【ヴィクトリアマイル】「阪神牝馬S5番人気以内で惜敗」は複回収率141% データで導く穴馬候補3頭

鈴木ユウヤ

2024年ヴィクトリアマイルの穴馬イメージ,ⒸSPAIA

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データで見る「穴候補3頭」

今週末の東京メインはヴィクトリアマイル。春のマイル女王決定戦だ。マイルCSを制し海外GⅠでも連続好走とスーパー牝馬の域に入りつつあるナミュール、秋華賞では火の出るような末脚でリバティアイランドに迫ったマスクトディーヴァ、この2頭の対決に注目が集まる。

と同時に、2015年にはJRAのGⅠ史上最高額となる3連単2070万馬券が飛び出すなど、高配当への期待が持てるレースでもある。今週も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。

「阪神牝馬S上位人気の惜敗馬」が穴演出 ドゥアイズ

まず1頭目はドゥアイズから。昨年は牝馬三冠を皆勤するも桜花賞5着、オークス9着、秋華賞10着と結果が出なかった。しかし距離をマイルに戻して立ち直りを見せ、阪神牝馬S2番人気5着からここへ臨む。

ヴィクトリアマイル 阪神牝馬Sでの結果別成績,ⒸSPAIA


阪神牝馬Sがマイルになった2016年以降、そこでの「着順」よりも「人気」がヴィクトリアマイルでの走りに直結する。阪神牝馬Sの5番人気以内馬が【3-3-2-23】複勝率25.8%、同6番人気以下が【0-0-2-24】複勝率7.7%と明暗ハッキリだ。

前者のうち、阪神牝馬Sで2~5着に惜敗した馬は【2-2-2-7】複勝率46.2%、単回収率253%、複回収率141%と妙味あり。ここが狙い目となる。上位人気に推されたというのは、それだけ能力を評価されていたということ。しかし陣営からすれば前哨戦はあくまで前哨戦。期待の高い馬こそ、本番でピークを迎えるために逆算した状態での出走となる。だから着順は二の次だ。前哨戦の負けひとつで見限ってしまうのは厳禁である。

ドゥアイズの2走前・洛陽Sは前半3F33.8秒のハイペース、かつ外差し有利の馬場で2-3着に後方勢が突っ込んでくるなか、自身は比較的前目のポジションから押し切る好内容だった。勝ち時計1:32.6も当時のタフな馬場を考えれば優秀といっていい。前走は出遅れてスローペースの後方から。上がり33.0秒を使うも展開が向かなかっただけ。ゲートを決めて好位で流れに乗れば大仕事があっていい。

「先行してバテた馬」の距離短縮がドル箱 スタニングローズ

2頭目は秋華賞馬スタニングローズ。故障で4歳の下半期は棒に振ったが、復帰戦となった大阪杯は逃げて0.5秒差の8着とまずまずの結果を得た。牝馬同士の戦いに替わって完全復活を期す。

ヴィクトリアマイルは番組体系上、必然的に距離短縮馬も多く出走してくるレースだ。そして、その取捨は驚くほど単純に決まる。データを見よう。

ヴィクトリアマイル 距離短縮組の条件別成績(過去10年),ⒸSPAIA


過去10年の当レースに出走した距離短縮組は、前走で4角4番手以内なら【2-1-2-21】複勝率19.2%、複回収率402%。これに対し、同5番手以下なら【1-2-1-25】複勝率13.8%、複回収率53%となっている。長めの距離から来る場合は、そこで前々につけられていたかどうかが取捨の基準。要するに、中距離でポジションがとれないようではスピード不足ということだ。

ところが前走で4角4番手以内だった距離短縮組も、そこで2着以内だと【0-0-0-12】とまさかの全滅。3着以下が【2-1-2-9】複勝率35.7%、複回収率747%という逆転現象が起きている。1800m以上でも結果が出た馬より、先行してバテてしまった馬こそ、マイルへの短縮が効果的なのだ。

条件に合致するのは2頭。フィアスプライド(初角10番手も4角では3番手)についても追って述べるが、まずはスタニングローズから。3歳時にオークス、秋華賞で熱戦を繰り広げたスターズオンアースとナミュールはその後牡馬相手の古馬GⅠでも大活躍。この世代の牝馬がハイレベルだったことを証明している。レース巧者であり、東京マイルが特段プラスになるタイプではないが、GⅠ馬が自身とナミュールだけという構成なら能力比較で優位に立てる。

GⅠのルメール騎手は伏兵でこそ買え! フィアスプライド

ラストは前章の条件にも合致したフィアスプライド。鞍上はドバイでの落馬負傷から復帰2週目となるC.ルメール騎手の予定だ。

ルメール騎手のJRA・GⅠ成績(過去10年),ⒸSPAIA


自身の名声もあって、GⅠでは上位人気馬に乗ることが多いルメール騎手。だがデータ的にはむしろ伏兵に乗ったときの方が「買い」だ。

過去10年のJRA・GⅠにおいて、3番人気以内への騎乗時は【40-27-20-48】複勝率64.4%と素晴らしいが、単回収率77%、複回収率91%は惜しくも黒字にならない。一方、4番人気以下では【5-5-3-43】複勝率23.2%、単回収率112%、複回収率104%。特に牝馬では【1-4-2-13】複勝率35.0%、複回収率183%をマークしている。「GⅠ」で「4番人気以下」の「牝馬」に乗るルメールは買っておこう。

フィアスプライドは3走前に府中牝馬Sで上がり32.6秒という強烈な切れ味を発揮して4着。続くターコイズSで重賞初勝利を飾った。前走の中山牝馬Sはベストより気持ち長い1800m、稍重馬場、単独トップハンデの56キロ、11秒台が刻まれていた向正面でポジションを上げて脚を使ったことなど、噛み合わない部分が多かった。マイルに戻って府中の高速決着という条件は絶好の極みだ。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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