【紫苑S】タフなコースで良さが生きる血統 Cアナライズ推奨は「前走不利データ」該当のエミュー
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
先週の札幌2歳Sではガイアメンテを推奨し1番人気6着。パドックから気持ちが入りすぎてしまっていて、スタートは出遅れと気性面の幼さが出てしまった。さて、今回は9月9日(土)に中山競馬場で行われる紫苑Sについて、下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった19頭を検討対象とし、紫苑Sが重賞になった2016年以降の7年分のデータを使用する。
重要データ:圧倒的に人気馬が強いレース
紫苑Sはトリッキーな中山コースで実施されているものの、人気馬がとにかく強いレースで有名だ。1~5番人気が【7-4-4-20】で単勝回収率89%、複勝回収率83%と優秀なのに対し、6番人気以下が【0-3-3-74】で複勝回収率は29%となっている。
当然、これだけ人気馬が馬券に絡んでいるわけでレース全体の単勝回収率は27%、複勝回収率は46%で極端な穴馬から入るのは得策ではない。
【上位人気が予想される出走予定馬】
・エミュー
・キミノナハマリア
・グランベルナデット
・ソレイユヴィータ
・ヒップホップソウル
・モリアーナ
前走不利データ:オークスのエミュー
エミューの前走はオークス13着。オークスは前走レースが非常に重要となっている。桜花賞組が圧倒的に強いのは周知の事実だが、それはあくまで上位着順だった馬の話だ。
桜花賞で6着以下だった馬の成績は過去10年で【1-1-2-36】となっていて決して良くない。エミューは桜花賞10着でオークスは少し荷が重かったかもしれない。近走の着順から今回は人気を少し落としそうだが、ヒップホップソウルにはフラワーCで完勝していて、実力では決して引けを取らない。
血統解説:エミュー、ヒップホップソウル
・エミュー
日本での牝祖は祖母グローリーブラッド。同馬は現役時にJRA・2勝。母スーリールはJRA・1勝、近親からもフォーチュンスターやアングルティールなどJRA複数勝利馬が出ておりアベレージは高いファミリーだが、重賞級はエミューしか出ていない。日本における活力はGⅠ級とは言い難い。
しかし、3代母Ski Dancerは現役時に、米GⅠで2着するなど実績馬であることは念頭に置いておく必要がある。米国ファミリーらしく一定のスピードを持続する脚が持ち味で、切れる脚こそないものの、タフさが求められる展開ならGⅡの今回は勝機があるだろう。
・ヒップホップソウル
日本での牝祖は3代母ダンシングキイ。同馬は繁殖として非常に優秀でエアダブリン、ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードなど多数のGⅠ級を輩出している。本馬は祖母にダンスインザムードを持つ良血馬で、活力で言えば今回のメンバーではトップレベルだ。
このファミリーはタフなタイプの馬が多く、その上、本馬はキタサンブラック産駒でよりそのタフさが強調されたような馬に出ている。こちらもエミューと似たようなタイプで、タフな展開なら勝ち負けだろう。
Cアナライズではエミューを推奨
今年は多頭数でスローペースの切れ味勝負にはならない可能性が高そう。となるとエミュー、ヒップホップソウルのどちらにも十分チャンスはある。今回はオークスの着順がより上位だったヒップホップソウルの方が人気になりそう。だったらエミューから入ってみたい。
オークスのヒップホップソウルは津村明秀騎手の好騎乗があっての6着で、桜花賞を使わず万全の態勢だった。仕切り直しの今回はフラワーC同様、エミューに軍配が上がる可能性は十分ある。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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