【シンザン記念】新馬戦の勝ち時計とラップを評価 京大競馬研の本命は期待の素質馬リラエンブレム

京都大学競馬研究会

中京芝1600m(2歳~3歳1月)4角4番手以内馬の成績(過去10年)

ⒸSPAIA

ラチ沿いを走れる器用な馬が恵まれやすいコース

1月13日(月)にシンザン記念(GⅢ)が行われる。サウジアラビアRC勝ち馬アルテヴェローチェをはじめ、同レース2、3着のタイセイカレントとマイネルチケット、小倉2歳S3着アーリントンロウなど既に世代限定重賞で好走した経験のある馬に加え、ここが初重賞という素質馬も多く集まった。

以下では、本レースが行われる中京芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは中京芝1600mのコース形態をみる。1~2コーナーにある斜めの引き込み線からスタートし、初角までの距離は約220m。バックストレッチに入ると向正面の半ばまで緩やかな上り坂で、そこから下りに転じる。3~4コーナー部分は全て下り坂でスパイラルカーブを採用している。

最後の直線は412.5m。ゴール手前340m地点から240m地点にかけては中山競馬場芝コースに次いで傾斜がきつい高低差2.0mの急な上り坂となっている。その後も約240mの平坦な直線が待ち構えているタフなコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約220mと短い点だ。先手争いは長引かず、バックストレッチに入った後も緩やかな上り坂となるため、序盤のペースは上がりにくい。また、序盤のポジション争いでは内枠が有利になる。

したがって、序盤~中盤で前に位置を取り、出来るだけラチ沿いを走れる器用な先行馬が恵まれやすいというのがこのコースが持つレースの質だ。

中京芝1600mの4角4番手以内馬成績,ⒸSPAIA


<2歳~3歳1月の中京芝1600mにおける4角4番手以内馬の成績(過去10年)>
【88-71-75-383】勝率14.3%、連対率25.8%、複勝率37.9%、単勝回収率103%、複勝回収率112%

この傾向は数字にも表れている。2歳~3歳1月の中京芝1600m戦における4角4番手以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。堅実な先行力は中京芝1600mで好走するための必須条件と言っていい。

ただし本レースに限れば、キャリアの浅い世代限定重賞でメンバー間の能力差が顕著に表れる。現時点でのポテンシャルを重要視した上で、ラチ沿いを通って先行できるかを考慮して印を打っていく。

ラチ沿いを通って前目から脚を伸ばせる馬が恵まれる

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が7頭、距離延長馬が7頭と出走馬全16頭に対して少なくない。

展開の鍵を握るのはアーリントンロウだろう。2走前は1000m通過57.4秒の超ハイペースで逃げ、前走は1000m通過57.3秒を4番手で先行している。今回は400mの距離延長となるが、周りに合わせてスムーズに折り合えるタイプでないため、今回も逃げてペースメーカーになると考える。

他にも1000m通過60秒を切るペースを何度も先行したオンザムーブ、メイショウツヨキもいることを考えれば、アーリントンロウの楽逃げになることはない。いくら序盤のペースが上がりにくいコース形態とはいえ、この3頭によって超ハイペースになるだろう。

今回はこのコースが持つ「序盤~中盤で前に位置を取り、ラチ沿いを走れる器用な馬が恵まれやすい」という質を弱める展開になる可能性が高い。

しかし、ハイペースになっても最後方の大外から一気に差す競馬は厳しく、完全に差し有利にもならないのがこのコースの難しいところだ。

この展開で恵まれるのは出来るだけラチ沿いを走り、前目から持続する末脚を使える中団の差し馬だ。

今回のペースだと先行馬は上位の地力がなければ急坂で止まり、馬券内には残れない。止まった先行馬を内から捌き、持続する上がりの脚を使うことが求められる。ポテンシャルを重視しつつ、馬群での追走経験や馬群を捌いた経験も重視して印を打つ。

本命は実績馬ではなく期待の素質馬

◎リラエンブレム
1戦1勝の期待の素質馬。前走の新馬戦は内前有利な展開の中、終始大外を回すロスがありながらも楽に差し切り勝ち。ラスト5F12.1-12.1-11.7-11.7-11.5の加速ラップで最後は流す余裕もあった。

勝ち時計1:34.2は京都芝1600m(内回り)の2歳新馬戦における歴代4位の非常に優秀な時計。この点でも高い能力があることが分かる。新馬戦で前半1000m59.3秒と流れたペースを追走できており、今回想定される超ハイペースに上手く対応できそうな点もプラス材料だ。

枠も3枠4番と絶好で、内目をロスなく立ち回り、最後は内から馬群を捌く形で持ち前の末脚を発揮できれば勝ち負け必至とみる。メンバーでも最上位のポテンシャルを持ちながら、既に重賞好走経験のある馬に人気が集まりそうな今回はオッズ妙味があるとみて本命を打つ。

◯マイネルチケット
前走の京王杯2歳Sは4角7番手以下の馬が1、3、4着に来る差し有利な展開。それを4番手で先行し0.1秒差2着。勝ちに等しい内容だった。

2走前のサウジアラビアRCもハイペースで(7頭立て)6、7番手から追い込んだ馬が1、2着に来る差し有利な展開の中、3番手からよく粘り0.2秒差3着。着順、着差以上に評価できる内容だった。

安定した先行力と堅実な末脚を使えるタイプで、1枠1番という絶好枠を最大限に生かせる器用さがある。出たなりでスムーズにラチ沿いを確保してロスなく立ち回り、前目から持ち前の持続力を発揮すれば勝ち負け可能。展開が向かなかった近2走の敗戦である程度のオッズ妙味も見込める。

▲カラヴァジェスティ
前走の新馬戦はスローペースの瞬発力戦で通過順位11-9とあまり展開が向かない中、ラスト4F12.7-11.9-10.9-11.1というラップを4角9番手から上がり3F33.3秒の脚で楽に差し切り勝ち。着差以上に評価できる内容だった。

1400mから1600mへの距離延長、想定される超ハイペースも長く良い脚を使いたい本馬には向く。枠も4枠6番と内でロスなく立ち回ることができる好枠。調教でも前走からの上積みが期待できる。想定オッズから妙味も感じる。

△タイセイカレント
2枠2番は絶好枠。上位の能力はあるが、揉まれ弱い点を加味して4番手評価まで。

×アルテヴェローチェ
比較的内目の枠は悪くないが、脚質的に外目を走るロスが大きくなる不安がある。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△×馬連4点、◎-◯▲-◯▲△×3連複5点で勝負する。

▽シンザン記念予想▽
◎リラエンブレム
◯マイネルチケット
▲カラヴァジェスティ
△タイセイカレント
×アルテヴェローチェ

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

今年も良い結果が出せるように文馬両道で頑張ります。よろしくお願いいたします!(花田)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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