【ヴィクトリアマイル】データは過去10年で4勝の阪神牝馬S組 能力最上位はドバイターフ2着から参戦ナミュール
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レースを振り返る
春のマイル女王を決める一戦、ヴィクトリアマイル。23年の優勝馬ソングラインは勢いそのままに安田記念も制している。
今年の登録は15頭となったが、出走予定馬の主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返っていく。
阪神牝馬S【データ:A メンバーレベル:B】
過去10年の成績【4-3-4-57】勝率5.9%、連対率10.3%、複勝率16.2%
前走レース別で阪神牝馬Sから挑む馬たちが最も多いということもあるが、過去10年で最多の4勝をマーク。しかし、最後の勝利は18年のジュールポレール。それ以降は優勝馬が出ていない。
11頭立てとなったレースは、ゴールドエクリプスがハナを奪おうかというところ、外からサブライムアンセムが頭を上げてかかり気味に先頭へ。800m通過47.4のスローペースで流れていった。
道中4番手のインから運んだ1番人気のマスクトディーヴァは直線で狭くなりかけたところをこじ開けると、そのまま余裕を持って勝ちタイム1:33.0で楽勝。ここでは力の違いを見せつけた。
本来はマイル戦よりもう少し長い距離がベストのようにも感じるが、阪神牝馬Sから挑む馬が多くを占めるメンバー構成なら、今回も能力上位の存在だ。
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2着はウンブライル。東京新聞杯を叩いて挑んだ一戦は馬体重476kgと10kg絞っての出走。後方4番手追走から、直線は大外から追い込んで1/2馬身差まで迫り、瞬発力勝負で良さを発揮した。
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3着モリアーナは後方2番手からレースを進め、ウンブライルと同じ上がり最速タイ32.9の末脚を繰り出したが、1列後ろにいた分前には届かず。後方3番手追走の5着ドゥアイズは直線外を回してモリアーナから0.1秒遅れた。この2頭はもう少し持久力寄りの展開がベターかもしれない。
テンハッピーローズは中団追走から直線最内を突くも6着。こちらは1400mがベストかもしれない。10着ライラックは久々のマイル戦で瞬発力勝負となってしまっては分が悪かった。
大阪杯【データ:A メンバーレベル:A】
過去10年の成績【1-0-1-2】勝率25.0%、連対率25.0%、複勝率50.0%
GⅠ昇格以降の大阪杯からの参戦は4頭と少ないが、21年グランアレグリアが勝利。直近では23年スターズオンアースが3着に入っている。
好スタートからすんなりと逃げたスタニングローズ、直後にベラジオオペラと向正面で後方から捲っていったローシャムパークが2番手に並びかける展開で1000mを1:00.2で通過する。
そのままの隊列で流れ、直線残り200mで先頭に立ったベラジオオペラがローシャムパークと最内から伸びたルージュエヴァイユの追い上げをクビ差凌いでGⅠ初制覇を飾った。
昨年のヴィクトリアマイル以来の出走だったスタニングローズは、ベラジオオペラとローシャムパークにピッタリとマークされる展開となり、直線は失速して0.5秒差の8着に終わった。
今回はマイル戦で先行できるかがカギとなるが、すんなり好位につけることができれば粘りこみがあっても不思議ではない。
ハーパーはスタニングローズからさらに0.8秒遅れた13着。マイル戦は忙しい印象があるだけに、タフな流れになってほしいところだ。
中山牝馬S【データ:B メンバーレベル:C】
過去10年の成績【1-1-0-11】勝率7.7%、連対率15.4%、複勝率15.4%
過去10年で中山牝馬Sから参戦して勝利を収めたのは19年ノームコアのみ。このほか21年にランブリングアレーが2着となっているが、3着内への好走はこの2頭のみと少ない。
スタートからやや鞍上が促し、1角入口でハナを奪い切ったコンクシェル。1000mを1:01.5で通過すると、勝負所でフィールシンパシー、ヒップホップソウル、フィアスプライドに並びかけられ、4頭一団となって直線へ。内を開けた進路取りでそのまま押し切ったコンクシェルが重賞初制覇を飾った。馬場状態は稍重、勝ちタイム1:49.0での決着だった。
このレースではハンデ53kgだっただけに、相手関係は決して楽とは言えないコンクシェルだが、東京コースでは2走前に初音Sを勝利。引き続き単騎で行けそうな点は歓迎だ。
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レース序盤は中団を追走するも、3角手前で捲っていったフィアスプライド。直線では伸びを欠き9着に終わったが、トップハンデ56kgを背負っていた点は考慮できる。ある程度のポジションに取り付いて末脚を生かすレースができれば、巻き返しがあってもいい。
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ルージュリナージュは中団よりやや後ろのインを追走。直線、鞍上のムチが飛んでいくアクシデントがあったが、馬自身も追ってから案外で13着。現状では力で見劣る。
ドバイターフ【データ:なし メンバーレベル:A】
過去10年で出走なし
メイダン競馬場芝1800mで争われたドバイターフ。レースの主導権を奪ったマテンロウスカイが1000m通過59秒台のペースを刻んだ。
直線は各馬が横に広がる展開となり、ゴール前は道中中団の外を追走していたファクトゥールシュヴァルとナミュールによる追い比べに。短アタマ差先着したファクトゥールシュヴァルがGⅠ初制覇を飾った。勝ちタイムは1:45.91だった。
惜しくも2着に終わったナミュールは道中後方2、3番手を追走。昨秋のマイルCSを制して以降は香港マイルで3着、そしてドバイターフ2着と世界の舞台でも上位に好走しており、改めて地力の高さを示した一戦だった。能力は今回のメンバーに入ると最上位と言っていいだろう。
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ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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