【プロキオンS】優勝馬の最高齢はブロードアピールの7歳 レコードタイムなど「記録」を振り返る
緒方きしん
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鋭い末脚で観衆を魅了したブロードアピール
過去にダートの名牝を送り出してきたプロキオンS。ゴールドティアラ、メイショウバトラーといった牝馬たちがここを制している。それに呼応するように、過去最高齢で制したのも牝馬である。
2001年の勝ち馬ブロードアピールは当時7歳。前年にゴールドティアラが勝利していたため、牝馬が連勝している。同馬の初勝利はダート1000m戦、2勝目はダート1200m戦と、現役時代にあげた9勝のうち8勝がダート戦だったが、ブロードアピールは芝で6勝をあげており、芝の実績馬だった。
デビューが現4歳9月と遅かったブロードアピールは、デビュー2戦目の札幌ダートで初勝利をあげてからしばらく芝レースに専念。デビュー4戦目からは芝で4連勝し、初の重賞挑戦となった京都牝馬特別でも3着と活躍した。翌年のシルクロードSではマイネルラヴ、トロットスターらを撃破し重賞初制覇。スプリンターズS4着など芝で結果を出していたが、ダートで2戦2勝という実績にも後押しされ、ダート重賞・根岸Sに挑戦した。そこで、4角14番手から上がり最速34.3(2位とは1.2秒差)の凄まじい末脚を披露し、2着エイシンサンルイスに1.1/4馬身差をつける劇的な勝利を収めた。
衝撃的な根岸S制覇の翌年、かきつばた記念を勝利して挑んだのが、プロキオンSだった。すでに7歳のベテラン牝馬だったが、単勝1.7倍の圧倒的1番人気。3角11番手から外を回して前の馬たちを飲み込み、直線半ばで先頭に立つと、2着のレイズスズランに5馬身差をつけてそのまま押し切った。7歳とは思えない、非常に強い内容だった。
ダートの名牝が送り出した数々の実績馬たち
プロキオンSを制した牝馬は、その多くが繁殖としても活躍している。ブロードアピールは祖母としてダービー馬ワグネリアンを輩出。現役でも子孫のマリアエレーナやミスフィガロが活躍中だ。ゴールドティアラはステファノス、2010年勝ち馬ケイアイガーベラはケイアイノーテックらを送り出した。
また、ケイアイガーベラは阪神ダート1400m時代のレコードホルダー。中央重賞は初挑戦だったが、逃げつつも上がり最速の末脚で2着のサマーウインドに4馬身差をつける快勝劇を見せた。
中京ダート1400mのレコードは、2018年にマテラスカイが出した1:20.3。鞍上の武豊騎手は、それまで阪神で同レース3勝をあげていたが、中京開催(重賞)でも結果を出した。また、2021、2022年は小倉開催となったが、2021年にメイショウカズサが記録した1:40.9は、ダート1700m3歳以上のJRAレコードタイでもある。
今年は中京に舞台を戻したプロキオンS。果たしてどのようなレースになるのだろうか。ダートの名牝サンビスタを母に持つジレトールらの走りに注目が集まる。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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