【小倉記念】「6歳以上」や「七夕賞組」は1勝のみ データで導く「過信禁物の注目馬」

藤川祐輔

小倉記念 過信禁物な出走馬の特徴,ⒸSPAIA

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秋のビッグレースへ繋がる一戦

2023年8月13日、小倉競馬場では小倉記念(GⅢ・芝2000m)が行われる。当レースはサマー2000シリーズの第3戦であり、今年は例年に増して七夕賞(GⅢ)や函館記念(GⅢ)といった同シリーズからの転戦組が参戦予定だ。

近年を振り返ると、20年には10番人気アールスターが激走し勝利、3着には13番人気アウトライアーズが食い込む大波乱の決着となった。昨年も10番人気ヒンドゥタイムズが8か月ぶりの出走で2着に好走するなど、穴馬の活躍が目立つ印象だ。

夏のハンデ重賞らしい波乱含みの1戦だけに、注意したいのは人気馬の取捨選択だ。本記事では過去10年のデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。

6歳以上のベテランは要注意

 年齢別成績,ⒸSPAIA


まず注目したいのが、年齢別の成績である。4歳馬の成績が抜群で、【6-2-1-19/28】勝率21.4%、連対率28.6%、複勝率32.1%となっている。また、5歳馬の成績も良く、【3-5-3-24/35】勝率8.6%、連対率22.9%、複勝率31.4%と上々だ。一方で6歳以上になると成績は極端に悪化し、【1-1-6-60/68】勝率1.5%、連対率2.9%、複勝率11.8%となってしまう。

一般的に競争馬のピークは3歳~5歳と言われており、6歳以降は徐々に衰えが見え始める。しかしハンデ戦では過去の実績から斤量が設定されるため、ピークの過ぎた6歳以上の馬が現在の実力以上に見込まれたハンデを背負うケースが多い。こうした要素が小倉記念の結果に表れているとすれば、6歳以上の評価は慎重に行いたい。

前走レース別成績,ⒸSPAIA


不振の前走・七夕賞組

次に気を付けたいポイントとして、前走レース別の成績を挙げる。鳴尾記念(GⅢ)からの転戦組が好成績で、【3-0-1-3/7】勝率42.9%、連対率42.9%、複勝率57.1%となっている。また、同じく阪神開催のマーメイドS(GⅢ)を前走に使った馬も【1-0-1-2/4】勝率25.0%、連対率25.0%、複勝率50.0%とサンプル数こそ少ないが良績だ。

また、前走で3勝クラス(旧:1600万下)を走った馬の成績も良く、【4-1-2-16/23】勝率17.4%、連対率21.7%、複勝率30.4%となっている。興味深いのは前走で勝利しOP入りした馬だけでなく、前走を敗れて格上挑戦で挑んだ馬も大きく結果を残している点だ。21年モズナガレボシ、20年アールスター、15年アズマシャトル、13年メイショウナルトと過去10年で実に4頭もの馬が格上挑戦から当レースを制している。

一方で意外にも成績が良くないのが、七夕賞からの転戦組である。過去10年で最多の39頭がこのローテーションを歩んでいるが、【1-0-4-34/39】勝率2.6%、連対率2.6%、複勝率12.8%と結果を残せていない。実はこのレースに限らず、中京記念(GⅢ)、函館記念(GⅢ)といった夏のローカル開催・ハンデ重賞から転戦してきた馬は軒並み成績が振るっていない。鳴尾記念、マーメイドSと同様にGⅢであるが、メイン開催とローカル開催におけるレースレベルに差があることがデータから読み取れる。

データから導く「過信禁物の注目馬」

ここまでに紹介したデータを総括すると、当レースを予想する上での「不安要素」は以下の2点となる。

・6歳以上の馬
・七夕賞からの転戦

これを踏まえて、今回は「過信禁物の注目馬」としてエヒトを挙げる。前走の七夕賞は海外遠征からの帰国初戦、初めて背負った58kgの斤量が響いたのか8着に惨敗。やや小柄な馬だけに、今回も斤量58kgの据え置きである点は気がかりだ。加えて前走は4角での手ごたえが今一つであり、そこから1か月でどこまで状態が戻っているのかも不透明である。
6歳の夏を迎え徐々にピークアウトしても不思議はでなく、前走・七夕賞である点と合わせて不安データにも該当する。川田騎手への乗り替わりもあって人気を集めるようなら、馬券的な妙味は薄そうだ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。

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