【プロキオンS】条件は揃った、エアアルマス復活に期待 昨年好走の2頭はペース次第か
山崎エリカ

ⒸSPAIA
今年も前目内目有利の決着になるか?
プロキオンSは、夏場の中京ダ1400mで行われるGⅢ。JRAでは年間3レースのみのダートの短距離重賞の1つだが、今年も昨年同様に小倉ダ1700mで行われる。このため前走1400m~2100mの幅広い距離を使われている馬が出走してくることで、この路線としては逃げ、先行馬が手薄となるのが特徴。
昨年は土曜日の段階で重の高速ダートからスタートし、そこから回復したが、プロキオンSの直前にゲリラ豪雨に見舞われ、再び一気に高速化。スピードが問われるレースになったこともあり、3角5番手以内馬が上位を独占する大波乱決着となった。1着はメイショウカズサ(9番人気)、2着と3着は今回も出走のトップウイナー(14番人気)とメイショウウズマサ(12番人気)である。
今年も逃げたい馬は1番枠に入ったエアアルマスと昨年のこのレースで逃げたメイショウウズマサ。外から砂を被されたくないトップウイナー、ユニコーンライオンらも2列目を狙ってくると見ているが、昨年同様に逃げ、先行馬が有利な展開になる可能性が高いと見ている。
能力値1~5位馬の紹介
【能力値1位 エアアルマス】
デビューからしばらく芝路線を使われていた馬だが、ダートに路線転向すると一気に上昇、3連勝でダ1800mの太秦Sを勝利。太秦Sで2着に下した相手は、後に重賞でも活躍するヴェンジェンスだったことからも、この勝利の価値は高い。またエアアルマスはその後の東海Sでも、再びヴェンジェンスを2着に下して優勝している。
ところがその東海Sの前走の武蔵野Sでは、3番枠から芝地点で勢いをつけて、ハナを切るかの勢いだったものの、逃げを嫌って控えたことが裏目。キックバックを食らってどんどん位置が下がり、包まれる形になって11着に大敗した。このようにダートでは揉まれる競馬になると能力を出せない。
一方ですんなり自分の形で競馬ができれば、フェブラリーSでの5着のように少々厳しい展開となっても好走できる力がある。近走はダートの短距離を使われ、自分の得意な形の競馬ができていない中でそれなりに走れている。
今回は得意のダート中距離。近走はダート短距離を使われているので、今回は行きっぷりも良くなるだろう。また、今回は初めてのブリンカーを着用する。ブリンカーは初めての時がもっとも効果があるだけに、今回のメンバーが相手でも逃げることも可能だと見ている。
今回は良い方にも悪い方にも出る1番枠だが、自分の形の競馬ができそうな条件が揃った今回は、激走がありそうな気配。終わってみればここでは力が違ったという結果になる可能性は十分だ。
【能力値1位 アルドーレ】
前々走で東京ダ2100mのブリリアントSを勝利した馬。前々走は不良で高速ダート、前半5F59秒7-後半5F61秒3のかなりハイペースとなったが、大外16番枠からまずまずのスタートを切って、好位の外目を追走。終始ロスを作りながらの追走になったが、最後の直線ではしぶとく伸びて、1馬身3/4差で快勝した。
しかし、前々走と同条件、同距離コースの前走スレイプニルSでは6着敗退。このレースも前半5F60秒6-後半5F61秒7のややハイペースで、5番枠から五分のスタートを切ったが、1~2角で外となり徐々に下がって気が付けば後方付近からの競馬。向正面では中団やや後方の外を追走し、3~4角の外々から追い出されたものの、置かれて後方で最後の直線。それでも外からジリジリと伸びてはいた。
前走は前々走で自己最高指数を記録した後の疲労で、もたつく面を見せており、それゆえに位置取りが悪くなった面がある。また、前々走は厳しい流れで縦長の隊列になったために、そこまで大きなロスはなかったが、前走は前々走時と比べると馬群が凝縮しており、前々走以上に外を回されたことが敗因と見ている。
ただ、アルドーレはそこまで積極的に位置を取っていけるタイプではなく、今回が前有利の展開と見るならば、割引が必要。また大外16番枠から3番手まで押し上げて行った3走前の名古屋城Sで4着に敗れていることからも、前々走のように速い流れを差す競馬がベストの馬と言える。
