【小倉記念】種牡馬の3着内トップはディープインパクト 最年少優勝はナイスネイチャなど「記録」を振り返る

緒方きしん

小倉記念の「記録」(1986年以降),ⒸSPAIA

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昨年は母父ディープインパクト3頭で決着

昨年は3着のジェラルディーナがその次走オールカマーを勝利。勢いそのままにエリザベス女王杯1着、有馬記念3着とブレイクした。勝ち馬マリアエレーナは後に大阪杯5着、2着ヒンドゥタイムズは小倉大賞典を勝利するなど、ハイレベルな一戦となった。

マリアエレーナはクロフネ産駒、ヒンドゥタイムズはハービンジャー産駒、ジェラルディーナはモーリス産駒と、父は全く異なるタイプだが、いずれも母父はディープインパクトだ。母父ディープインパクトは小倉記念で初めての3着内となったが、1年で一気に3頭増やしたことで、ノーザンテーストらに並んだ。

1986年以降の記録では、母父馬の3着内回数は、2位がトニービンの6回、1位はLyphardの8回。大種牡馬サンデーサイレンスの5回を上回っている。Lyphardは母父としても8回の3着内がある。しかし、3回はロサードによるものだ。父サンデーサイレンス、母ローザネイの良血馬ロサードは、2000年に小倉記念に初挑戦して3着に敗れた。しかし、翌年にリベンジを果たすと、2002年5着を挟み2003年に同レース2勝目をあげた。同時期には父デインヒル、母父Lyphardのマヤノアブソルートが2001、2002年に連続で3着に入っている。

ちなみに父として3着内トップは9回という圧倒的な数字でディープインパクト。2位サンデーサイレンスの6回を大きく上回る。その9回のうち勝利は2回。サトノノブレス、クランモンタナと、いずれも母父トニービンの馬だった。


ナイスネイチャが初めて制覇した重賞

ブロンズコレクターとして知られるナイスネイチャ。今年5月30日に35歳でこの世を去ったが、世代を超えてファンに愛された類稀な存在だった。そのナイスネイチャの重賞初制覇が小倉記念である。当時3歳(現在表記)だったナイスネイチャはヌエボトウショウ、イクノディクタスといった実力派古馬を相手に2馬身差の快勝劇を見せた。10月には京都新聞杯も勝利し、レオダーバンが制した菊花賞では4着と善戦。12月の鳴尾記念制覇を挟んで有馬記念で3着となり、これが「ブロンズコレクター」伝説の幕開けとなった。

最年少の3歳で制したナイスネイチャらとは逆に、最高齢で3着内に入った(1986年以降の記録)のは2003年3着馬グリーンブリッツ。なんと、9歳という大ベテランで、重賞では初の馬券圏内であった。上述のロサードが勝利した一戦で、エイシンスペンサーをハナ差で抑えた。グリーンブリッツは9歳になるまでの重賞戦績が11、10、18着と二桁着順ばかりだったが、9歳夏に北九州記念で5着になると、関屋記念6着、小倉記念3着と一気に重賞好走馬の仲間入りを果たした。

ちなみにグリーンブリッツが3着に入ったときの鞍上は、池添謙一騎手。池添騎手と小倉記念といえば、ドリームジャーニーと制した2008年だろう。

安田記念(10着)で初コンビとなった池添騎手とドリームジャーニー。続く小倉記念が2度目のタッグで、そこからラストランまで乗り替わることはなかった。そのコンビは2009年のグランプリ制覇、そして、全弟のオルフェーヴルとの伝説へとつながっていく。

今年も昨年のように、ここをステップに秋に大きな飛躍をとげる馬は現われるだろうか。注目したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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