【2歳馬ジャッジ】ベルパッションは函館2歳チャンピオン候補 非凡な瞬発力とフットワークを評価
山崎エリカ
ⒸSPAIA
6月3週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は白毛一族のアマンテビアンコや函館2歳Sの有力馬になりそうなベルパッションなどが出た、6月17日、18日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
6月17日(土) 東京5R 優勝馬 ノヴァエクスプレス 指数-3 評価A
16番枠からやや出遅れたが、前に障害になる物はなく、徐々に進出して3角3番手の外までポジションを上げた。そこからは終始外を回りながら好位をキープ。これは見た目よりも苦しく、負担が大きい内容で最後に伸びないのが普通だ。しかし、最後の直線に向いても脚色は衰えることなく、持ったまま先頭に並びかけ、残り300m過ぎでかわした。そこから追い出されて苦しくなったのか、内に切れこんだが、そのまま後続を抑え込て2着に1馬身半差をつけて勝利した。
ラスト2Fは11秒3-11秒5。最後に急減速してもおかしくないレースぶりだったが、大きく減速していないことは高く評価できる。今回は全能力を出し切れたとは言えないレースぶりで、もっと潜在能力は高いはず。次走しっかり脚を溜めてどのくらい弾けるかで、能力を測れそうだ。
6月17日(土) 東京6R 優勝馬 アマンテビアンコ 指数-7(ダート) 評価A
祖母は白毛のシラユキヒメ。母も白毛の活躍馬ユキチャン。そして本馬も白毛馬として産まれた。白毛はしっかりと遺伝するようで、徐々にその数が増え、毛色だけで珍重されることも少なくなっている。競走能力の高さもしっかり見せてほしいものだ。
15番枠から五分のスタートを切ったが、そこから無理をせず、リズム重視で先団馬群の後方外を追走。3~4角からじわじわ進出し、直線序盤でさらに外に出された。しかし、前を行く馬たちの脚色が良く、なかなか落ちてこない。これは届かないかと思われる場面もあったが、最後までグングン伸びて勝利した。
ラスト2Fは12秒2-12秒4。ダートの新馬戦としては最後の減速度合が少ない。あのラスト1Fのスピード感が数字に出ている。4着以下は大きく離れており、この時期のダート新馬戦としては指数も良い。
アマンテビアンコの半姉ハイアムズビーチは芝で新馬勝ちしたあと、、ダートに路線転向して現在上昇中だが、アマンテビアンコはダートで新馬勝ち。姉とは逆に芝で本格化となるか、それともダートでそのまま上を目指すか、今後の成長曲線が楽しみだ。
6月18日(日) 東京5R ボルケーノ 指数-3 評価A
トップスタートを切って、そのままハナを主張。マイペースの緩やかな逃げで、外から2番手のコスモブッドレアが早めに上がってきたが、行きたがることなく折り合いが付いていた。最後の直線に向いても手応え抜群。最後まで脚色が衰えることなく、そのまま逃げ切った。
ラスト2Fは11秒5-11秒6とほぼ減速せずにゴール。5着以下には大きな差をつけており、強い内容だったと言える。この東京開催では堀宣行厩舎の所属馬3頭が新馬勝ちを決めているが、レース内容はボルケーノが一番良い。前週のダノンエアズロックよりも余裕を感じる走りで、次走以降も結果が残せそうだ。まるで香港の一流マイラーのように馬体が大きいのでケアが難しいところもありそうだが、今後が楽しみだ。
6月17日(土) 阪神5R 優勝馬 サトノフェニックス 指数-8(ダート) 評価A
6番枠からのスタート後に内にヨレ、そこからかなり押して好位の内を追走。スピードに乗ってからは抑えて追走するほど余裕があった。3~4角ではそのまま内を立ち回り、4角出口で中目に出されると、しっかりと長くいい脚を使った。ラスト1F標識過ぎで先頭に立つとそこからは独走。2着に4馬身、3着に7馬身差をつけて圧勝した。
ラスト2Fは12秒4-12秒5とほぼ減速せずにゴール。ダート新馬戦としてはかなり高い評価ができる。指数もこの時期の2歳ダート新馬戦としては優秀だ。
