【オークス】ライトバックが勝てば珍しい1月生まれの優勝馬に 牝馬クラシック二冠目の「記録」
緒方きしん
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最も誕生日のはやいオークス馬誕生なるか?
大波乱の決着となったヴィクトリアマイルの余韻も残るなか、今週はオークスが開催される。ここでは、樫の女王を決める一戦の「記録」を振り返る。データは1986年以降のものだ。
3歳クラシックといえば、生まれたタイミングも大きなカギを握る。今年の有力馬の一角である桜花賞3着馬ライトバックは1月14日生まれと、かなりの早生まれと言える。
1月生まれのオークス馬は3頭。そのうちの2頭はサンテミリオン、トールポピーで、どちらも1月30日生まれだ。最も早くに生まれたオークス馬は、1月27日生まれのユーバーレーベンだ。
ユーバーレーベンは2020年の6月14日にデビュー。札幌2歳S、アルテミスS、阪神JFと白毛馬ソダシに3連敗を喫したものの、そこからフラワーCとフローラSでの3着を挟んでオークスにてリベンジを果たした。
もし今回ライトバックが勝利した場合、ユーバーレーベンより早く生まれた馬によるオークス制覇となる。
2、5月生まれはそれぞれ7勝で、4月生まれは9勝。また、4月生まれで勝った馬のうち6頭が1番人気だった(メジロラモーヌ、エアグルーヴ、シルクプリマドンナ、アパパネ、シンハライト、デアリングタクト)。逆に2月生まれだと2013年に9番人気で勝利したメイショウマンボなど1番人気ではなかったケースが多く、昨年リバティアイランドが勝利するまで1番人気で制したのは2017年のソウルスターリングのみだった。
優勝馬が最も多いのは3月生まれで11頭、最も少ないのは6月生まれで2頭だ。誕生日が最も遅い優勝馬は1988年のコスモドリーム。デビューから3戦はダートを走り、芝での勝利はオークス前の条件戦のみという戦績だった。鞍上は乗り替わりで熊沢重文騎手。1番人気のアラホウトクと河内洋騎手のコンビが7着、2番人気のシヨノロマンと武豊騎手のコンビが5着に敗れるなか、鋭い末脚で差し切った。10番人気と低評価のなかでの勝利で、単勝配当は23.1倍となった。
後藤浩輝騎手と掴み取った大金星、エリンコート
コスモドリームの単勝オッズ23.1倍は、歴代4番目に高い。前述のメイショウマンボが同28.5倍で3番目、コスモドリーム勝利の翌年の勝ち馬ライトカラーが同34.8倍で2番目となっている。単勝オッズ10倍以上のオークス馬は13頭いるが、そのなかで最も高配当で勝利しているのが2011年の勝ち馬エリンコート。単勝オッズは37.2倍だった。
エリンコートは2003~2004年の最優秀短距離馬にも輝いた名スプリンター・デュランダルの産駒。エリンコートもデビュー戦は1200m戦だった。3歳1月末の時点では6戦1勝で、最長でもマイル戦までの出走だったが、2ヶ月の休養を経た3月に1800mの条件戦を勝利すると、さらに200mの距離延長となった忘れな草賞も勝利。そこで初コンビを組んだ後藤浩輝騎手とともに、オークスへと乗り込んだ。
その年のオークスは、桜花賞馬マルセリーナと桜花賞2着馬ホエールキャプチャが単勝2.2倍と3.0倍で人気を分け合う"二強"の構図。離れた3番人気に父ディープインパクト、母エアグルーヴの良血馬グルヴェイグが続くが、単勝は10.4倍と二桁台だった。
レースはフローラSの3着馬で8番人気のピュアブリーゼが大外枠からの好ダッシュで逃げる展開に。人気の2頭は後方から、エリンコートは中団からの競馬となった。グルヴェイグや二強らが後方で睨み合っている間にエリンコートと後藤騎手が早めに仕掛けると、逃げ粘るピュアブリーゼをとらえて勝利。7、8番人気での決着で、馬連は427.5倍の大波乱となった。後藤騎手にとってはこれが生涯最後のGⅠ制覇だった。
今年のオークスは波乱となるのか、それとも人気馬が意地を見せるのか。牝馬クラシック二冠目の争いも目が離せない。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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