローは東京ダート2100mを得意としており、近親にはマーチSを勝ったソロルがいる。血統なら引けをとらない。
一方で10着以下も【1-1-0-10】勝率8.3%、複勝率16.7%なので、ヴィクティファルスも捨て置けない。前走は14着と大きく崩れはしたが、ダート転向後はオープン1着、GⅡ3着と新天地で結果を残した。前走の敗因が一過性のものであれば、当然巻き返してくるだろう。
前走マーチSは【0-2-1-18】複勝率14.3%で関東の重賞はやや分が悪い。こちらは1着【0-0-1-3】、2着【0-0-0-1】、5着【0-1-0-1】、10着以下【0-1-0-3】で着順不問。ようは京都ダート1900mの適性次第といったところだ。2着ミトノオーは強気に逃げて、ここまでやってきた。今回も戦法は決まっている。無欲の逃げで好位にいるだろう上位陣をかく乱したい。
最後に距離が長めの仁川S【1-1-0-3】について。京都8回に絞ると【1-1-0-1】。好走は仁川S1着馬と11着馬で両極端だ。7着オーロイプラータは2番人気を裏切る形となったが、東海S5着、同舞台のカノープスSは3着と好走しており、マークは必要だろう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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