【鳴尾記念】Cアナライズはデータも血統も文句なしのソーヴァリアントを推奨 相手は展開次第で選びたい2頭

貴シンジ

鳴尾記念 前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

日本ダービーではソールオリエンスを推奨し1番人気2着。タスティエーラのD.レーン騎手が完璧な手綱捌きで、ソールオリエンスの追撃を交わしきった。

さて、今回は6月3日(土)に阪神競馬場で行われる鳴尾記念について、下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった16頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:GⅢ以下好走馬 vs GⅡ以上凡走馬

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


鳴尾記念は宝塚記念と大阪杯の間にある中距離重賞で、立ち位置が非常に難しい。3勝クラスを勝利してきた上がり馬や、GⅢで好走しここを目標に仕上げてくる馬、大阪杯や天皇賞(春)、中山記念で勝利することができず、宝塚記念を諦めてこちらへ照準を合わせてきた馬たちが入り乱れる。そういった理由もあり、過去にはGⅡに設定されていたこともあるし、毎年GⅢにしてはメンバーレベルが高くなる。

では果たして上がり馬やGⅢ好走馬、はたまたGⅡやGⅠで一歩及ばなかった馬のどちらを優先して選ぶのが良いのか。結論から言うとGⅡやGⅠで一歩及ばなかった馬である。どうしても馬柱が汚くなるので人気を落とす傾向にあるが、一流馬と戦ってきた経験はここでも活きる。

前走クラス別成績を見ると、条件戦【1-0-0-3】、OP・L【2-2-2-32】、GⅢ【1-4-2-31】、GⅡ【3-1-3-16】、GⅠ(海外含む)【3-3-3-10】となっている。前走GⅠ組に至っては勝率15.8%、複勝率47.4%、単勝回収率217%、複勝回収率112%と、どの数値をとっても抜群だ。

次いで優秀なのはGⅡ組で勝率13.0%、複勝率30.4%。不振なのはGⅢ組で勝率2.6%、複勝率18.4%しかない。このレースは順調度よりも戦ってきた相手を重視すべきレースと言える。上位人気が予想されるカラテやインダストリアにとっては割引となるデータだ。

【前走GⅠorGⅡの出走予定馬】
・グラティアス
・サトノルークス
・ソーヴァリアント
・ヒンドゥタイムズ
・フェーングロッテン
・ボッケリーニ
・マイネルファンロン
・マリアエレーナ
・ワンダフルタウン


前走不利データ:中山記念のソーヴァリアント

ソーヴァリアントの前走は中山記念9着。シュネルマイスター、スタニングローズ、ダノンザキッドなどGⅠ馬たちが顔を揃える豪華メンバーながら1番人気に推された。中山記念では馬体重が重要なファクターで、515キロ以上の馬の成績は【0-2-1-12】となっていた。

このデータを引き合いに出したのは、重い馬が中山記念で好走しないことを伝えたいわけではなく、ソーヴァリアント自身+12キロで過去最高馬体重、太め残りだったことを強調したいからだ。一度叩いた上積みはあるだろうし、しっかり身体を絞れば当然ここでも最上位の一頭。ぜひとも当日の馬体重と馬体には注目していただきたい。


血統解説:ソーヴァリアント、フェーングロッテン、マリアエレーナ

・ソーヴァリアント
日本での牝祖は祖母スーア。同馬は伊1000ギニー(GⅡ・芝8F)を勝利した実績馬だが、繁殖としても優秀。08年桜花賞3着馬で本馬の母であるソーマジックを輩出した。ソーマジックも優秀なスーアのDNAを受け継いでいて、20年エプソムC2着のソーグリッタリング(父ステイゴールド)、21年愛知杯勝ち馬マジックキャッスル(父ディープインパクト)、23年フローラS2着ソーダズリング(父ハーツクライ)などOP馬を多数輩出している。

