【金鯱賞】佐藤哲三元騎手×佐々木晶三師で4勝 3連覇したタップダンスシチーなど「記録」を振り返る
緒方きしん
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佐々木晶三調教師と佐藤哲三騎手のタッグで活躍したタップダンスシチー
今週は金鯱賞が開催される。5月開催の時代や12月開催の時代などを経て現在の3月開催となって、早くも8年目を迎えた。1800m戦だった頃から、中距離路線の中心を担う名馬たちが集結する一戦である。過去にはサイレンススズカやイクノディクタス、メイショウドトウといった名馬たちが勝利してきた当レースの記録を振り返る。データは1986年以降とする。
調教師として最多勝は、4勝をあげる佐々木晶三調教師。2位タイで2勝の中内田充正調教師や池添兼雄元調教師など5名が並ぶ。また、騎手としての最多勝は5勝の佐藤哲三元騎手。2位タイで3勝の川田将雅騎手や池添謙一騎手ら4名が並ぶ。
このように突出した戦績を残している佐々木調教師と佐藤哲騎手は金鯱賞4勝をあげた名コンビである。03年から金鯱賞3連覇を成し遂げたタップダンスシチーは、このコンビの真骨頂とも言える走りを見せた。
タップダンスシチーは00年デビュー。佐藤哲騎手との出会いは、02年9月だった。デビューから22戦して4勝、重賞でも日経新春杯3着、日経賞2着、目黒記念5着など通用する力は見せていたが、タイトルにはあと少し手が届かないでいた時代だった。当時の佐藤哲騎手はデビュー14年目。96年にマイネルマックスと朝日杯3歳S(現在の朝日杯FS)を制してGⅠ騎手となっていたが、00年にマイネルマックスとマイラーズCを制覇して以降はミッキーダンスと重賞3勝をあげているのみでもあった。そのミッキーダンスとは、小倉記念、チャレンジC、金鯱賞を制していたが、タップダンスシチーと佐藤哲騎手の出会いもチャレンジCだった。
チャレンジCで初コンビながら勝利をあげたタップダンスシチーと佐藤哲騎手は、翌年に金鯱賞を勝利。さらに秋にはジャパンCで4歳馬シンボリクリスエス、3歳のネオユニヴァース、ザッツザプレンティらを撃破してGⅠ馬となった。この時タップダンスシチーは6歳だったが、快進撃はまだ続いた。翌年には金鯱賞2勝目をあげた勢いそのままに宝塚記念を制すると、凱旋門賞にも挑戦。帰国後は有馬記念にも挑戦し2着と好走した。さらに翌年の05年金鯱賞では、8歳ながら単勝1.4倍の支持に応え、完勝したのであった。
チャレンジCでコンビを組んでから引退まで、凱旋門賞を含めた20戦全てでコンビを組んだ人馬に、深い絆を感じたファンも多かったことだろう。佐々木調教師と佐藤哲騎手のコンビはその後アーネストリーでも活躍し、10年には金鯱賞1着、宝塚記念3着、11年には金鯱賞3着、宝塚記念1着と、どこかタップダンスシチーを彷彿とさせるレース選びで栄冠を掴んだ。
名種牡馬たちが苦戦もディープインパクト産駒は4勝
前述のアーネストリーはグラスワンダー産駒。同産駒は09年サクラメガワンダー、10年アーネストリーで金鯱賞連勝を果たしているほか、母父グラスワンダーの馬も16、17年にヤマカツエースが金鯱賞連覇と相性がいい。スクリーンヒーロー(父グラスワンダー)産駒の参戦はこれまでないものの、22年にモーリス(父スクリーンヒーロー)産駒のジャックドールが勝利をあげ、グラスワンダーの血の強さをアピールしている。今年はモーリス産駒のノッキングポイントが出走予定だ。
その他種牡馬としては2勝のサンデーサイレンスやハーツクライ、1勝のステイゴールドなど大種牡馬たちがやや苦戦しているものの、2位は3勝でキングカメハメハ、1位は4勝でディープインパクトとさすがの実力を見せている。
ディープインパクト産駒があげた4勝のうち、ラストインパクト、ダノンプレミアム、プログノーシスはいずれも鞍上が川田将雅騎手。しかもダノンプレミアム、プログノーシスは中内田充正厩舎で、こちらも騎手と調教師の絆を感じられる勝利と言えるかもしれない。このタッグは今年もプログノーシスで連覇に挑む。
ラストインパクト、プログノーシスは1番人気、ダノンプレミアムは2番人気での勝利だったが、同じくディープインパクト産駒ギベオンは10番人気(単勝227.3倍)での勝利だった。こちらは鞍上が西村淳也騎手。23年に重賞4勝をあげ、今年も既に重賞2勝をあげている若手ホープの記念すべき重賞初制覇でもあった。
今年も楽しみな素質馬や実力派が集まる金鯱賞。人馬はもちろん、調教師と騎手の絆などにも注目したい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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