【2歳馬ジャッジ】非凡な瞬発力が魅力的なヒヒーン 高額馬ダノンエアズロックは休養後の成長に期待

山崎エリカ

6月2週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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6月2週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は、奇抜な名前だが非凡な瞬発力を持つヒヒーンや、超高額馬ダノンエアズロックなどが出た、6月10日、11日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

6月10日(土) 東京5R 優勝馬 ゴンバデカーブース -2 評価B
8番枠から好スタート&好ダッシュですんなりハナを主張すると、そのままマイペースの逃げ。直線でも脚色は衰えることなく、後続馬の追撃を振り切って見事に勝利した。折り合いがスムーズで高い操作性を感じさせた。

芝1600mを逃げて勝利することは簡単ではなく、その点は評価できる。ただし、ラスト2Fは11秒4-11秒8と減速。また上がり3Fタイムの34秒7は、同日の3歳未勝利クラスと比較しても劣り、これも高い評価はできない。

走破タイムは1分34秒8。同日の3歳1勝クラスと比べて道中のペースがかなり緩んでいる点を考慮すると、そこまで悪くない。指数自体もそれなりのレベルにある。今回の新馬戦は数字面では高い評価をしにくいが、レースセンスの高さは光るものを感じた。新馬戦を逃げて勝利した馬は、2戦目で大きな変わり身を見せる馬も多いだけに期待したい。

6月11日(日) 東京5R 優勝馬 ダノンエアズロック 指数-3 評価A
半姉に重賞戦線で活躍したプリモシーンがいる良血馬。セレクトセールでは4億9,500万円という超高額で取引された。かなり期待されていたこともあり、単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された。レースは2番枠からトップスタートを切って、好ダッシュでハナへ。逃げそうな勢いだったが内から先手を主張してくる馬がいたので、それを行かせて2番手を追走。すっと折り合うセンスの良さを見せた。

1000m通過は60秒9。この日の馬場、2歳新馬戦ということを考えると、ペースは速い部類だ。逃げた馬はオーバーペースで最後の直線で失速。本馬は2番手から早め先頭に立ち、そのまま押し切る強い内容だった。

しかし、ラスト2Fは11秒6-12秒0と減速。上がり3Fタイムの35秒2も同日の3歳未勝利クラスの馬たちと比較した場合、高い評価はできない。走破タイムの1分48秒1は馬場状態を考慮すればなかなか良い。レース内容としては、札幌や函館の時計の掛かる馬場の新馬戦を、好タイムで勝った馬たちに似ていると言えるか。

当欄で何度も書いてきたことだが、こういう勝ち方をした馬で懸念されるのは疲労。本馬はラスト1Fの数字から余裕があったとは思えず、ある程度の疲労は懸念される。ただ、この時期にデビューできたため、このあと完全に休養させる時間はある。秋以降、できれば来年までしっかり休ませて、そこで大きな成長を見せてくれることを期待したい。

6月10日(土) 阪神5R 優勝馬 ヒヒーン 指数-4 評価AA
9番枠から五分のスタートだったが、内からハナを主張したカルミナブラーナを見ながら上がり、道中は2番手を追走。最後の直線ではそのカルミナブラーナを目標に動いて余裕のある走り。早め先頭に立ちラスト1F手前でゴーサインを出されると、多少苦しくなったのかフラつくところを見せたものの、さらに伸びて後続馬を完封した。

ラスト2Fは11秒2-11秒3とほぼ減速せず。2歳6月時点ではかなり優秀な数字と評価できる。また、走破タイムや道中の通過タイムなど、前週の阪神芝1600m新馬戦を勝利したテラメリタとそっくりだ。

今回の馬場状態はテラメリタの新馬戦時よりも良かったので、走破タイムなど同等の評価ができない。だが、ラスト2Fの数字はヒヒーンの方が優秀だ。結局、同等の指数での勝利という評価になった。テラメリタは持久力、ヒヒーンは瞬発力が非凡。ともに須貝尚介厩舎の馬だが、このあとどのような成長曲線になっていくか興味深い。

