【オークス】桜花賞馬ステレンボッシュは崩れない 相手候補はライトバックやタガノエルピーダ
勝木淳
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桜花賞馬を買う素直さと逆転候補を探す洞察力
2000年以降のオークス24回で桜花賞馬は8勝。馬券圏内をはずしたのは7頭だから、桜花賞馬は逆転を喫しても崩れることは少ない。2着馬は2勝なので、ひっくり返すのが惜敗馬とは限らない。今年は2着アスコリピチェーノがNHKマイルCに向かった。もちろんそれが理由でもないだろうが、オークスのデータをみるとその選択は納得できる。
一方、前走が別のレースだった馬は7勝止まり(2010年に1着同着あり)で、なんだかんだ桜花賞は頼りになる。桜花賞馬が女王の座を防衛できないとすれば、前走桜花賞3着以下8勝か、別路線組。ようは2400mでこれまで以上の実力を出せる馬を探さないといけない。その辺の嗅覚はセンスに近い。馬券力と洞察力が必要だ。もちろん、桜花賞馬の単勝で勝負する、あるいは軸に置く素直さも欠かせない。桜花賞馬はオークスで根拠なく疑えない。データは過去10年分を使用する。
1番人気は【6-2-0-2】勝率60.0%、複勝率80.0%と高く、近年のオークスではなかなか崩れない。着外に負けたのはソダシとサークルオブライフ。ソダシはその後の活躍をみれば、やはりオークスでは距離の壁があった。サークルオブライフはチューリップ賞、桜花賞と2連敗していて、気性面など年明けから成績を落とす要因があった。オークスでその怪しさを察知できたかどうか。そこはセンスだろう。
残る4勝は2、3番人気があげており、複勝率でみても3番人気と4番人気の間に壁を感じる。一方で10番人気以下は【0-2-3-82】複勝率5.7%と、大穴が下馬評を覆し馬券圏内に入る可能性は残されており、穴党はここを拾いあげたいところだ。
牝馬クラシック最終盤とはいえ、あまりレース数を重ねている馬は強調しづらい。キャリアでは3戦【2-0-1-18】勝率9.5%、複勝率14.3%、4戦【4-4-2-27】勝率10.8%、複勝率27.0%と勝利数のピークは4戦。複勝率では5戦【2-5-4-25】勝率5.6%、複勝率30.6%まで。6戦以上も好走例は出ているが、やはりデビューから5戦以内でオークスにたどり着く計画性は強みになる。さらに理想は前走から中4~8週【9-6-8-86】勝率8.3%、複勝率21.1%で好走パターンは限られてくる。
逆転候補はライトバック、スウィープフィート、そしてタガノエルピーダ
そんな限られる好走パターンについて、前走クラス別成績を頼りに詳しくみてみよう。
前走桜花賞は【7-5-6-63】勝率8.6%、複勝率22.2%で当然、前走GⅠの大半を占める。今年は桜花賞から1、3、4、8、13、17着が登録した。ステレンボッシュに迫る、ないし逆転する馬はいるだろうか。
桜花賞1着はこの10年で【4-1-0-3】勝率50.0%、複勝率62.5%。これを高いととるか、つけ入るスキがあるととるか、そこは競馬観だろうか。ただ、4着以下に敗れた3頭はレッツゴードンキ、レーヌミノル、ソダシなので、やはり距離の限界はあった。今年のステレンボッシュは血統表にシーザリオ、エアグルーヴ、ダイナカールの名があるオークス血統であり、主にマイル戦に出走してきたとはいえ、距離に壁があるとは思えない。スピードというより末脚を武器とするタイプでもあり、脚さえ溜められれば最後は伸びてくる。
データ上、逆転を託すなら3着【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%まで。近年は4着以下【0-3-3-51】で馬券圏内への浮上こそあれど、ひっくり返すまでには至っていない。ただ、10着以下だった馬が3着に3頭入っており、ここはしっかり見極めたい。アルテミスSからぶっつけで桜花賞に挑んだチェルヴィニアは当時と違うだろう。また桜花賞のレース内容を踏まえると、明らかに遅れ差しの形になったライトバックやスウィープフィートも距離が延びて楽しみは残る。中団につけて流れに乗れれば逆転まで託したくなる。
トライアルではフローラS【1-3-1-39】勝率2.3%、複勝率11.4%をとりあげる。1着【0-3-0-7】、2着【0-0-0-9】、3着【1-0-0-5】、5着【0-0-1-5】。勝ち馬アドマイヤベルは候補に残る。
忘れてはいけないのが忘れな草賞で【2-0-1-8】勝率18.1%、複勝率27.3%だ。数年置きにオークス馬を送っており、最後は2019年ラヴズオンリーユー。5年経っており、そろそろと思わなくもない。
タガノエルピーダには朝日杯FS3着の実績がある。チューリップ賞4着で権利を逃し、起死回生を狙った忘れな草賞をとった。前後半1000m58.1-61.3のハイペースを4コーナー先頭から押し切り、2着に2馬身半差とパフォーマンスは評価できる。0.1秒以上つけて勝った馬は【2-0-1-4】、0秒3以上【1-0-0-1】でデータもあと押しする。ちょっとスピード色が強く映るが、1:59.4はレース史上3位。極端に速くないのはむしろ好感をもてる。このレースでハイペースを演出したパレハが登録しており、上手く利用できれば後続の末脚を削げるのではないか。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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