【ヴィクトリアマイル】昨年の雪辱なるか?打倒・絶対女王アーモンドアイへ期待を託せる馬は?

東大ホースメンクラブ

2020年ヴィクトリアマイルインフォグラフィックⒸSPAIA

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「第二の馬」を求めて……

5月17日(日)に東京競馬場で行われるヴィクトリアマイル(GⅠ・芝1600m)。現役最強馬アーモンドアイに加えて、昨年のオークス馬ラヴズオンリーユーや重賞3連勝と勢いに乗るサウンドキアラと、今年も好メンバーが揃った。

下馬評ではアーモンドアイ“1強”ムードが漂うが、これを脅かす馬は果たしているのか。また、ヒモ荒れで期待できる高配当の使者はどの馬か。今週もデータを踏まえて検討しよう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

ヴィクトリアマイル 過去10年 1~3着馬の4角順位ⒸSPAIA



昨年は1.30.5という日本レコード(当時)が記録された本レース。全体的な傾向としてテンの3Fが34秒を切るような速い流れになれば概ね差し決着が期待できそうだが、平均ペースなら脚質的にほぼ五分五分といったところ。

ヴィルシーナが連覇を果たした13年と14年やシンガリ人気のミナレットが逃げて3着に粘り大波乱となった15年のレースから考えるに、良馬場かつ平均ペースなら先行馬にもチャンスあり、というイメージだろうか。

本レースは先述のヴィルシーナとストレイトガールの2頭が連覇を果たした以外にもリピーターが目立っており、過去10年で複数回、馬券圏内に来たのは5頭いて、掲示板に載ったのは全部で9頭もいる。そういう意味で適性が問われるレースでもあり、昨年の好走馬は相応に評価を上げる必要がありそうだ。

過去10年ヴィクトリアマイルでリピーターになった馬インフォグラフィック



さて、絶対女王アーモンドアイであるが、昨年の安田記念では内有利な馬場状態・外枠・スタート不利というこれ以上ない逆風のなかでなお3着という「負けて強し」の内容。

今回はそれと同コースの牝馬限定戦であり、レース傾向的にも死角は見当たらないというのが正直なところ。粗探しで頭を悩ませるよりも、ここは「第二の馬」を探すのに注力するのが賢明だろう。

阪神牝馬S組はこう狙う

2014年から阪神牝馬S・福島牝馬Sの勝利馬に本レースの優先出走権が与えられるようになったが、今年は後者からの参戦は0頭と路線の分化が著しい。

福島芝1800mと本レースでは求められる適性が大きく異なるためある意味では当然の帰結かもしれないが、そうなると相対的に阪神牝馬Sの重要性が高まる。今年も10頭が参戦しており、取捨をはっきりさせる必要がある。

阪神牝馬S組の成績・距離変更前後の比較ⒸSPAIA



1400mで施行されていた15年以前はあまり本番とリンクしておらず、むしろヴィルシーナ・ホエールキャプチャなど実績馬が大敗を喫して本番で巻き返す傾向すらあった。コース形態上の差異が大きいことが一つの要因だろう。

その一方で、距離が1600mになった16年以降では当該レースで掲示板に載った馬が【2-2-3-9】と馬券に絡んでおり、より本番に直結するようになっている。大敗馬は静観しつつ、好走馬のなかで東京替わりがより向きそうな馬をピックアップしたい。

枠番別傾向については先週のNHKマイルCと同じなので詳細は割愛するが、先週のNHKマイルCでは好発から2番手につけたラウダシオンが優勝し、4角5番手以内の馬が1~4着を占める典型的なイン前決着となった。

馬場を読んだMデムーロ騎手の好騎乗が光ったが、同時に馬場傾向でレースが大きく左右されることを物語る結果と言える。今週はBコース替わりでセオリー通りなら内有利な馬場と見込まれるが、土曜開催で傾向を見極める必要はあるだろう。

番狂わせに期待

先述のとおりアーモンドアイには逆らいがたいところがあるが、馬券的に重視する馬という意味でプリモシーンを本命に据えたい。

1番人気を背負った前走のダービー卿では外から進出する競馬で5着に終わったが、内をうまく立ち回った馬が3着内を占めるなかでよく踏ん張った印象。今回は斤量も1kg軽くなるし、何より府中マイルはベストな舞台。番狂わせに期待したい。

そして対抗にアーモンドアイ。前走の有馬記念ではキャリア初の大敗を喫してしまったが、今回の舞台・メンバーレベルから言って崩れる場面はまず考えられない。

3番手にはスカーレットカラーを推奨したい。阪神牝馬Sは出遅れて直線でも狭くなるところがありながらしっかり追い込んでおり、2着という結果だけでなく内容面でも評価したい一頭。4走前の府中牝馬Sから考えても東京替わりは好材料だし、差しが届く展開なら凡走はないはずだ。

4番手にサウンドキアラ。昨年のこのレースは15番人気ながら0秒7差の7着と健闘しており、本格化の途上だったと考えれば適性を過剰に不安視する必要はない。前走の阪神牝馬S勝利で「京都専用」のイメージも払拭された感があるし、順当に評価したい。ただし、大外18番に入ってしまったのは懸念材料ではある。

ラヴズオンリーユーはエリザベス女王杯でスローペースの2番手から前を捉えきれず3着という結果。オークスの競馬と対照して考えるに、じっくり加速する競馬が向いている印象を受ける。そういう意味でマイルは少し忙しいだろうし、相手評価にとどめたい。あまり手は広げられないが、昨年の覇者ノームコアと阪神牝馬S・4着のビーチサンバまで押さえておく。

▽ヴィクトリアマイル予想▽
◎プリモシーン
○アーモンドアイ
▲スカーレットカラー
△サウンドキアラ
×ノームコア
×ラヴズオンリーユー
×ビーチサンバ

▽三連単推奨買い目▽
◎○―◎○▲―◎○▲△×××(計20点)

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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