【青葉賞】前走1勝クラス、2200m以上が好走ゾーン スキルヴィング、サヴォーナ、ヨリマルらに要警戒
勝木淳
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激戦必至のダービートライアル
いよいよ日本ダービー出走をかけた最後の戦いがはじまる。青葉賞、次週プリンシパルSの両トライアルと京都新聞杯、この3レースとNHKマイルCで日本ダービー出走の顔ぶれはほぼ見えてくる。牝馬路線ほどではないが、牡馬も近年は2000mの皐月賞へは無理して向かわず、2400mを照準にじっくり構える陣営も増え、青葉賞はそういった馬たちによる激戦が予想される。
反面、本番と同じ舞台を走る青葉賞は重賞に昇格した1994年第1回勝ち馬エアダブリンが日本ダービーで2着に入って以来、本番で【0-6-5-66】と未だ勝ち馬が出ていない。競馬界の七不思議のひとつといっていい。はたして今年はどうだろうか。そして「青葉賞からダービー馬を」と願うみなさんは、今年はどのように評価するだろうか。注目の一戦だ。データは過去10年分を使用する。
皐月賞から中1週の強行軍で出走したのは2012年サトノギャラントが最後。この10年は一冠目に出走していない馬同士による対戦が続く。皐月賞の延長上にない青葉賞は皐月賞までの戦歴比較を当てはめにくい。
1番人気は【2-3-3-2】勝率20.0%、複勝率80.0%で堅実だが、2番人気が【0-1-1-8】複勝率20.0%とトーンダウン。その分、3~4番人気の成績がよく、5~7番人気も勝ち馬を送っている。8番人気以下も好走馬が出ており、馬券的な妙味はイメージよりある。ほとんどの馬にとって初経験の東京芝2400m戦であることも予想を少し難しくしているようだ。
次にキャリア別の傾向を。2戦は【0-0-3-8】で連対なしと冴えないが、それ以上では3戦【2-3-1-26】勝率6.3%、複勝率18.8%、4戦【4-1-2-24】勝率12.9%、複勝率22.6%と上昇する。6戦【2-1-1-15】勝率10.5%、複勝率21.1%、7戦【1-0-0-9】勝率、複勝率10.0%までは注意が必要で、それなりに経験を積んだ馬が優勢だ。
目標を皐月賞からダービーに切りかえる難しさ
キャリア3戦スキルヴィング、4戦ハーツコンチェルト、7戦サヴォーナなど有力馬はキャリア別データに合致することを確認したところで、次は戦歴別に好走ゾーンをみていこう。
前走GⅠは出走ゼロなので、まずは前走重賞組をチェックする。その着順傾向は4着以内【2-3-1-10】に対し、5着以下【1-0-0-22】。好走は18年スプリングS7着ゴーフォザサミットしかいない。皐月賞トライアルを中心とする重賞で、そこそこ結果を残せる力はほしい。京都2歳S6着以来のグランヴィノスは母ハルーワスウィートの良血馬ではあるが、データ上はやや苦しい。
ティムールらが当てはまる若葉Sは【0-0-0-7】で好走なし。皐月賞出走を断たれて目標を日本ダービーへ切りかえるのはファンが考える以上に難しいことかもしれない。
それならば、前走1勝クラス【6-7-8-68】勝率6.7%、複勝率23.6%から好走馬を探そう。その距離別成績は1800m【0-0-0-14】、2000m【0-0-1-8】に対し、2200m【3-5-3-27】勝率7.9%、複勝率28.9%、2400m【3-2-3-16】勝率12.5%、複勝率33.3%が優勢。
前走1勝クラスであっても皐月賞を視野に入れた組より、最初から2400mをターゲットにした馬を狙う。ゆりかもめ賞を勝ったスキルヴィング、アザレア賞1着サヴォーナ、大寒桜賞を勝ったヨリマルらが候補に入る。
好走ゾーンに入る、前走1勝クラス・2200m以上の馬について着順別データでさらに掘り下げると、当然、1着【5-6-6-17】勝率14.7%、複勝率50.0%に良績は集まる。2、3着から好走する例もないことはないが、やはり条件戦組は上記3頭が中心だ。中でも青葉賞と好相性なのがアザレア賞1着【3-0-1-3】と大寒桜賞1着【1-3-2-2】。スキルヴィングのゆりかもめ賞1着は【0-0-1-1】とサンプルが少ない。データ重視なら、サヴォーナとヨリマルだろう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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