【マーメイドS】ビッグリボンなど前走重賞組は大不振 ポイントは条件戦組の見極め

勝木淳

2023年マーメイドSに関するデータ,ⒸSPAIA

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絞るなら年齢

前走1、2着馬【2-3-2-30】。このうちオープン・重賞組は【0-0-0-7】、下のクラスで走った馬が【2-3-2-23】。前走6着以下【3-3-5-57】と前走成績がまったくアテにならない。これがマーメイドSというレースだ。ほかの重賞とは明らかに異なるアプローチでないと的中にたどり着けない。直近3年の勝ち馬は7、10、10番人気。誰もが荒れる前提で予想を組み立てるので、穴っぽい馬が上位人気になるものだが、それでも人気薄が走る。

面白いもので、普段、堅い予想をする人がひねり出す穴はこのレースではイマイチで、穴ばかり買う人が得意な重賞だったりする。さあ、穴党のみなさん、出番です。データは過去10年分を使用する。

マーメイドSの人気別成績,ⒸSPAIA


気になる人気別の傾向から。1番人気【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%、2番人気【0-2-1-7】複勝率30.0%、3番人気【1-0-1-8】勝率10.0%、複勝率20.0%に対し、7番人気【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%、10番人気以下【3-3-1-52】勝率5.1%、複勝率11.9%。

5番人気以内2勝、6番人気以下8勝でどちらが上位人気か分からないような数字が並ぶ。穴っぽい馬が上位に推されるケースも目立つので、前売りオッズはよく観察してから検討をはじめよう。

マーメイドSの年齢別成績,ⒸSPAIA


大穴炸裂の傾向であっても、年齢別では4歳【4-4-3-36】勝率8.5%、複勝率23.4%、5歳【5-5-6-59】勝率6.7%、複勝率21.3%と主力世代中心でいい。少しでも絞れるデータは活用したいところだ。前年覇者ウインマイティーなどの6歳は【1-1-0-18】勝率5.0%、複勝率10.0%。連覇するにはどのぐらい活力があるかがカギを握る。


重賞組を狙うなら前走牡馬相手

いかにマーメイドSが特殊なのか。ここからは前走成績を中心にクセの強い傾向を探っていくことにする。

マーメイドSの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績では、前走重賞は【0-3-6-42】と勝利がない。最後の勝利は2011年フミノイマージンなので、干支ひと回り勝っていない。フミノイマージンは当時、5月に行われていた金鯱賞6着から巻き返した。

冒頭で書いたように、前走重賞好走馬(3着以内)の勝利はなく、最後は2002年のヤマカツスズランだ。同馬は前走ダートのプロキオンS2着で、当時のマーメイドSは7月に行われた。第1回から調べても、前走重賞好走馬の勝利はヤマカツスズランの一例しかなく、芝の重賞に限ると、04年勝ち馬アドマイヤグルーヴの前走金鯱賞(5月施行)5着が最高だ。

ビッグリボンの前走は福島牝馬S2着。同馬が勝てばヤマカツスズラン以来の記録になり、芝に限ると前走重賞最高着順を更新する。マーメイドSの歴史を変えられるだろうか。

マーメイドSの前走重賞での着順別成績,ⒸSPAIA


前走着順で見ても、前走重賞掲示板以内は【0-1-2-11】、6着以下【0-2-4-31】。それも5着が【0-0-2-2】なので、狙うなら5着以下がいい。とはいえ、データ上は連下級まで。古馬の重賞でこれほど前走重賞組が不振のレースはない。福島牝馬S5着ストーリア、京都記念6着ウインマイティーなどが候補だ。

もっとも、前走が牝馬限定重賞敗退馬の勝利は09年コスモプラチナ(前走は12月愛知杯16着)が最後。できれば、昨年2着マリアエレーナ(前走京都記念8着)のように牡馬相手だった馬がよく、そうなるとウインマイティーがいい。

マーメイドSの前走3勝クラスでの着順別成績,ⒸSPAIA


前走オープン・L【3-2-2-12】勝率15.8%、複勝率36.8%も悪くないが、注目は前走3勝クラス【7-3-1-49】勝率11.7%、複勝率18.3%の昇級初戦ないし、格上挑戦馬だ。端境期のレースらしく、格はもはや意味をなさない。しかも、前走3勝クラスの着順内訳は、1着【1-1-1-6】勝率11.1%、複勝率33.3%の昇級初戦馬より、前走3着【3-0-0-5】勝率、複勝率37.5%など3勝クラス負け組の格上挑戦が平気で好走するので、ややこしい。

皐月賞当日の最終レース・サンシャインSを勝ったビジンも悪くない。馬場状態が悪いなか、牡馬相手に芝2500m戦で2番手から押し切ったレース内容は明らかにスタミナ型であり、阪神開催3週目の馬場状態次第では狙える。

前走3勝クラスといっても大半は牝馬限定のパールSが該当する。しかし、同レースは20年を最後に施行がなく、これもマーメイドSの難易度をさらに上げた。その代わりに今年は牝馬限定3勝クラス、京都芝2000mのシドニーTが施行された。前走が同レースだったのがヒヅルジョウとランスオブアースの2頭。特にランスオブアースは前走4着【1-2-0-7】複勝率30.0%に該当するので注目だ。

こうなると前走2勝クラス【0-2-1-16】複勝率15.8%までチェックする。ここはさすがに1着【0-2-1-9】複勝率25.0%で勝った馬に限られる。今年はシンシアウィッシュが出走予定だが、前走2勝クラスの好走パターンは、前走京都芝2000m勝ち【0-1-0-1】か、急坂がある中京または中山【0-1-1-3】、着差0.1~0.2【0-2-1-0】。シンシアウィッシュと同じタイム差なしの勝利だと【0-0-0-5】。格上挑戦が強いというデータを根拠にシンシアウィッシュが人気になるようなら、疑ってもいい。

マーメイドSに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『ゴールドシップ伝説 愛さずにいられない反逆児』(星海社新書)に寄稿。



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