【紫苑S】牝馬限定重賞ではノーザンファーム生産馬が鉄板 上がり馬アップトゥミーの本格化に期待

佐藤永記

牝馬限定重賞の生産者別成績,ⒸSPAIA

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基本はオークスからの転戦組だが

まだまだ暑い日も続いているが、今週から秋競馬がスタート。秋華賞トライアルの紫苑Sが土曜に行われるのだが、当レースは今年からGⅢ→GⅡに格上げ。1着賞金は5200万円となり、秋華賞トライアルである前に、秋の3歳牝馬限定戦として、より魅力的なレースとなっている。

その表れとして2016年にGⅢとなって以降、有力馬がGⅠへ直行するトレンドに反して出走してくるケースも多い。

紫苑S 過去7年の前走別成績,ⒸSPAIA


昨年でいえばオークス2着で、そのままでも秋華賞への出走は可能であったろうスタニングローズが勝利しているのだが、このレースは重賞となってから7年間で前走オークス組が【4-4-4-20】と数多く馬券に絡んでいる。一昨年は同組がワンツー、昨年は1~4着まで独占しており、傾向が強まっているようにも思う。さらに前走がオープンだった馬まで範囲を広げても【5-5-5-39】で、やはり前走3勝クラス以下だった馬の【2-2-2-53】と比べても差がある。

しかし、逆にいえば7回に2回は前走3勝クラス以下が馬券に絡んでいるともいえる。当然だが、そういった馬が馬券に絡んでくれたほうが配当はいい。一昨年の3着馬ミスフィガロは、前走牝馬限定の1勝クラス1着からの臨戦で12番人気だった。そういった馬を見つけてみたいものだ。


牝馬限定重賞といえばノーザンファーム

牝馬限定重賞 2013年から先週までの生産者別成績,ⒸSPAIA


別のアプローチをしてみよう。牝馬限定重賞といえばノーザンファーム生産馬だ。2013年から先週までの牝馬限定重賞は全261レース(1着馬は263頭)で、そのうちノーザンファーム生産馬は112勝と、1着シェア率では42.6%にのぼる。2位の社台ファームで35勝の11.3%、3位の三嶋牧場で8勝の3.0%。2位以下と比べても圧倒的だ。ちなみにノーザンファームは3着以内占有率でも39.2%を誇っており、これを無視することはできない。

そして、先程紹介していた紫苑Sで前走が3勝クラス以下だった馬の【2-2-2-53】のうち、ノーザンファーム生産馬という条件を加えると【2-1-2-17】。なんと、前走3勝クラス以下から紫苑Sで馬券圏内に入った6頭のうち、5頭がノーザンファーム生産馬だった。一昨年12番人気3着のミスフィガロもこのパターンだ。ちなみに、例外は2017年2着のカリビアンゴールドで、ダーレー・ジャパン・ファーム生産馬である。

今年の紫苑Sで「前走3勝クラス以下×ノーザンファーム生産馬」は3頭登録している。


本格化が見えてきたアップトゥミー

まずはアップトゥミーだ。前走は6月東京での牝馬限定1勝クラスを1着。中団から徐々に進出し、33.6の上がりで勝利している。それまでのレースは似たような形から突き抜けきれずといった、もどかしい内容だった。しかし内容も時計も上向いてわかりやすく強化されており、その名の通り上がり(アップ)馬として期待できそうだ。

2頭目はダルエスサラームだ。3歳1月に紅梅Sを勝っているため3勝クラスの格付けとなっている。前走は豊明S15着と大敗しており、さらには短距離馬の可能性もあるが、同世代のオープンで勝利した馬であることを考えると、一変すれば通用する可能性を残しているともいえよう。

最後の1頭はフィールザオーラだ。デビューは2歳7月と早かったが、2着2回など惜しいレースが多く、なかなか勝ちきれずであった。今年5月の牝馬限定未勝利で戦法を逃げに変えて勝ち上がり、前走の7月1勝クラスも逃げて、連勝で紫苑Sに登録してきた。もしかしたら逃げでもっと上までいけるかもしれない魅力がある。

レースとしてはオークス組が強い傾向の紫苑Sだが、馬券では3連単や3連複、ワイドで上記3頭を積極的に組み入れておきたいところだ。3頭とも、そんなに人気はしないであろう。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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