【ユニコーンS】好走候補はジャスパーバローズ! 面白いのは前走1勝クラス勝ちのブライアンセンス

勝木淳

2023年ユニコーンSに関するデータ,ⒸSPAIA

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現行条件は今年が最後

今年までは中央3歳ダート戦線はこれまで通り、ヒヤシンスS、昇竜S、伏竜S、端午Sと進み、青竜S、鳳雛SからこのユニコーンSへと流れる。このあとは大井のJDDと夏のレパードSにつながる。しかしこれも今年が最後だ。

来年は春の羽田盃、東京ダービーはダートグレードへ、JDDは秋のジャパンダートクラシックとして生まれ変わり、3歳ダート三冠路線ができる。ユニコーンSも東京ダービーの前哨戦になることが決定しており、それに伴い施行時期が変更される予定だ。

大きく変わる3歳ダート路線を楽しみにしつつも、当然、来年の三冠レースには出走できない現3歳世代の戦いにも注目したい。ユニコーンSの過去の勝ち馬はカネヒキリ、ノンコノユメ、ゴールドドリーム、ルヴァンスレーヴ、カフェファラオとGⅠ馬がズラリ。未来のダート界を背負うスターは、現行の日程で行われる最後のユニコーンSから誕生するのだろうか。データは過去10年分を使用する。

ユニコーンSの人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気の傾向から。1番人気【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%より3番人気【3-2-4-1】勝率30.0%、複勝率90.0%がいいという特徴はあるものの、3番人気以内8勝で基本は上位人気が手堅い。ほかでは7番人気【2-0-2-6】勝率20.0%、複勝率40.0%が目立つ。8、9番人気も2、3着が2回ずつあり、この辺りにホットスポットがある。

好走候補ジャスパーバローズの課題

今年の3歳はUAEダービーを勝ち、ケンタッキーダービーに出走したデルマソトガケ、UAEダービー3、4着コンティノアール、ペリエールなど海外遠征が活発だったのも特徴。今回はこのうちのペリエールが帰国初戦を迎える。大井所属でケンタッキーダービーに挑戦したマンダリンヒーローを含め、JDDに向けて海外遠征組が合流すれば、ますますハイレベルな争いを期待できる。

ユニコーンSの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


その前走海外組は【0-1-1-5】複勝率28.6%。3歳馬の海外遠征だけに帰国初戦はやや難しいか。好走2頭はいずれもUAEダービー6着以下に敗れた馬で、掲示板以内は【0-0-0-3】。サンプル数が少ないので根拠には乏しいが、ペリエールの状態面はしっかり確認したい。

一方、前走が地方だと【2-0-0-5】勝率、複勝率28.6%。2勝はいずれも兵庫CS2着馬だった。今年の1、2着ミトノオーとキリンジは次走JDDに出走予定。3着メイショウオーロラは関東オークスへ向かい、ここには4着サンライズジークが駒を進める。傾向からはやや外れるので、この馬も強気になれない。

ユニコーンSの前走レース別成績,ⒸSPAIA


そうなるとJRAのオープン・リステッド組を頼ることになる。冒頭で書いたように中央だとダートはここまでオープン・リステッドのみ組まれているので、当然、ここは注目だ。もっとも出走数が多い、5月に同条件で行われる青竜Sは【2-4-4-24】勝率5.9%、複勝率29.4%。ここも今年の勝ち馬ユティタムはJDDへ向かい、7着ラフエイジアンが出走予定。青竜S6着以下【0-0-0-8】は気になる。

今年のレースはラフエイジアンが自ら先手を奪い、序盤600m35.1、前後半800m47.6-48.2と総合力を問う流れになり、踏ん張れなかった。1~3着は先行型であり、7着はちょっと物足りない印象もある。この舞台2、1、1、7着で条件的には悪くないが、時計面で見劣る感じもする。

ジャスパーバローズらの鳳雛Sは【1-1-1-9】勝率8.3%、複勝率25.0%。その着順内訳は2~4着【1-1-1-4】、5着以下【0-0-0-4】なので、3着ジャスパーバローズは好走ゾーンに入る。鳳雛Sは前半1000m通過1.03.2のスローペース。最後600mは12.6-12.3-12.2と加速ラップを描いた。上がり最速タイ37.1を記録したジャスパーバローズは前半が速くなる1600m戦への対応がカギだろう。

ユニコーンSの前走1勝クラスの距離別成績,ⒸSPAIA


最後に前走1勝クラス【0-0-5-50】複勝率9.1%について。3着を10年で5頭も出しており、データを見ていく。距離別のデータでは、距離延長【0-0-1-23】、同距離【0-0-2-18】、距離短縮【0-0-2-9】と理想は1600m以上を経験した馬になる。同じ前走東京でもハードワイヤードよりブライアンセンスに注目だ。

ブライアンセンスの前走は前後半800m46.9-49.6のハイペース。5番手から上がり最速を記録し、2着に2馬身半差の快勝だった。母ヒラボクビジンの弟はダート重賞6勝のインカンテーション。東京ダート1600mは武蔵野S勝ち、フェブラリーS2、3着がある。このコースのハイペースに強かった。

ユニコーンSに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『ゴールドシップ伝説 愛さずにいられない反逆児』(星海社新書)に寄稿。



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