【プロキオンS】人気上位のなかでも「持続力に長ける血脈」持ちに注目 有力馬の血統解説
坂上明大
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傾向解説
4年ぶりに中京ダ1400mを舞台に行われるプロキオンS。過去3年は、右回りの阪神競馬場や1700mの小倉競馬場という大きく条件が異なる舞台で行われてきましたが、今年は適性面を含めて再度狙い方を切り替える必要がありそうです。本記事では2019年以前の傾向を振り返りつつ、血統面を中心にプロキオンSで求められる適性を整理していきます。
まず最初にポイントとして挙げたいのは人気上位馬が強いということ。過去10年で中京ダ1400mで行われたのは2013~19年ですが、この7回では単勝オッズ5番人気以内の馬が2着以内を独占しています。日本のダート戦は小回りコースで行われることが多いため、先行力の重要度が高い傾向にありますが、中京のダートコースは直線距離が東京競馬場に次ぐ410.7mと長いため差し馬にも十分にチャンスのある舞台です。
さらに、ダ1400m以下のJRA重賞は1~2月の根岸S、7月のプロキオンS、12月のカペラSの3レースしかなく、GⅢというグレード以上に格の高いレースになりやすい傾向にもあります。小倉ダ1700mで行われた近2年よりも地力が重要であるという点は、非常に重要なポイントといえるでしょう。
<単勝人気別成績(2013~19年)>
1~5番人気【7-7-4-17】勝率20.0%/連対率40.0%/複勝率51.4%/単回収率111%/複回収率94%
6~10番人気【0-0-3-32】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率8.6%/単回収率0%/複回収率40%
11~16番人気【0-0-0-37】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
血統面ではSeattle Slew→A.P. Indy系に注目。先述の通り、中京競馬場のダートコースは東京競馬場に次ぐ長い直線が特徴ですが、コーナーはやや急という点もポイントです。
GⅠチャンピオンズCなどが行われる中距離戦は加減速が多く、機動力型に有利な舞台といえるのではないでしょうか。それに対してプロキオンSが行われるダ1400mは序盤からペースが速くなりやすいため、機動力よりもスピードの持続力が重要な資質となっています。Seattle Slew→A.P. Indy系はストライド走法でスピードの持続力に優れたライン。2013~19年のうち4頭の勝ち馬がSeattle Slewの血を内包しており、地力上位馬の中でも同血脈を持つ馬には特に注目したいところです。
<Seattle Slew内包馬(単勝5番人気以内/2013~19年)>
該当馬【4-2-3-1】勝率40.0%/連対率60.0%/複勝率90.0%/単回収率221%/複回収率165%
血統解説
・リメイク
母サリエルは芝ダ1200m戦で4勝のスプリンター。父ラニ(3代父A.P. Indy)は2016年ベルモントS3着などがあるダート中長距離馬でしたが、本馬は母譲りのスピードを強く受け継いだスピード馬として、2022年カペラSなどを制しています。とはいえ、1400mも得意距離の範囲内。海外帰りの分、体調面には要注意ですが、地力最上位であることは間違いないでしょう。
・タガノビューティー
スピード指向の強いヘニーヒューズ産駒ではありますが、本馬自身は母父スペシャルウィークの影響も強く、東京競馬場を得意とするストライド走法の持続力型マイラーです。機動力が求められる中京ダ中距離では差し遅ればかりですが、1400mなら本馬の持ち味も活きるのではないでしょうか。2015年1着ベストウォーリア、2018年2着インカンテーションが出た、かしわ記念からのローテーションも魅力です。
・ドンフランキー
母ウィーミスフランキーは米GⅠ・2勝馬で、ダイワメジャー産駒の本馬は馬体重600キロ弱の巨漢馬。1~2番手で揉まれない競馬がベストですが、マイペースなら1400m戦でも押し切れる底力は備えています。母母Starinthemeadowが強烈に北米のスピード血脈を刺激した配合形で、超大型馬ではあるもののスピードで押し切れる軽い馬場がベストでしょうか。当然、相手強化も課題のひとつです。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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