デアリングタクト、コントレイルも敗戦の春競馬 「雨の日の競馬は荒れる」は本当なのか
SPAIA編集部
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波乱続きの春競馬
つい先日、有馬記念が終わったかのような気分だが、あれよあれよという間に2021年の競馬も約3分の1が終了。光陰矢の如し、とはよく言ったもので、早くも中央競馬では5つのGⅠを消化。牡牝のクラシック第一冠が終了した。
今年、ここまでの競馬を一言で表現すると「波乱」。昨年の三冠馬コントレイル、デアリングタクトはそれぞれ始動戦を落とし、平地重賞ではオーシャンSのカレンモエ(2着)からニュージーランドTのアヴェラーレ(15着)に至るまで、1番人気馬が実に16連敗という珍記録も生まれた。
この間、単勝1倍台に推された馬も7頭いたが、前述の三冠馬2頭のほか、弥生賞のダノンザキッド、ルメール騎手が騎乗した阪神大賞典アリストテレス、翌週土日のグレートマジシャン、アメリカンシードなどが軒並み敗れている。
この一因として囁かれているのが、雨の影響。“競馬の神様”こと大川慶次郎氏は「雨の日は賭け金を半分にしなさい」と言ったとかいう話だが、果たしてこの「雨(道悪)=荒れる」というイメージは正しいのか、実際にデータを見てみよう。(使用するデータは2020年4月18日~2021年4月16日)
実は雨の方が堅い?
さっそく、直近の1年間の平地競走で単勝の平均配当を見てみよう。馬場状態等を限定しない場合の平均は1065円。これに対して良馬場時は1092円、稍重・重・不良(以下、道悪と表記)の時は1005円。このデータだけを見ると、実は道悪の方が堅い決着になっていると言える。
とはいえ、これにはカラクリがある。芝とダートで区別してデータを出すと、芝では良馬場:1012円、道悪:1168円と、確かに道悪の方が荒れている。一方、ダートでは1184円、道悪では883円という内訳だ。施行レース数の多いダートに引っ張られるため、道悪の方が実際の平均配当は低く出るものの、ビッグレースが多い芝の印象論で「道悪の方が荒れる」というイメージがついているのだ。
それにしても、良馬場時は平均で約170円、ダートの方が「荒れる」にもかかわらず、道悪になると逆転、なんとダートの方が約290円「堅い」という結果には驚いた。雨の日は芝とダートで大きく馬券戦略を変える必要があるだろう。
道悪で使える戦略は?
せっかくこのようなデータを出したので、「荒れにくい」道悪ダート、「荒れやすい」道悪芝で稼げそうな戦略がないか、少し考えてみる。
まずはダートから。人気に注目すると、当然ながら1・2番人気が好成績。回収率も単87/複85で、3番人気以下の単57/複70よりはかなり高い。
その1・2番人気で回収率が100%を超えるのは大型馬の場合。馬体重が500キロ以上ならば勝率31.0%、単回収率102%となる。ちなみに馬体重が減っている場合は単回収率80%とイマイチで、増減なしor体重増なら単回収率115%だった。
続いて芝。芝の場合はここまで「道悪」といっしょくたに話してきたが、「稍重」と「重・不良」でもまた別物のようだ。稍重だと先述の単勝平均は961円となり、良馬場より堅い。
芝の重・不良では、単勝オッズ10倍以上の馬の単回収率が116%、50倍以上が157%。過去1年のサンプルでは不安ということで、念のため過去5年に広げてみても、単勝オッズ50倍以上の馬は112%とプラス収支だった。
単勝配当に絞った話をしてきたが、これは他の券種にも応用可能。つまり、芝の重・不良では買い目に単勝50倍以上の馬を入れる、そしてできればボックスやマルチなど、その馬が1着になるパターンの馬券も握っておく。これが、やはり期待値的にも望ましい行動といえそうだ。
雨の日はダートで手堅く買い、芝で大穴狙いをする。波乱、悪天候続きの春競馬を戦い抜くためにぜひとも頭の片隅に入れておきたいデータだ。
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