【能力値3位 ラーゴム】
デビューから芝のクラシック路線を走ってきた馬。古馬混合になってからもアンドロメダSを勝利しているように、芝でも着実な成長を感じさせていた。ところが前々走ではダートの仁川Sに出走。なかなかの好メンバーを相手に初ダートで善戦したことは、今後のダートでの上昇にも期待を持たせる内容だった。そして前走では再びダートの吾妻小富士Sに出走し、見事に勝利を決めた。
同馬は今回がダート3戦目。ダートのキャリアは浅く、慣れによる上昇度が期待できそうだが、今回は大外、16番枠。自ら勝ちに行くとロスが出る可能性もある枠。脚をタメればペース次第では外々を回らされてしまう可能性もある。そのあたりに危うさを感じるが、ダートでの活躍は今後も十分に期待できる馬だ。
【能力値4位 サンライズウルス】
前走の3勝クラス・立夏Sをオープンでも通用する指数で勝利。6番枠から五分のスタートを切って、2列目の中目を追走。4角出口で前の2頭の外に出すと、ラスト300m付近で抜け出し、そこから後続との差を広げて3馬身差の完勝。
同馬はユニコーンS以降、前の位置が取れずに苦戦していた面があったが、3走前のアプローズ賞よりブリンカーを着用し、徐々に前の位置を取れるようになって成績が上昇。ただ、今回のメンバーを相手に15番枠となると、前に行けない可能性が高い。また、前走は前半4F50秒4-後半4F49秒4のスローペースで、展開に恵まれた面もあっただけに、ここは割り引きたい。
【能力値5位 ゲンパチルシファー】
前走のスレイプニルSでは3着と今回の出走メンバー中では2番手。12頭立ての11番枠と外枠だったので、内の馬の出方を窺いながら、徐々に出して2コーナーで2番手。逃げ馬から離れた単独2番手を追走し、最後の直線では逃げたテリオスベルとの差をじわじわ詰めて3着。
最後に外からサクラアリュールにハナ差差されてしまったが、前半5F60秒6-後半5F61秒7のやや速い流れで、3~4角から仕掛けた逃げ馬を捕らえに動いたことを考えれば、上々の内容。指数もここでは上位だが、今回は休養明けの前走で自己最高指数を記録した後の一戦。川田騎手は外目の枠から内に潜り込むのを得意としているだけに、12番枠という枠自体は気にならないのだが、そのぶん過剰人気にもなる。休養明け好走の反動が出る危険性も伴う以上、こちらも割り引きたい。
穴馬は昨年3着のメイショウウズマサ
昨年のプロキオンSでは逃げて3着に粘った馬。その後は着実に力をつけてエニフスS2着、バレンタインS1着とオープンやリステッド競走で好走している。
前走のアハルテケSでは逃げて3着。最後の直線では完全に抜け出し態勢だったが、勝ち馬が早めに上がって来て、苦しい展開になってしまった。今回もペース配分がカギとなりそうだが、苦しい競馬の経験は持久力強化に繋がるもの。今回は休養明け3戦目でレースを順調に使われているのは好印象。前からの粘り込みがあっても不思議はない。
また前走で厳しいペース、展開を経験したという意味では昨年の2着馬トップウイナーも同じ。同馬も今回で復活が期待できる一頭だ。
※記事内のブリリアントS、スレイプニルSの前半5Fタイムは筆者が独自に集計したものであり、公式発表の時計ではありません。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)アルドーレの前々走の指数「-29」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.9秒速い
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
《関連記事》
・【七夕賞】ハイブリッド式消去法で残ったのは3頭! 良馬場ならアンティシペイト、道悪なら昨年2着ロザムール
・【プロキオンS】サンライズウルスの前走は重賞級の好時計 血統的に小回り適性もあり!
・【七夕賞】前走GⅠ組過信禁物 高配当の使者は重賞大敗、距離延長組にいる!