【皐月賞】勝ち頭は「前走共同通信杯組」 ファントムシーフが一冠目をいただきに参上!

門田光生

皐月賞の前走着順別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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GⅠ馬不在の一冠目

2023年4月16日に中山競馬場で行われる第83回皐月賞。阪神JFの上位馬がそろって出走してきた桜花賞と違い、朝日杯FS、そしてホープフルSの勝ち馬が不在。その点で物足りないところだが、GⅠ馬不在ということで、どの馬にもチャンスがある混戦ともいえるだろう。

そんな皐月賞にはどんな傾向があるのか。今回もGⅠということで、過去15回分のデータを基にして検証していきたい。

皐月賞出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆所属
美浦所属馬が6勝(10連対)、栗東所属馬が9勝(20連対)。数字の上では栗東有利だが、出走頭数も栗東所属の方が多く、勝率、連対率では大きな差はついていない。

皐月賞出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
勝ち馬が出ているのは、キャリア3~7戦。キャリア2戦は2着が最高で、キャリアが8戦を超えると馬券に絡んだ馬がいなくなる。キャリア4戦、もしくは5戦だった馬の出走頭数が他と比べて多く、また馬券にも多く絡んでいる。そして、勝率、連対率が最もいいのはキャリア3戦。よって、キャリア3~5戦が望ましい。

皐月賞出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
皐月賞出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
1勝クラス組からは馬券に絡んだ馬はおらず、オープン組からも勝ち馬は出ていない。つまり、トライアルである若葉Sから15年間も勝ち馬が出ていないことになる(直近では2007年ヴィクトリー)。最も勝ち馬を出しているのはGⅢ組の7頭、次いでGⅡ組の6頭。GⅠ組は2頭のみだが、出走したのは6頭だけ。

レース別で見ると、共同通信杯組が6勝でトップ。ただし、2着馬は1頭もいない。続いてスプリングSの4勝。こちらは2着馬が1頭のみ。2着馬をたくさん出しているのが弥生賞で、勝ち馬2頭に対して、2着馬は7頭。連対率は14.3%と悪くないが、勝率3%台をどう考えるか。今回の登録馬で、連対例がない前哨戦はきさらぎ賞、京成杯、すみれS。若駒Sも連対馬は出ていないが、サンプルが1頭しかいないので参考程度でいいだろう。

皐月賞出走馬の前走着順,ⒸSPAIA
皐月賞出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着順と前走人気
勝ち馬15頭中、前走1着馬が11頭。2着も9頭いるので、これはぜひクリアしておきたいデータだ。逆に前走3着以下で皐月賞馬となったのは、2008年キャプテントゥーレだけ。

また、連対馬30頭中19頭が前走で1番人気に支持されており、連対率は29.2%と高かった。

皐月賞におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まず前走馬体重だが、460キロ以下で皐月賞馬となったのは、2011年のオルフェーヴル(前走時444キロ)だけ。2着馬も1頭しかおらず、基本的には大型馬有利の傾向となっている。また、1月生まれの馬は未勝利。ほかにも、前走でコンマ5秒以上負けていた、もしくは前走が2200m以上だった馬はすべて3着以下となっている。


今年も共同通信杯組に注目

皐月賞のデータをまとめていこう。まず好走確率が上がるデータはA「キャリア3~5戦」、B「前走が共同通信杯orスプリングS」、C「前走1着」、D「前走1番人気」。

勝率、好走率が下がってしまうデータはE「前走3着以下」、F「前走馬体重460キロ以下」。

勝ち馬が出ていないデータはG「キャリア2戦」、H「前走がオープン」、I「1月生まれ」。

連対馬が出ていないデータはJ「キャリア8戦以上」、K「前走がきさらぎ賞or京成杯orすみれS」、L「前走がコンマ5秒以上の負け」、M「前走が2200m以上」。

今回、半分以上の馬が何かしらのマイナスデータに引っかかっている。マイナスデータを持っていないのはタスティエーラ、ダノンタッチダウン、ファントムシーフ、ベラジオオペラ、ホウオウビスケッツの5頭。このうち、プラスデータを最も多く持っているのがファントムシーフとべラジオオペラだ。前者は2年連続で勝ち馬を出している共同通信杯組というのが魅力で、今回はファントムシーフを本命としたい。

続くのはホウオウビスケッツとタスティエーラ。ホウオウビスケッツは【0-0-0-2】の6月生まれ。サンプルは少ないが、春のクラシックにおいて遅生まれが有利になるとも思えず、今回は押さえまで。ここで好走するようなら、ダービー、菊花賞と楽しみになる。タスティエーラもデータ上は悪くないが、2着がやたらと多い弥生賞組なので、これも連候補となる。ダノンタッチダウンは強調材料がA「キャリア3戦」だけだが、マイナスデータもないだけに印は入れておきたい。

D.レーン騎手が騎乗して人気になりそうなフリームファクシだが、過去に13頭が出走して一度も連対していないきさらぎ賞からの直行組。過去にきさらぎ賞を勝って直行した馬の成績を振り返ってみると、2009年にはリーチザクラウンが2番人気で13着と大敗、2014年トーセンスターダムは3戦無敗で挑み3番人気で11着だった。2016年サトノダイヤモンドも同じく3戦3勝の成績を評価されて1番人気に支持されたが3着。実際に人気した馬が連を外しているのでノーマークとしたい。

◎ファントムシーフ
◯ベラジオオペラ
▲ダノンタッチダウン
△タスティエーラ
×ホウオウビスケッツ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
つい最近、階段を下りたときに、膝の上の筋肉がつりそうになりました。ふくらはぎがつることはよくあるのですが、この部分は初めて。厩舎を取材している日は1万歩以上歩いているとはいえ、それを合わせても運動不足なんでしょうね。

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