【高松宮記念】昨秋王者・ママコチャに前哨戦勝ち馬が挑む 最有力候補は能力、ローテ申し分なしのルガル
勝木淳
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1番人気7連敗中
昨年の高松宮記念は3月での芝1200mになってから2度目となる不良馬場で行われ、12番人気ファストフォースが勝ち、波乱決着で幕を閉じた。その前は2014年コパノリチャードが勝った年だ。デムーロ騎手の飛行機ポーズはもう10年前のこと。天候が難しい季節ではあるが、スピード勝負の1200mで頂点を決する戦いは爽やかな青空のもとで行われてほしいものだ。データは過去10年分を使用する。
1番人気は【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%と頼りなく、16年ビッグアーサーが勝ってから7連敗中。同産駒のビッグシーザーが出走するから、ずいぶん長い間勝っていない。
5番人気以内7勝と基本は上位人気中心でいいが、8番人気以下3勝と波乱もある。10番人気以下は【1-1-4-84】勝率1.1%、複勝率6.7%、3着が4回もある。三連系は間口を広く、ワイドでも大きな配当を狙えるレースだ。
スプリント戦といえば4歳が優勢だが、このレースでは【3-3-2-31】勝率7.7%、複勝率20.5%とそこまで抜けていない。5歳【3-3-3-35】勝率6.8%、複勝率20.5%、6歳【2-4-3-35】勝率4.5%、複勝率20.5%と互角で、7歳以上も【2-0-2-49】勝率3.8%、複勝率7.5%と好走する。年齢で区切れないレースだ。
トウシンマカオはデータを覆せるか
今年の登録馬は23頭。重賞ウイナーのキミワクイーンや阪急杯2着アサカラキングは除外対象になる。昨秋のチャンピオン・ママコチャにルガル、トウシンマカオ、ウインマーベルら前哨戦を勝った馬たちが挑む。好走ゾーンに入ってくるのはどの馬だろうか。
前走クラス別の成績は非常に極端で、前走GⅢが【8-8-8-129】勝率5.2%、複勝率15.7%と大半を占める。ここはのちほど詳しく触れるとして、ママコチャの前走GⅡは【0-1-1-6】複勝率25.0%。つまり前走阪神Cがデータ上、冴えない。
だからといってスプリントチャンピオンを杓子定規に当てはめて不安視するのもナンセンスだろう。距離短縮も慣れたもので、要は状態と適性次第だ。スプリンターズSは前後半600m33.3-34.7。落差1秒4のハイペースで最後12.3と時計を要した。勝ち時計は1.08.0。極端な高速決着にならなければ好走する。5着だった阪神Cは1.19.3と高速決着だった。高松宮記念は年によって決着時計がかなり違う。そこまで速くならなければ、ママコチャの出番だろう。
主要となる前走GⅢの内訳はシルクロードSが【5-2-1-25】勝率15.2%、複勝率24.2%と好相性。かつてはつながらないローテだったが、近年は本番までのレース間隔がちょうどいい。着順内訳はルガルの1着が【1-1-1-4】勝率14.3%、複勝率42.9%。前後半600m33.4-34.3とバランスのとれたラップ構成で、2着アグリに3馬身差をつけた。最後も11.8とラップが落ち込まず、優秀そのもの。充実期にあり、逆転の目はある。
前走阪急杯は【2-2-3-37】勝率4.5%、複勝率15.9%と対照的に確率が下がっている。本番まで中3週は、短期放牧を挟むなら若干忙しい。1着【1-2-0-5】勝率12.5%、複勝率37.5%、2着【0-0-1-6】複勝率14.3%なので、買うなら1着だったウインマーベルだろう。重馬場で最後2ハロン12.0-12.5と時計を要しており、レース後の状態維持がポイントだろうか。
中2週ともっとも間隔がつまる前走オーシャンSは【1-2-4-54】勝率1.6%、複勝率11.5%。確率は低いが、今年は5頭登録と上記2レースより多い。そこで着順別内訳を出すと、1着は【0-0-0-9】、2着【1-2-1-5】勝率11.1%、複勝率44.4%。勝ち馬トウシンマカオより2着ビッグシーザーが狙い。
とはいえトウシンマカオは馬体重+12キロで、レース内容にも余裕があった。後半600mは11.5-11.6-11.6でラップも落ちておらず、決着時計以上に中身は濃い。問題は初となる中2週ではないか。これまでもっとも間隔が詰まったのは23年京阪杯での中3週。このときは勝利しており、前走の馬体重からも、陣営の計算が見え隠れする。ダノンスマッシュ、モズスーパーフレアが阻まれたデータを超えてくるか。
ソーダズリング、ナムラクレアの前走京都牝馬Sは中4週で【0-2-0-7】複勝率22.2%。前走1着【0-2-0-1】、同2着【0-0-0-1】。素直にいえばソーダズリングだろうが、オークスに出走したこともある馬で、1200mは初出走。京都牝馬Sの前半600mは34.5で、今回は序盤で約1秒速くなる。流れに乗れるかどうか。であれば、ナムラクレアだ。昨年はスプリントGⅠ・2、3着。ひと叩きで今回は序盤の反応も変わってくるのではないか。1200mなら自在に立ち回れる。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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