【皐月賞】参考レース振り返り データは勝率31.3%の共同通信杯組、素質ならヒケとらないソールオリエンス
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レースを振り返る
4月16日(日)、中山競馬場では牡馬クラシックの第1戦・皐月賞(GⅠ・芝2000m)が行われる。2歳GⅠを制したドルチェモアとドゥラエレーデはともに不在で、今年は混戦の様相を呈している。出走予定馬の主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返っていこう。
共同通信杯【データ:A メンバーレベル:A】
過去10年の成績【5-0-2-9】勝率31.3%、連対率31.3%、複勝率43.8%
過去10年のうち半数にあたる5勝をマーク。2021年エフフォーリア、2022年ジオグリフと現在連勝中の最も勢いがあるローテーションだ。
スタートでタッチウッドが出遅れ。2角でじわっとファントムシーフがハナに立ったが、すぐさま巻き返していったタッチウッドが主導権を奪う形となった。そうした攻防もあり2ハロン目から11.1-11.3と速いラップが刻まれたが、その後はペースが落ちてスローペースで流れた。
直線はタッチウッドがしぶとく粘るが、残り100mで捉えたファントムシーフが1.1/4馬身差で勝利。勝ちタイムは1:47.0だった。
前半ペースが速くなったところで競り合ったファントムシーフと2着タッチウッドのパフォーマンスは高く評価できる。ファントムシーフは中山コースがベストではないものの、力を発揮できれば十分勝ち負けできる素質がある。タッチウッドはコーナー4回の中山芝2000mが合いそうだ。
5着ウインオーディンは前半折り合いを欠く場面もありながら、0.5秒差。4着タスティエーラがその後弥生賞ディープインパクト記念を、6着に敗れたシーズンリッチが毎日杯を制しているというレースレベルを考えると、人気以上の着順に好走する可能性はある。
スプリングS【データ:B メンバーレベル:C】
過去10年の成績【2-1-2-31】勝率5.6%、連対率8.3%、複勝率13.9%
共同通信杯に次ぐ2勝をあげているスプリングS組だが、優勝馬は2018年エポカドーロ、3着内への好走は2020年3着のガロアクリークが最後。直近2年は計8頭が出走して9着以下という成績となっている。
雨上がりの重馬場で行われた今年のスプリングS。最内枠から好スタートを切ったグラニットが1000m通過59.4秒というペースで逃げ、縦長の隊列で流れた。
道中7番手からレースを進めたベラジオオペラが直線外から伸び、2着ホウオウビスケッツに1.1/4馬身差をつけて1:48.9というタイムで勝利した。
これで3連勝としたベラジオオペラ。過去2戦とは違い中団で控える形となるも、最後まで力強さを見せた。稍重だった新馬戦も含め、改めて道悪適性を示した一戦だと言えるだろう。
ホウオウビスケッツは3番手を追走からロスなく立ち回った。3着メタルスピードは中団追走から直線は間を突いて2着に3/4馬身差。4着グラニットはそこから1/2馬身差に食い下がり、6着セブンマジシャンは後方追走から大外を回すも見せ場を作ることができずに終わった。
勝ち馬は強いレースぶりだったが、全体的には決してレベルが高いとは言えないメンバー構成だった。
弥生賞ディープインパクト記念【データ:C メンバーレベル:B】
過去10年の成績【0-5-3-33】勝率0.0%、連対率12.2%、複勝率19.5%
王道のローテーションとして知られているが、過去10年では皐月賞優勝馬はゼロ。それでも2021年2着のタイトルホルダー、2022年3着のドウデュースと2年連続で好走馬を送り出している。
レースはゴッドファーザーが1000m通過1:01.0というスローペースで逃げる展開。3番手の外からレースを進めたタスティエーラが残り200mで先頭に立つと、そのまま押し切って重賞初制覇を飾った。勝ちタイム2:00.4での決着だった。
タスティエーラは共同通信杯で4着に敗れての参戦だったが、1馬身という着差以上の完勝。改めて共同通信杯組のレベルの高さを証明してみせた。
トップナイフは好位追走から最内を割って伸びるも2着。京都2歳S、ホープフルSに続いてまたしても勝ち切ることはできなかった。それでも相手なりに走れる安定感は健在だ。
3着ワンダイレクトは中団から一旦はトップナイフをかわすかという場面もあったが、競り負けた格好。相変わらずスタートは遅く、多頭数となる今回は割引が必要かもしれない。
8着グリューネグリーンは後方3番手から運ぶも伸びを欠いた。ここ2戦は控える競馬で結果が出ておらず、現状は先行する形が合っていそうだ。
京成杯【データ:C メンバーレベル:C】
過去10年の成績【0-0-1-4】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率20.0%
2018年にジェネラーレウーノが3着となっているが、それ以外の4頭はいずれも掲示板外という成績だ。
9頭立てとなった京成杯を制したのはソールオリエンス。グラニットが前半1000mを1:02.2のスローペースで逃げる中、5番手からレースを進める。4角で外に膨れる場面を見せるも、非凡な瞬発力を発揮して後続に2馬身半差をつける完勝だった。
3着セブンマジシャンは先述のスプリングSで6着、8着グラニットも同じくスプリングS4着とレースレベル自体は高くないが、ソールオリエンス自身が秘める素質は世代でもトップクラスとみる。
きさらぎ賞【データ:C メンバーレベル:C】
過去10年の成績【0-0-1-6】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率14.3%
過去10年で7頭がきさらぎ賞から皐月賞へと挑むも、3着内への好走は2016年3着のサトノダイヤモンドのみとなっている。
8頭立てで行われたきさらぎ賞は、行き脚のついたレミージュが逃げて1000m通過は1:01.2。フリームファクシは直後の2番手を追走、鞍上の川田将雅騎手は直線で馬場の悪い内を避けて真ん中を選択し、一旦は完全に抜け出した。ゴール前は後方からオープンファイアが猛追し接戦となるも、アタマ差しのいだ。勝ちタイム1:59.7は優秀で、上位2頭は高く評価できる。
フリームファクシはこれで3連勝。レースを重ねるごとに内容も良化しており、皐月賞でも十分勝ち負けできる素質の持ち主だ。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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