本馬は父がオルフェーヴルなのでソーグリッタリングと3/4同血の間柄になるが、母がスピードタイプだったこともあり1600~2000mが主戦場となるタイプに出た。同レースはステイゴールド産駒と非常に相性の良いレースで、【2-1-2-3】複勝率62.5%と安定感があり、単勝回収率517%と妙味も十分。意外にもオルフェーヴル産駒の出走はないが、ドリームジャーニー産駒のヴェルトライゼンデが昨年このレースを制しているように、オルフェーヴル産駒にも適性がありそう。芝2000mの持ち時計もメンバー中2位、開幕週の高速決着にも対応可能だ。しかも阪神芝2000mはチャレンジCを連覇しており大得意。馬体さえ絞れていれば文句なしだろう。


ソーヴァリアントの血統表,ⒸSPAIA


・フェーングロッテン
日本での牝祖は3代母シンコウエンジェル。同馬の牝系は複数の枝から活躍馬を輩出していて、現代日本競馬においても重要なファミリーの一つと言える。中でも本馬の母ピクシーホロウの活躍は突出していて、競走馬としては3勝に終わったが、繁殖としては本馬の半兄で21年スプリンターズS勝ちのピクシーナイト(父モーリス)を輩出した。

本馬は父がスタミナ豊富なブラックタイドにかわったことで、距離が持つ中距離タイプに出た。しかし、母が逃げを信条としたスピードタイプだっただことで脚質は先行して粘り切るタイプに。今回は同型不在で楽に先手を取れそうだが、あまり高速決着になりすぎるようだと厳しい。自分のペースで楽に運び、直線で後続を引き付ける逃げが打てれば。

フェーングロッテンの血統表,ⒸSPAIA


・マリアエレーナ
日本での牝祖は3代母ブロードアピール。同馬の牝系は7代母のHillbrookという馬から一気にファミリーが広がった経緯があるが、多岐にわたるので6代母のWater Cressから見ていく。

このWater Cressの牝系は本馬の5代母Alluring Girlとその半妹Colonial Watersからファミリーが広がる。Colonial Watersは競走馬としても優秀で、ジョンAモリスH(GⅠ・ダート9F)勝ちでその他にもGⅠで7度の2着。産駒のアワーミスレッグスは日本で繁殖生活を送っていて、その子孫からはフェブラリーSなどGⅠ級競走を3勝のサクセスブロッケン、地方交流重賞6勝のサクセスエナジーなどを輩出した。

対して本馬の5代母Alluring Girlは競走馬としては妹にかなわなかったが、現状牝祖としてはこちらに軍配が上がっている。孫世代にブロードアピールがいて、さらにその孫世代にダービー馬ワグネリアン、紫苑S3着のミスフィガロ、フェアリーS3着のテンダリーヴォイスらがいる。主に芝で活躍する産駒が多いのが特徴だ。どこかで一回、ディープインパクトが絡むことが多いのがその理由だろう。

本馬においても母父がディープインパクト。クロフネ産駒だが芝適性を持ち合わせた牝系で牝馬に出たとなれば、高速巡回能力の高い万能タイプも納得だ。小柄な馬で阪神の急坂がどうかも、スピード性能はメンバー随一。大阪杯や天皇賞(秋)でも差のない競馬ができているように、スピード勝負になれば芝2000mで持ち時計メンバー1位の本馬が台頭する。

マリアエレーナの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではソーヴァリアントを推奨

今回のCアナライズではソーヴァリアントを推奨する。阪神開幕週の高速決着にも対応可能でポジションも取れる馬。極端なバイアスがかかった馬場でも着実に競馬をまとめてくれるだろう。

唯一の懸念材料は仕上がり。前走が太め残りで仕上がりきってなかっただけに、今回は馬体が絞れるかがキーポイント。しっかり仕上がっていればまず勝ち負けになる。

相手として推奨したいのはフェーングロッテンとマリアエレーナ。注意していただきたいのは「同時に推奨するわけではない」ということ。フェーングロッテンが上手くスローペースを作り出し、瞬発力勝負に持っていけばマリアエレーナとしては厳しい展開になる。逆に時計勝負になるようなレースの動き出しが早い展開になれば、マリアエレーナが相手筆頭となる。どちらの展開でもソーヴァリアントは対応可能なので、ソーヴァリアントから2頭が同時に絡まないような馬券の組み方を推奨したい。

あと、穴で挙げるとすればアドマイヤハダルだ。この馬は長期休養明けを叩いた2走目である前走のレース内容が良かったし、阪神芝2000mは【2-0-0-0】と好相性だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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