【武蔵野S】前走4着以内が10戦10勝 本命は得意舞台に戻るタガノビューティー

貴シンジ

武蔵野ステークス 前走着順別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は11月11日(土)に東京競馬場で行われる武蔵野Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった18頭のうち除外対象のミステリオーソ以外の17頭(ヴァルツァーシャルとライラボンドは抽選対象)を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。


重要データ:前走4着以内の馬に要注目

前走着順別成績,ⒸSPAIA


武蔵野Sの前走に関するデータで重要視したいのは前走着順。前走レース別成績では様々なレースから好走馬が出ているが、どこからの臨戦であっても前走4着以内の馬の成績が抜群に良い。

1~4着全ての着順から勝ち馬が出ていてトータルの成績は【10-6-6-67】、単勝回収率127%、複勝回収率120%となっている。一方前走5着以下の馬の成績は【0-4-4-60】、単勝回収率0%、複勝回収率56%となっている。両者、同じぐらいの頭数を送り込んでいるものの好走率、回収率ともに1~4着馬に軍配が上がっている。前走着順を順当に評価したい。

抽選対象も含めた17頭中9頭が前走5着以下。除外対象馬、抽選対象馬の計3頭もこの割引データに該当するので、このままいけば出走確定時に、フルゲート16頭中8頭と出走馬の半分が対象になる見込みだ。上位人気想定馬では前走ドバイゴールデンシャヒーン6着だったレッドルゼルが該当する。

【前走5着以下の出走予定馬】
・ヴァルツァーシャル(抽選対象)
・カテドラル
・ケイアイシェルビー
・ステラヴェローチェ
・タイセイサムソン
・メイショウウズマサ
・ライラボンド(抽選対象)
・ルコルセール
・レッドルゼル


前走の敗因:グリーンチャンネルCのベルダーイメル

ベルダーイメルの前走はグリーンチャンネルCで、結果は2着だった。当レースは不良馬場で行われ、やや前有利の傾向。そのなかで1着のオメガギネスが4角2番手、2着の本馬が4番手、3着のペリエールはオメガギネスと並んでの2番手という通過順だった。ベルダーイメルの敗因は大きく分けて2つある。

1つ目は折り合いをつけるのに少し苦労してしまった点。ゲートは五分に出て少し促していったが、そこでやや折り合いに苦労する形となってしまった。そして2つ目は斤量。1着馬が55キロ、3着馬が56キロだったが本馬は60キロを背負っていた。今回ペリエールは56キロで出走予定だが、本馬は57キロなので斤量差は4キロから1キロに縮まる。そのうえで本馬の方が人気がないのであれば注目しておきたい。


血統解説:タガノビューティー、ドライスタウト

・タガノビューティー
日本での牝祖は祖母ソフトパイン。母スペシャルディナーが繁殖として優秀で、本馬の他にNHKマイルC2着のタガノブルグ(父ヨハネスブルグ)、若葉S勝ちのアイトーン(父キングズベスト)などを輩出している。ファミリーとしては芝適性が高い。Woodmanの影響が強くて胴伸びの良い馬体とそこから繰り出される持続性能の高さは共通項だ。

父にヘニーヒューズを迎えたためダート馬に出たが、走りのタイプとしてはファミリーと同様。器用なタイプではないので大箱の東京コースは【5-4-3-4】と抜群に合う。前走のマイルCS南部杯が行われた盛岡ダ1600mに比べれば、今回の方が実力を発揮しやすい。事実、東京ダ1600mは【3-2-2-3】と得意舞台なので、ここでの復活に期待したい。

タガノビューティーの血統表,ⒸSPAIA


・ドライスタウト
日本での牝祖は4代母パーフェクトポイント。パーフェクトポイントは現役時ダイアナH(GⅡ・芝9F)で2着、クイーンシャーロットH(GⅡ・ダート10F)で3着の実績馬。日本に入ってきてからはドライスタウトが出るまで重賞級の馬は出せていなかったが、ダートを中心に中央複数勝利馬をコンスタントに輩出し一定の活力を見せていた。ファミリーを通して成長力のあるタイプが多いことが特徴だ。

フジキセキ×Deputy Ministerというダート路線において有名なニックスを持ち合わせていて、シニスターミニスター産駒らしいストライド走法で走るパワータイプのダート馬に出た。東京コースはこれまで3戦2勝と相性が良いが、2勝はいずれも1400mでのもの。マイルは距離的にはギリギリで、実力は間違いないが足元をすくわれる可能性もある。

ドライスタウトの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではタガノビューティーを推奨

今回はタガノビューティーを推奨する。ここ2戦は結果が出ていないが今回のメンバーであれば実績は上位。前走で復調の兆しは見せており、得意の東京となればもう一度見直す必要があるだろう。穴で注目したいのは前走に明確な敗因があって実力的にも足りそうなベルダーイメル。こちらは前からでも中団からでも競馬を作れる器用なタイプだけに複勝で押さえてみても面白い。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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