【フィリーズレビュー】阪神JF組コラソンビートらが優勢 スムーズなら推せるドナベティ

勝木淳

2024年フィリーズレビューに関するデータ,ⒸSPAIA

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連軸向きは2番人気

チューリップ賞に阪神JF上位馬が出走せず、続くフィリーズレビューは例年以上に微妙なメンバー構成になるのかと思いきや、今年は3勝馬コラソンビートのほかに重賞勝ちがある2勝馬カルチャーデイなど、複数勝利をあげた馬が多数参戦してくる。1勝馬が大半で戦力比較に頭を悩ませるといった感じではなさそうだ。

とはいえ混戦に変わりはなく、桜花賞出走権を争う戦いは今年も激戦が予想される。データは過去10年分を使用する。なお、2019年1着同着があるので注意しよう。

フィリーズレビューの人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気の傾向から。1番人気【1-3-0-6】勝率10.0%、複勝率40.0%と微妙だが、その分2番人気が【4-3-2-1】勝率40.0%、複勝率90.0%と手堅い。2番人気軸でもいいほどだ。しかし、3番人気以下は大きく変わらず、8番人気【3-0-0-7】勝率、複勝率30.0%など穴馬激走も。人気で取捨してしまうのはキケンなレースだ。

フィリーズレビューのキャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリアのデータをみると1戦は【0-0-0-5】と苦しいが、2戦【2-1-1-18】勝率9.1%、複勝率18.2%、3戦【4-1-1-31】勝率10.8%、複勝率16.2%が勝率では一歩リード。ただ、5戦【2-3-2-26】勝率6.1%、複勝率21.2%など経験をしっかり積んだ馬も悪くない。さすがに7戦以上消化してしまうと【0-0-1-17】複勝率5.6%と苦しいが、ある程度のキャリアは経験として評価しよう。

カギは阪神JF

ドナベティ、シカゴスティングは早期に2勝目をあげ、ファンタジーS2、3着。暮れに2勝目をあげたバウンシーステップ、ロゼフレア、1200mの福島2歳Sを勝ったエトヴプレと、今年はバラエティに富んだ2勝馬たちがそろった。好走ゾーンに該当する馬がいるか。しっかり傾向をつかんでおこう。

フィリーズレビューの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずコラソンビートなど複数が当てはまる前走阪神JFは【1-6-3-19】勝率3.4%、複勝率34.5%で、勝ち切れないが連軸にちょうどいい。着順内訳は4、5着【0-4-1-0】、6~9着【0-0-2-3】、10着以下【1-2-0-16】。9着以内ならシカゴスティング、ドナベティも権利獲得圏内に入れる。なお3着馬の出走はこの10年間はなく、2008年1番人気10着エイムアットビップまでさかのぼる。ここを勝った馬となると、05年ラインクラフトが最後だ。

次に前走OP・L【3-0-1-28】勝率9.4%、複勝率12.5%の内訳をみる。エルフィンS【2-0-0-8】、紅梅S【1-0-0-10】で、エルフィンSは3、4着【2-0-0-1】、紅梅Sは2着【1-0-0-1】。どちらも好走が条件だ。エルフィンS6着マーシーラン、紅梅S4着ロゼフレアは苦しいところだ。

フィリーズレビューの前走1勝クラス距離別成績,ⒸSPAIA


前走1勝クラス【4-2-6-54】勝率6.1%、複勝率18.2%もポイントになる。ここは同距離【3-1-3-31】勝率7.9%、複勝率18.4%、距離延長【0-0-2-18】複勝率10.0%、距離短縮【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%で、1400m以上の経験が必要だ。

スプリント路線からここで権利を狙う馬は多いが、どちらかというと壁に阻まれる。こぶし賞2着ポエットリーは面白い。一方、バウンシーステップやオメガウインクは前走1400mで1勝クラスを突破した。前走1勝クラス1400mで1着は【1-1-3-16】、1番人気だった馬は【3-0-1-5】、2番人気【0-0-1-6】で、前走2番人気だったオメガウインク、バウンシーステップも少し足りない。

なんだかんだと阪神JF組の取捨が馬券的中への近道のようだ。今年はシカゴスティングが先手を奪い、序盤600m34.4。前半800m46.4と少し中盤でペースが緩み、後半800m11.8-11.3-11.4-11.7、46.2で決着した。4コーナー手前から坂下にかけて速く、先行勢に厳しかった。5着シカゴスティングは残り200mまでラップの落ち込みが小さかったファンタジーSを差して3着。そのペース経験がいきた。1400mへの短縮はプラスに働きそうだ。

3着コラソンビートはこの流れを好位から運び、残り200mにある急坂を上がって、脚色が鈍った。マイル戦で総合力を問う形だと厳しそうだ。むろん、牡馬相手に重賞を制した1400mなら色気をもてる。

8着ドナベティは4コーナー16番手から1、2着馬に次ぐ上がり600mタイムを記録した。序盤に内へ潜り込み、直線では内から馬群を縫いながら追いあげた。詰まりそうになり、何度も進路を切りかえる場面はあったが、スムーズならもう少し脚を使えただろう。再評価の余地はある。

フィリーズレビューに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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