6月11日(日) 阪神5R 優勝馬 ミルテンベルク 指数-6 評価A
2番枠から抜群のスタートを決めたが、コントロールして2番手からの競馬。馬場がタフだったためか、芝1200mの新馬戦なのに早々にバテる馬が多数出てきて、最後の直線入り口では隊列がバラけた。本馬は楽に先頭に並びかけ、追われてから強烈に伸びるというわけではなかったが、2着馬に3馬身差をつけて楽勝。3着馬には10馬身差をつけての好指数勝ちを決めた。

馬場状態が悪く、ラスト2Fは11秒5-12秒0とさすがに減速したが、自身の上がり3Fタイムの35秒1はこの日の馬場としては優秀。同日8レースの古馬1勝クラスで、今春のオークス2着に相当する指数で勝利した3歳牝馬マスクトディーヴァが、上がり3Fタイム34秒6を記録。これにはかなり差をつけられたが、同日の古馬を含めて3位タイとなる上がり3Fタイムを記録したことは評価できる。かなりの活躍が期待できそうだ。

6月10日(土) 函館5R 優勝馬 スカイキャンバス 指数-4 評価A
8番枠から好スタート&好ダッシュでハナを主張し、しっかり息を入れながらもキビキビとした走りを見せた。4角で後続が捲って来たが、それに抵抗してペースアップ。そこからじわじわ後続を離して2馬身半差の快勝。なかなか良い指数で強かった。ラスト2Fは11秒1-11秒6。見た目ほどは余裕がなかったのかもしれないが、ゴールを過ぎたあとの走りから、距離はもっと延びても問題ないように感じた。

上がり3Fタイムの34秒2はこの日の函館芝では古馬を含めて最速タイ。この点はかなり高く評価できる。なかなか楽しみな馬が出てきたなと血統欄を見てみると、母はアポロフィオリーナ。少々時間がかかったが、思い出すとあっと驚かされた。

昨年の2歳ダート新馬戦で驚異の高指数勝ちを決めたヤマニンウルスは、しっかり疲れをとって今年の復帰初戦も圧勝、日本ダート路線で最大の台風の目と言える馬だ。その母はヤマニンパピオネ。2010年の新馬戦で3着以下に大差をつけ、同期のロードカナロアと同等の、かなりの高指数勝ちをした馬だった。

指数上の話だが、ヤマニンパピオネが勝利した新馬戦は「伝説の新馬戦」と言ってもいいものだった。そこで差のない2着となったのがアポロフィオリーナだ。ヤマニンパピオネと同じで新馬戦を高指数で激走したダメージは大きく、その後順調に使うことができず、故障しがちで大成できなかった。

新馬戦で見せたスピード能力が遺伝するようなら、かなりの大物が出るのではないかと以前から期待していた。ヤマニンウルスは母の高い潜在能力を証明しつつある。スカイキャンバスにも、母アポロフィオリーナの高い潜在能力を証明する走りを期待したい。

6月11日(日) 函館5R 優勝馬 ロータスワンド 指数-3 評価A
大外11番からトップスタートを切ってスピードに乗り、内に切れ込みながら楽にハナを主張。ラチ沿いをマイペースで逃げて最後の直線へ。展開的には外差しが優勢だったが、二枚腰を発揮し、見事に逃げ切り勝ちを決めた。

走破タイムは1分10秒2。同日1レースの3歳未勝利・芝1200m戦の走破タイムが1分9秒2なので、数字上は平凡。しかし、函館芝は後半にかけて時計が掛かっていくのが恒例だ。なので走破タイムは悪くない。よって指数も悪くないものとなった。

きょうだいにビアンフェ、ブランボヌールと2頭も函館2歳S優勝馬がいる良血馬。新馬戦を逃げ切り勝ちした馬は、2戦目で大きく上昇するタイプも多いだけに、今後も要警戒だろう。

2023年6月2週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ヒヒーンの指数「-4」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.7秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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