【シンザン記念】ポイントは前走距離 1勝クラス経由のケーブパール、ラーンザロープスが狙い目
勝木淳
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人気と力関係のズレを読む
京都競馬場の最寄り駅、京阪「淀駅」から遠い側の入場門はつい最近までシンザンゲートと呼ばれていた。パドックの移設によって入場門は改築され、現在は三冠ゲートに名を改めた。クラシック三冠最終戦の地・京都には、歴代三冠馬の馬像が置かれる三冠馬メモリアルロードがある。当然、戦後初の三冠馬シンザンもそこで今も競馬を見守っている。
1964年、東京五輪開催の年に三冠を達成したシンザンは高度経済成長期の象徴だった。35歳まで生きたシンザンが競走生活を引退した2年後に創設されたのがシンザン記念だ。創設以来、一貫して1月の芝1600mで行われ、クラシックロードの出発地点としての役割を担い続けている。競馬場の改装を終え、シンザン記念は4年ぶりにシンザン像がある京都へ帰ってきた。データは中京3年分を含め過去10年間のものを使用する。
1番人気は【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%と期待に応えられていない。その分、2番人気【3-3-2-2】勝率30.0%、複勝率80.0%、4番人気【3-1-2-4】勝率30.0%、複勝率60.0%の成績がいい。クラシックまで3カ月とはいえ、真冬の変則開催で行われるレースとあって、挑戦者的立場の馬たちが集まる傾向にあり、戦績の比較が難しい。よって人気が結果とズレることがある。基本、上位人気は誤ってはいないものの、序列通りにいかないことを頭に入れておこう。
キャリア別の幅は広く、新馬勝ちたての1戦【2-2-0-14】勝率11.1%、複勝率22.2%、2戦【4-2-3-16】勝率16.0%、複勝率36.0%とキャリアの浅い組もいいが、5戦【2-1-3-10】勝率12.5%、複勝率37.5%などそこそこ経験を積んだ馬も好走する。未勝利脱出に多少足踏みしても、ここをきっかけに大きく前進する馬もいる。
距離延長は下げ、同距離経験を重視
今年はアルトゥーム、ショーマンフリート、ノーブルロジャー、ノボリショウリュウら新馬勝ち直後の組とデイリー杯2歳S5着メイショウサチダケらキャリア2戦組が中心を形成する。キャリア別に好走パターンをしっかり探っていこう。
新馬勝ちたての1戦1勝馬は前走距離から判断する。1600m未満は【0-0-0-7】で好走なし。1600m以上だった馬は【2-2-0-7】なので、同距離以上の新馬を勝った馬をピックアップしよう。1400mだったアルトゥーム、ノボリショウリュウは減点せざるを得ない。
キャリア2戦以上では、前走GⅠ【0-2-3-10】複勝率33.3%に注目。暮れのGⅠから転戦した場合、勝てはしないが、馬券圏内なら十分期待できる。朝日杯FS9着タイキヴァンクールが当てはまる前走6~9着は【0-0-1-3】複勝率25.0%。理想は5着以内だが、悪くはない。未勝利勝ち直後のGⅠ挑戦で0.6差なら上々だろう。
GⅠも含め、ひとくくりにJRA重賞組の距離別成績をチェックすると、新馬と同じく今回延長は【0-0-0-3】で、同距離【1-3-4-16】勝率4.2%、複勝率33.3%、距離短縮【1-0-2-6】勝率11.1%、複勝率33.3%。前走同距離の重賞5着以内【1-2-1-8】なので、メイショウサチダケはまずまずだろう。
前走1勝クラスは【5-4-2-30】勝率12.2%、複勝率26.8%と質量ともにこのレースの主要ローテといっていい。その距離傾向は新馬、重賞とは異なる点に注意しよう。距離延長が【2-1-1-16】勝率10.0%、複勝率20.0%とアテになり、同距離【3-3-1-12】勝率15.8%、複勝率36.8%もいい。
ただし京都施行の7年間に絞ると話は変わってくる。距離延長は【0-0-1-11】複勝率8.3%と大幅にダウンし、同距離が【3-2-1-9】勝率20.0%、複勝率40.0%と上昇する。今年は前走1勝クラスがマイル戦だった、ケーブパールやラーンザロープスを選ぼう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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