【小倉記念】連覇狙うマリアエレーナが中心 血統的に好相性はカレンルシェルブル
勝木淳
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人気馬はそれなりに走り、そこそこ凡走する
関西圏は2週間の休止期間を経て、夏の小倉が幕をあける。2020年から開幕週に組まれるようになった小倉記念は、良馬場だと20年1:57.5、22年1:57.4とスピードトラックらしい高速決着が定番化した。夏の迷走台風の影響など、心配すべき点は多々あるものの、基本は速い時計に対応できる馬に利がある重賞だ。
今年は高速決着だった昨年、5馬身差で圧勝したマリアエレーナが出走予定で、まずはこの馬が中心になる。データは過去10年間のものを使用する。
サマー2000シリーズのハンデ重賞となれば、どのレースも混戦模様だが、小倉記念も例外ではない。1番人気【2-0-2-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、2番人気【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%、3番人気【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%と上位人気はそれなりに走り、そこそこ凡走する。6番人気が【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%、上位人気勢とほぼ互角で、10番人気以下【2-1-1-40】勝率4.5%、複勝率9.1%などゾーンは広く構えたい。
年齢別の成績は傾向がくっきりで、4歳【6-2-1-19】勝率21.4%、複勝率32.1%を中心に、5歳【3-5-3-24】勝率8.6%、複勝率31.4%、6歳【0-1-5-32】複勝率15.8%といった順番になる。7歳以上【1-0-1-28】勝率3.3%、複勝率6.7%は少し気にしつつも、基本は4歳からといった感じだ。高速決着への対応がカギを握るレースらしく、若い馬がいい。
特徴のあるデータに馬体重増減別成績がある。というのも真夏の小倉開催とあって、体調を判断する材料としてポイントになる。基本、長距離輸送になる小倉で、夏に体重が減っているのは、いいサインではない。馬体減【2-2-6-41】勝率3.9%、複勝率19.6%と3着が多く、あと一歩足りない。増減なし【2-1-1-21】勝率8.0%、複勝率16.0%、馬体増【6-7-3-42】勝率10.3%、複勝率27.6%。馬体増は勝ちきる傾向があるので、真夏の長距離輸送でも体を増やした馬の充実ぶりを味方につけよう。
好相性の鳴尾記念組
当日の馬体重までしっかりチェックして馬券を購入したいレースではあるが、それまでにある程度は絞っておきたいところだ。そこで前走レースから好走ゾーンを絞っていこう。
まず注目はサマーシリーズつながりの前走GⅢ【5-5-7-57】勝率6.8%、複勝率23.0%。内訳は鳴尾記念【3-0-1-3】勝率42.9%、複勝率57.1%、七夕賞【1-0-4-34】勝率2.6%、複勝率12.8%とシリーズ外の鳴尾記念が好成績で、七夕賞はちょっと苦しい。かつて七夕賞が福島開催最終週だった頃は、時計を要する馬場から高速馬場への転戦でつながりが薄いとされてきたが、七夕賞が2週目になってからも、相性の悪さは変わらない。
七夕賞の着順別内訳は、1着【0-0-2-1】複勝率66.7%、2~4着【0-0-0-8】、5着【0-0-1-4】複勝率20.0%、6~9着【1-0-0-10】勝率、複勝率9.1%、10着以下【0-0-1-11】複勝率8.3%と、なんともいえない分布だ。
ニュアンスとしては、ちょっと福島が合わなかったような馬が小倉で好走するイメージで、今年でいえば七夕賞8着エヒトより、9着カレンルシェルブルだろうか。同馬は母父がハーツクライだが、小倉記念は父ハーツクライ【1-1-1-5】、母父トニービン【2-0-1-3】とグレイソヴリンとの相性がいいレースで、そこを味方につけたい。
同じサマー2000シリーズの函館記念は【0-0-0-2】。札幌記念に向かう馬が多いなか、あえての小倉参戦はデータ上、いまのところは結果を出せていない。函館記念10着スカーフェイス(父ハーツクライ)などは気温の変化に対応できるだろうか。
一方、好相性の鳴尾記念からは、4着ワンダフルタウン、5着マリアエレーナが出走を予定している。ただ、前走鳴尾記念は1、2着【2-0-1-0】、10着以下【1-0-0-0】で4、5着馬の出走例がない。
今年の鳴尾記念は3番人気フェーングロッテンが主導権を握り、前後半1000m59.6-59.5とスキのない流れで、ラスト800m11.8-11.5-11.8-12.3。大阪杯以来の出走だったマリアエレーナは2番手から粘って0.2差5着と、内容は濃い。ワンダフルタウンは持久力勝負で最後に差してきており、前半が流れれば面白い。掲示板確保は3歳青葉賞以来で、復調気配を感じる。父ルーラーシップなので、父系にトニービン、グレイソヴリンの血が入っている。
特徴的なのは前走3勝クラス【4-1-2-16】勝率17.4%、複勝率30.4%だろう。それも前走3勝クラス1着【0-1-1-10】複勝率16.7%で、負けた馬の、いわゆる格上挑戦が決まるからちょっとややこしい。その間隔別成績は、前走1着馬も含め中3週以内【3-0-1-10】、中4~8週【1-0-0-5】、中9~24週【0-1-1-1】。夏の勢いそのままにという馬か、長く間隔をとって狙いすましてきたタイプがいい。登録馬の中ではアップデートとレヴェッツァが中3週以内に該当する。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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