昨年の6月ダート新馬戦を勝利したオマツリオトコは、芝でもやれると確信できるほどに瞬発力を感じさせた。本馬は優秀であることは間違いないが、それよりは少々劣る印象。毎年のことだが、この時期のJRAダート新馬戦を勝利してしまうと、この後に適当なレースがなくなってしまう。今後の進路が興味深い馬だ。
6月18日(日) 阪神5R 優勝馬 レディントン 指数-2 評価B
やや出遅れたが、行きっぷり良く前との差を詰め、先団馬群の直後を追走した。前を壁にして折り合いを付け、好位の内を追走していたが、3~4角で外に誘導。4角ではかなり外を回ることになってしまったが、直線で追い出されると外からグングン伸び、前を一気に飲み込み勝利した。
ラスト2Fは11秒7-12秒0と減速。しかし、自身の上がり3Fタイム34秒6は、この新馬戦の他の出走馬たちと比較するとかなり速い。一見、相当なもののように思えるが、同日の古馬レースと比較すると目立つ数字ではない。やや出走馬の質が低めの新馬戦だったと推測される。それでも直線で外から見せた脚は光るものがあった。今後の成長に期待する。
6月17日(土) 函館5R 優勝馬 コルルディ 指数+1 評価B
7番枠から五分のスタートだったが、そこから気合をつけて先頭に立った。向正面では先頭列が雁行状態。3~4角では他の先行馬たちがバテ始めたが、本馬はしっかりと先頭をキープした。直線では後続を引き離すも、最後に一杯。後続馬に迫られたが、押し切って勝利した。
ラスト2Fは11秒6-12秒2。映像のまま最後は一杯になっての勝利。走破タイムの1分11秒0もかなり平凡だ。ただ3角手前から他の先行馬たちの勢いがなくなり、バテ比べの様相になったのは、強風が吹いていたからだと推測される。走破タイムが平凡であったことはこのレースを評価する上ではノーカウントで良い。
実質オーバーペースを逃げての勝利。走破タイムやラストの数字は確かに平凡だが、このタイプは次走で大きく前進することもある。評価はそれを見てからにすべきだろう。
6月17日(土) 函館6R 優勝馬 ゼルトザーム 指数-5(ダート) 評価B
ダ1000mの1番枠から出遅れ。この時点で厳しい戦いになることが推測された。ところが他の馬が内に切れ込んで来ず、最内からポジションを上げることに成功。結果的には最短距離を通るとても良いレース運びとなった。4角出口でスムーズに外に出されて直線で追われると、しっかり伸びて差し切った。
スタート直後は絶望的だったが、勝つ時は全てが上手くいくものだ。ラスト2Fは12秒1-12秒3。ダート新馬戦としてはなかなか良く、運だけではなく、実力もあることを示す数字だ。面白い存在になってくれそうだ。
6月18日(日) 函館5R 優勝馬 ベルパッション 指数-3 評価AA
7番枠からスタート後、内にヨレて出遅れたが、すぐに前に取りつくスピードを見せ、先団馬群の中目から前を射程圏に入れた。3~4角で包まれ、直線入り口では進路がなくピンチかと思われる瞬間もあったが、外に出して進路を確保すると、ラスト1Fから強烈な伸び。ゴーサインが出されてエンジンが点火した瞬間のフットワークの回転の上がり方は凄まじく、早めに抜け出したドレッドを最後に捕らえてゴールした。
3着馬には3馬身差を付けており、上位2頭はなかなか強そうだ。ラスト2Fは11秒7-11秒6と最後まで加速。かなり非凡な瞬発力があると評価できる。函館2歳Sでも十分に勝ち負けが期待できそうだ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ベルパッションの指数「-3」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.3秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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