【オークス】データやレベルから桜花賞組を重視 中心はステレンボッシュ、逆転候補はライトバックとクイーンズウォーク
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レースを振り返る
東京競馬場の芝2400mを舞台に、3歳牝馬たちが樫の女王の座をかけて争うオークス。スピードとスタミナが要求され、過去10年では1番人気が【6-2-0-2】と圧倒的な強さを誇る。今年は18頭が登録、主な参考レースをデータとともに振り返っていく。
桜花賞【データ:A メンバーレベル:A】
過去10年の成績【7-5-6-63】勝率8.6%、連対率14.8%、複勝率22.2%
過去10年で7勝、ハイレベルのレース経験を生かして圧倒的な成績を残している桜花賞組。23年リバティアイランドをはじめ、桜花賞馬が4勝している。
スタート直後の先行争いを制したショウナンマヌエラがハナを奪う形となり、直後の2番手にエトヴプレという隊列で前半800m通過は46.3と淀みなく流れた。中団から運んだステレンボッシュは直線で外へと持ち出されると、早め先頭に立ったエトヴプレを残り150mでかわし力強く突き抜けた。勝ちタイム1:32.2で決着した。
3/4馬身の差をつけられた2着アスコリピチェーノは昨年末の阪神JFでステレンボッシュに勝利。そして先日のNHKマイルCでも直線で内に強引に進路を求める場面がありながら2着と好走しているように能力は高く、今年の桜花賞はハイレベルの一戦だったと見る。今回はJ.モレイラ騎手から戸崎圭太騎手へと乗り替わるが、ステレンボッシュ自身は距離延長も問題ないタイプで、二冠達成へ死角は少ない。
3着ライトバックと4着スウィープフィートは後方からレースを進めて追い込んだ。ライトバックは上がり最速32.8をマーク、直線の長いコースは合うタイプでしっかり脚を溜めることができれば逆転の可能性も秘める。スウィープフィートは直線に向いたところで蓋をされ、進路を探しながら伸びてきた。自分から動けない面はあるが、今回も上位争いに加わってくるだろう。
これらの馬以外にも8着クイーンズウォーク、13着チェルヴィニア、17着ショウナンマヌエラも登録がある。
クイーンズウォークは陣営からマイルより長い距離が良いタイプという言葉も聞かれたなかで、直線は内から馬群を捌いて0.6秒差だった。クイーンCを勝利している東京コースと距離延長で巻き返し必至。こちらも逆転候補の一頭だ。
昨年10月のアルテミスS以来の実戦かつ、主戦のC.ルメール騎手の落馬負傷によってB.ムルザバエフ騎手に乗り替わりとなったチェルヴィニア。デビューから3戦の内容は世代でも上位の力を感じさせるもので、久々を使われてから挑む今回は上積みが期待できる。
忘れな草賞【データ:B メンバーレベル:C】
過去10年の成績【2-0-1-8】勝率18.2%、連対率18.2%、複勝率27.3%
15年ミッキークイーン、19年ラヴズオンリーユーが勝利。桜花賞には出走しなかった別路線組では最も好成績を残している。
8頭立てで行われたレースは序盤、パレハ、プシプシーナ、オオナミコナミの3頭が後続を大きく引き離す展開で1000m通過58.1というハイペースで流れた。離れた4番手を追走していたタガノエルピーダは先行勢がバテてペースが落ちた3角で動いていき4角で先頭へ。直線は同じくポジションを押し上げたステラクラウンを突き放して2馬身半差をつけ、1:59.4で快勝した。
メンバーレベルは決して高くなかったが、ハイペースを自ら動いて押し切った内容は2400mのオークスでも生きてくるはず。牝馬ながら朝日杯FSに参戦し、ジャンタルマンタルと0.2秒差の3着という内容からも能力は高く、ここでも通用する。桜花賞組以外ではタガノエルピーダをピックアップしたい。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
逃げたパレハは4角でかわされるとそのまま後退して6着。追加登録をしての出走で、今回もレースを引っ張る可能性があるが、能力面では厳しいと言わざるを得ない。
フローラS【データ:C メンバーレベル:B】
過去10年の成績【1-3-1-39】勝率2.3%、連対率9.1%、複勝率11.4%
勝利は21年のユーバーレーベンのみ。20年ウインマリリンなど2着も3回あるが、相性が良いとは言えない成績となっている。
春の東京開催開幕週に行われたフローラS。スタートしてメアヴィアとユキワリザクラが競る形となったが、向正面に差しかかったところでメアヴィアが単騎先頭に立った。1000m通過は59.7、道中6番手を追走していたアドマイヤベルは、直線で外へと持ち出されると残り100mで先頭に立ち後続に1馬身差をつけて1:59.0で勝利した。
アドマイヤベルは4戦全てが左回りでそのうち3戦が東京コース。百日草特別では、のちの皐月賞4着馬アーバンシックの3着といったようにこれまで堅実に走っており、そうした経験が生きたレースだったと言える。2400mへの距離延長は全く問題なさそうだ。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
チューリップ賞では進路がなくしっかりと追えずの7着だったラヴァンダは、4番手からロスなく立ち回り、直線も最内の狭いところを割って伸びて2着。中団を追走し、直線外に持ち出されたサンセットビューは9着という結果だった。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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