【天皇賞(春)】参考レース振り返り 連覇を狙うタイトルホルダーがデータ、実力ともに文句なし
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レースを振り返る
4月30日(日)、グランドオープンした京都競馬場を舞台に天皇賞(春)(GⅠ・芝3200m)が行われる。春の長距離王を決める一戦、出走予定馬たちの主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返っていく。
日経賞【データ:A メンバーレベル:B】
過去10年の成績【4-2-3-43】勝率7.7%、連対率11.5%、複勝率17.3%
好走率は特段高くないものの、過去10年で最多の4勝をマークしている前哨戦。2021年ワールドプレミア、2022年タイトルホルダーと直近2年連続で優勝馬を輩出している。
不良馬場で行われたレースは、好スタートを切ったディアスティマを交わしてタイトルホルダーが逃げる展開となる。ディアスティマも2番手にピッタリとマークする形が続き、馬場状態を考慮するとペースは流れていた。
抜群の手応えで最後の直線に向いたタイトルホルダーはそのまま後続を引き離していき、最後は流す余裕がありながら8馬身差の圧勝。ただ一頭59kgを背負って素晴らしい内容で力の差を見せつけ、連覇達成となった。本番でもこの馬が中心となるだろう。
3着ディアスティマは2着のボッケリーニには交わされたが、3/4馬身差と食い下がった。天皇賞(春)でも馬場が悪化すれば上位への食い込みがあるかもしれない。
9着だったアスクビクターモアはスタートの出遅れが響いた。菊花賞を制しているように距離に不安はなく、日経賞の内容は参考外と考えていい。
阪神大賞典【データ:B メンバーレベル:A】
過去10年の成績【2-4-4-47】勝率3.5%、連対率10.5%、複勝率17.5%
日経賞と同様に出走頭数が多く、率は低くなっているが、2021年と2022年にディープボンドが2着となるなど、好走馬を送り出している。
スタートしてすぐにレースの主導権を握ったのはアフリカンゴールド、2番手に人気の一角ディープボンドがつける展開。最初の1000m通過は1:04.9とスローペースで、各馬一団となってレースが進んでいった。
そのままアフリカンゴールドがしぶとく粘って最後の直線へ。残り200mで外から1番人気ボルドグフーシュが伸びてくるも、間を割ってきたジャスティンパレスが1.3/4馬身差をつけて勝利した。勝ちタイムは3:06.1だった。
ジャスティンパレスは神戸新聞杯以来となる重賞2勝目。好位のインでじっと我慢する競馬で、ルメール騎手とのコンビでは3戦3勝と相性の良さを見せつけた。ステイヤーとしての適性は高く、引き続き天皇賞(春)の舞台も合いそうだ。
2着ボルドグフーシュは川田将雅騎手と初コンビで挑んだ一戦だった。6番手を追走して4角では外から早めに進出を開始するという内容で、悲観する負け方ではない。本番でよりタフな流れになれば十分逆転できる。
3着ブレークアップは有馬記念大敗後に転厩して挑んだ一戦だった。5番手追走からボルドグフーシュにクビ差まで迫っており、持っている力は十分発揮したと言える。
4着アフリカンゴールドはマイペースに持ち込むとしぶといところを見せた。ただ本番では先行したい馬たちも多く、ここまで楽な競馬はさせてもらえないだろう。
阪神大賞典3連覇を狙ったディープボンドは5着。スタミナ勝負に強いタイプで、馬体重もプラス10kgと余裕残しの仕上げだっただけに、本番で変わり身があっていい。
6着サンレイポケットは初の3000mだったが、ディープボンドとはクビ差。スローペースだったことも味方したが、近況を踏まえると悪い内容ではなかった。
そこから4馬身離れた7着アイアンバローズ、11着メロディーレーンも出走を予定しているが、上位とは力の差があると感じる。
ダイヤモンドS【データ:C メンバーレベル:C】
過去10年の成績【0-1-1-16】勝率0.0%、連対率5.6%、複勝率11.1%
勝ち馬は出ておらず、好走は2015年2着フェイムゲームと2022年3着テーオーロイヤルの2頭。ただしどちらもダイヤモンドSを2馬身以上の差で快勝しての参戦だった。
レースはウインキートスが逃げスローペースで流れたが、2周目の3角でスタッドリーが捲っていきペースアップする。最後の直線は大外から抜け出したミクソロジー、最内から伸びたヒュミドールによる接戦となったが、クビ差でミクソロジーが勝利、3:29.1のレコードを記録した。
2着のヒュミドールは13番人気と低評価だったが、ロスなく立ち回った。持久力が求められる展開になれば一発の可能性もある。
久々の出走となったトーセンカンビーナは、ポツンと離れた最後方からレースを進めた。最後の直線はジリジリと伸びるも勝ち馬から1.7秒差の8着。GⅠではさらに厳しい戦いになるだろう。
レッドシーターフハンデキャップ【データ:なし メンバーレベル:B】
過去10年で出走なし
サウジアラビア・キングアブドゥルアジーズ競馬場で行われた芝3000mのGⅢ戦。シルヴァーソニックはハンデ56.5kgで出走した。
最内枠からスタートし、道中は3番手のインでじっと脚を溜める。そのままロスなく立ち回り最後の直線では早め先頭、エネミーの追い上げを封じて2馬身半差をつける快勝だった。これでステイヤーズSに続いて重賞連勝、7歳を迎えたが充実期にある。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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