【スプリンターズS】とにかく枠順がカギを握る　前走好走のテイエムスパーダ、アグリにチャンスあり

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人気や年齢より枠番がカギ

秋を告げる開幕戦スプリンターズSは前年王者、今春の王者を欠き、少し前にGⅠを勝ったナランフレグ、ピクシーナイトこそいるものの、新王者決定戦といった様相になった。

夏を制したジャスパークローネと前哨戦を逃げ切ったテイエムスパーダの先陣争いも含め、推理すべき点が多く、ちょっとしたことが結果を大きく左右しそうな予感がする。データは過去10年のうち2014年新潟を除く、9回分を使用する。

人気は1番人気【5-0-1-3】勝率55.6％、複勝率66.7%と手堅くうつるが、勝ち馬5頭はすべてGⅠ馬であり、今年はデータ通りとはいかない可能性が高い。

2番人気【1-3-0-5】勝率11.1%、複勝率44.4%、3番人気【2-2-0-5】勝率22.2%、複勝率44.4%と基本は上位人気優勢だが、10番人気以下【0-2-4-56】複勝率9.7%には注意が必要だ。実績馬が力通り走る一方で、展開のあやなどにより、大穴が激走することも多い。ちょっとしたことが結果を左右しそうな今年は、例年の複穴が単穴になることも想定できる。

年齢別では3歳【1-2-1-14】勝率5.6%、複勝率22.2%、4歳【2-3-3-16】勝率8.3%、複勝率33.3%、5歳【3-3-1-35】勝率7.1%、複勝率16.7%、6歳【2-0-3-26】勝率6.5%、複勝率16.1%とここまではほぼ互角で、7歳以上が【1-1-1-25】勝率3.6%、複勝率10.7%と少し落ちる程度だ。「短距離は若い馬」とは言えないレースでもある。

ここ2年はレース当日、極端に内有利になる傾向があった。そこで枠番別成績を出すと、勝ち馬は5枠から内が8頭。さらに複勝率ベースでみていくと、4枠33.3%と5枠17.6%に線を引ける。9回で3着以内に入った全27頭のうち、6枠から外はわずか4頭しかいない。割合でいえば14.8%だ。逆に4枠から内は74.1%もある。

テイエムスパーダ、アグリに好走データ

ここまで3つのデータをみてきたが、人気や年齢以上に枠順がカギを握るレースであることがわかった。これは中山芝1200mの不確実性の高さの証であり、今年は特に注意すべきだろう。

前走クラス別では、GⅠ【2-3-1-8】勝率14.3%、複勝率42.9%が一歩リードする。内訳をみると、安田記念【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%が目立つ。これにメイケイエールが当てはまる。ただ、前走安田記念は好走が条件で、10着以下は【0-1-0-3】。15年サクラゴスペル11番人気2着しかない。

前走GⅡ【5-4-2-39】勝率10.0%、複勝率22.0%のうち、セントウルSは【5-4-2-38】と大半を占める。その着順別成績は、1着【2-3-0-4】勝率22.2%、複勝率55.6%、2着【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%が優勢で、3着以下は【1-0-2-28】。15年ストレイトガールがセントウルS4着から勝利したが、ヴィクトリアマイル以来のひと叩きというニュアンスが強かった。今年はテイエムスパーダ、アグリが好走ゾーンに入り、ピクシーナイトに変わり身があるかといったところか。

前走GⅢ【2-2-4-61】勝率2.9%、複勝率11.6%はサマースプリントシリーズに絞ってみていこう。北九州記念【1-1-1-17】勝率5.0%、複勝率15.0%、CBC賞【1-0-0-2】勝率、複勝率33.3%、キーンランドC【0-1-3-34】複勝率10.5%が候補だ。キーンランドCの相性の悪さはナムラクレアには気になるところ。中4週はセントウルSより間隔をとれるが、レース後に北海道から本州へ移動するタイミングなど難しいところもある。

前走サマースプリントシリーズ組（セントウルS除く）の着順内訳は、4着以内【1-2-4-29】、5着以下【1-0-0-29】。1着は【1-0-2-12】勝率6.7%、複勝率20.0%と、決して確率は高いわけではない。ジャスパークローネ、ナムラクレア、オールアットワンスはチャンスをつかめるだろうか。それとも4着以内と広くとり、ママコチャ、トウシンマカオが枠順を味方に激走する場面まで想定すべきではないか。

混戦ではあるが、テイエムスパーダ、アグリなどデータではある程度候補が絞られそうだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説　王道を駆け抜けたみんなの愛馬』（星海社新書）に寄稿。

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