【マーメイドS】ディープインパクトやステイゴールドの血は外せない 有力馬の血統解説
坂上明大
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傾向解説
2018~21年の4年連続で格上挑戦馬が優勝しているマーメイドS。ハンデ戦、内回り2000m、梅雨時季などが重なり、能力だけでなく適性や調子も非常に重要な一戦です。今年も多くの格下馬が登録してきており、週中には雨マークも。本記事では血統面を中心に、マーメイドSで求められる適性を整理していきます。
最初に取り上げたいポイントは中長距離実績。JRAの古馬混合の牝馬限定重賞で最も長い距離を走るのが、2200mのエリザベス女王杯、次点が2000mの愛知杯とマーメイドSです。さらに本レースは梅雨時季、かつ芝の張替え前の傷んだ馬場で行われるため、経験の少ない牝馬にとっては非常にタフな条件でレースが行われます。そのため、中長距離戦で好走している実績は重要で、特に芝2200m以上の上級条件での好走実績には大注目です。
<芝2200m以上での3着内経験馬(3勝クラス以上・過去10年)>
該当馬【3-4-2-16】勝率12.0%/連対率28.0%/複勝率36.0%/単回収率138%/複回収率114%
血統面でも芝中長距離路線を牽引する種牡馬たちが中心。その代表がステイゴールドでしょうか。特にステイゴールドは道悪適性が高いため、マーメイドSというレースは時季的にも絶好の舞台といえるでしょう。昨年も10番人気のウインマイティー(父ゴールドシップ)が勝利。近走の成績が悪くても特殊条件で一変する可能性があるため、今年もステイゴールド系の激走には注意が必要です。
また、同じく芝中長距離路線を代表する種牡馬ディープインパクトの血にも注目。2013年には7番人気のマルセリーナが勝利し、2018年にも10番人気のアンドリエッテが大激走。また、後継種牡馬であるキズナの産駒でも2021年1着馬シャムロックヒル(10番人気)が穴をあけており、今後もスタミナが求められる舞台では外せない名血といえるでしょう。
<血統別成績(過去10年)>
ステイゴールド【2-1-2-14】勝率10.5%/連対率15.8%/複勝率26.3%/単回収率151%/複回収率100%
ディープインパクト【3-4-1-16】勝率12.5%/連対率29.2%/複勝率33.3%/単回収率208%/複回収率145%
血統解説
・ビッグリボン
2017年菊花賞馬キセキの全妹。芝2200m以上での好走実績はありませんが、兄の実績からもスタミナ面での不安はなく、母父に本レースと相性の良いディープインパクトの血を持つ点も加点材料。1800mの前走ではポジションを取ることができなかっただけに、走り慣れた2000mに戻ってさらに高いパフォーマンスを見せてくれるでしょう。
・ウインマイティー
マーメイドSと相性の良いステイゴールド系ゴールドシップ産駒で、昨年は2年ぶりの勝利がこのレースという典型的な好走パターンでした。その後は勝利がないまま再びマーメイドSへ。今年は人気を集めそうなだけに馬券妙味は薄いですが、適性面については疑う余地がないでしょう。
・ビジン
人気薄で注目しているのが本馬。ディープインパクト系キズナ産駒という点は2021年1着馬シャムロックヒルと同じで、芝2500mの3勝クラスを勝ち上がっての臨戦過程も高評価。荒れ馬場も苦にすることがないため、馬場が渋ればさらに期待値が上がりそうです。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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