【桜花賞】操縦性と末脚の「総合力」が問われる一戦 牡馬の強豪に割って入ったリンクスティップを本命に抜擢
京都大学競馬研究会

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総合力がとにかく重要な舞台
4月13日(日)に桜花賞(GⅠ)が行われる。昨年の阪神JFを勝利した2歳女王アルマヴェローチェをはじめ、今年も多くの世代重賞勝ち馬が集結。牝馬クラシック一冠目に相応しい混戦模様の一戦となった。
以下では、本レースが行われる阪神芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まずは阪神芝1600mのコース形態をみる。向正面中間のやや左寄りからスタートし、初角までの距離は約440m。外回りコースを使用し、ゆったりとした3~4コーナーを回った後、勾配1.8mの急坂を持つ476.3m(Bコース使用時)の直線を一気に駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは、初角までの距離が約440mと長い点だ。序盤の先手争いは長く続き、ペースは平均からやや速めに流れやすい。その後コーナーに入ると中盤にかけてペースは緩み、4コーナーからの緩やかな下り坂で徐々に加速していく。
変動するペースに対応しながら脚を溜める操縦性と、メンバー内上位の末脚を出す能力が必要となる。地力がない馬には非常に厳しい、まさに中長距離に似た「総合力」が問われるのが桜花賞の特徴だ。
<桜花賞 上がり3F順位別成績>
5位以内【10-6-7-35】
勝率17.2%、連対率27.6%、複勝率39.7%、単勝回収率157%、複勝回収率115%
※過去10年
この傾向は数字にも表れている。桜花賞における上がり3F5位以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。馬券内となった30頭中23頭を該当馬が占めている。
勝ち馬に関しては、速い上がりを使えなかった馬の押し切りが皆無であり、10頭全てが上位の末脚を使っていた。前後どの位置から競馬をするかに関わらず、メンバー中で最上位クラスの末脚を発揮することが勝つための鉄則である。
昨年は京都競馬場の改修工事が終わり、開催日程が平時に戻って桜花賞もBコース2週目となった。当時の予想記事では「それまでの3年(Bコース初週)の内前有利な馬場とは異なり、より総合力が問われるレースになる」と予想した。
今年も引き続きBコース2週目開催であるものの、昨年と状況がやや異なる。今年はAコース最終週の時点で馬場の内側がまだまだ生きており、例年に比べて内が使えるという状況だ。
基本的には操縦性や上がり性能といった総合力を最重視するが、内前を立ち回れる地力の高い先行馬に関しては、例年よりもチャンスがあるとみて印を打っていく。
先行馬多数、緩まない展開を想定
続いて、今回想定される展開から恵まれる馬を考える。
メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が8頭と、出走馬全18頭に対してそれなりに多い。前走で逃げた馬はおらず、テンの速さで圧倒的に抜けた馬もいないが、これだけ先行馬や距離延長馬が揃っていれば前述のコース形態と相まって序盤のペースは流れるだろう。
また、先行馬の中に上位人気を背負う実力馬もいることを考えれば、中盤でグッとペースが緩むことも考えにくい。全体としてかなりタフなレースになるだろう。
この展開で最も恵まれるのは、やはり中団から後方で脚を溜め、最後に末脚を発揮できる総合力の高い馬だ。実力のある馬が順当に能力を発揮でき、紛れが起きにくい展開になると予想する。現時点でのポテンシャルをしっかりと比較し、地力によっては先行馬の残り目にも注意して印を打っていく。
GⅠ級のポテンシャル
◎リンクスティップ
メンバー最上位の能力を持つ一頭。前走のきさらぎ賞は前半4F46.1秒のハイペースとなり、差し有利な展開を3番手付近から先行して0.5秒差2着。着順や着差以上に評価できる内容だった。
その前走は、実は世代屈指のハイレベル戦だった。前提として、今年の3歳世代はクロワデュノールを筆頭として牡馬が非常にハイレベル。勝ち馬サトノシャイニングは東スポ杯2歳Sでクロワデュノールと僅差の競馬を演じ、3着ランスオブカオスは前走朝日杯FS3着、次走チャーチルダウンズC1着。どちらも世代屈指の実力馬である。
この牡馬2頭は後方から差して展開が向いたのに対し、展開不利の中で2着に割って入った本馬は、今回のメンバーでも能力最上位と判断できる。思えば同位置から競馬をして大敗したウォーターガーベラも、次走チューリップ賞では2着と好走。阪神JF2着馬ビップデイジーに先着したことからも、本馬の能力の高さが伺える。
折り合いにも全く不安がなく、ハイペースが想定される今回、距離短縮での参戦も有利に働く。内の先手争いを見る形で追走できる12番枠も理想に近い。距離短縮の分、自然と差しに回る形で好位~中団で脚を溜め、スムーズに追い出すことができれば勝ち負け必至とみる。牝馬の王道とは別路線で挑む今回、高いオッズ妙味が見込まれることも加味して本命を打つ。
◯アルマヴェローチェ
前走の阪神JFは外差し有利な展開が向いたとはいえ、本馬とビップデイジーは明らかに抜けた内容。ラスト2F11.5-11.4の加速ラップを差し切った。2走前の札幌2歳Sは世代上位の牡馬相手に上がり最速の脚を使いタイム差なし2着。近2走で能力を示している。
阪神JF組はトライアルで敗れた馬も多いが、本馬とビップデイジーは内容的に抜けていたという評価。むしろそれで評価が下がるならオッズ妙味があるとポジティブに捉えたい。中団から後方で脚を溜め、持ち前の持続する末脚を発揮できれば順当に好走してくる。
▲ビップデイジー
前走のチューリップ賞は前半4F48.0秒の内前有利な展開の中、2番手で先行し0.1秒差3着。スローペースで折り合いを欠いた上に不得意な瞬発力戦でのキレ負けで、評価を下げる内容ではない。ペースが流れる地力勝負で持続的な末脚が生きる展開の方が間違いなく向くという負け方だった。阪神JFはアルマヴェローチェと同様、展開が向いたとはいえ優秀な内容。世代上位の能力を持つことに疑いはない。
陣営からも「ひと叩きした上積みはある」とコメントが出ている。前走よりもペースが流れ、上がりがかかる条件で状態面の上積みも見られれば好走してくる。
△エリカエクスプレス
先行馬のなかでは今回のメンバーで能力最上位。新馬戦とフェアリーSは内容、時計、メンバーレベルいずれも非常に優秀だった。ただ、前走の序盤で外から被された際の折り合いの欠き方にやや不安を感じる。1枠2番は割引評価。ハナまで取り切れば簡単には止まらないとみる。
×ブラウンラチェット
前走は明らかに能力を発揮できていない。アルテミスSの時計や内容は歴代の名馬と比較しても遜色ない。今回は栗東滞在かつ馬体重も戻しており、復活するならここしかない。
×エンブロイダリー
前走はハイペースの差し有利な展開を先行し0.4秒差の圧勝。勝ち時計は前週の東京新聞杯と比較しても0.4秒速い優秀なものだった。ただしスタートが懸念で相手まで。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△の馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×の3連複7点で勝負する。(花田)
▽桜花賞予想▽
◎リンクスティップ
◯アルマヴェローチェ
▲ビップデイジー
△エリカエクスプレス
×ブラウンラチェット
×エンブロイダリー
<2024年勝負買い目個人成績>
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
(東海S~ホープフルS:25記事)
《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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