【鳴尾記念】中心は前走重賞組のフェーングロッテン、カラテ、ソーヴァリアント! マリアエレーナとアドマイヤハダルも魅力あり
勝木淳
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上位人気拮抗、中心は4、5歳勢
東京の前身にあたる目黒記念と同じく、阪神競馬場がかつて鳴尾浜にあった鳴尾競馬場にルーツがあることを伝える鳴尾記念は、京都のグランドオープンを受け舞台が中京から阪神に戻ってきた。通常の4週開催になった今年、最終週の宝塚記念まで馬場状態も気になるところ。雨が多かった春を受け、今年の梅雨はどうなるだろうか。できれば週末の雨は勘弁してもらいたい。データは中京施行も含めた直近10年分を使用。中京と阪神の舞台の違いも頭に入れながら進めていく。
宝塚記念はファン投票で選出されるグランプリのため、前哨戦といっても鳴尾記念には優先出走権がない。GⅠ戦線真っ只中とあって、ここをステップにという馬は少なく、今年もその先を見据えた馬たちとベテラン勢中心のメンバー構成になり、その分、激戦必至だ。人気別の成績では1番人気【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%以下、4番人気以内7勝で複勝率も互角。5番人気以下は勝率こそ落ちるものの、複勝圏内に来る可能性は十分ある。10番人気以下【1-0-2-29】勝率3.1%、複勝率9.4%の好走は、20年10番人気1着パフォーマプロミスなどすべて阪神。今年は大穴も一考だ。
今週から3歳以上に施行条件が変更されるが、日本ダービー翌週とあって賞金を持った3歳中距離型の出走は極めて少ない。中心は4歳【2-3-4-7】勝率12.5%、複勝率56.3%、5歳【5-3-1-18】勝率18.5%、複勝率33.3%。ここに6歳【2-2-3-36】勝率4.7%、複勝率16.3%、7歳以上【1-2-2-30】勝率2.9%、複勝率14.3%のベテラン勢がどこまで迫るかといった図式だ。
夏に調子を上げるマリアエレーナ
今年もフェーングロッテン、ソーヴァリアント、マリアエレーナら4、5歳勢にカラテなどベテランがどこまで迫れるか。そんな勢力図が予想される。
では前走成績からパターンを導いてみよう。前走が国内GⅠだった馬は【3-2-3-10】勝率16.7%、複勝率44.4%。天皇賞(春)が【3-0-0-2】、ヴィクトリアマイル【0-2-0-0】だが、今年は不在。マリアエレーナなどが当てはまる大阪杯は【0-0-2-5】複勝率28.6%。中京だと【0-0-0-3】、阪神【0-0-2-2】。マリアエレーナは昨年、同舞台マーメイドS2着、小倉記念圧勝と夏場に調子を上げるタイプで、小回りのコーナーで加速する競馬は合う。
GⅠ以外の重賞組をまとめて着順別成績でみると、3着こそ【0-0-0-5】だが、掲示板以内だった馬は【2-2-1-17】。まずは重賞好走馬に目を向けると、カラテ、フェーングロッテンらが候補。カラテの新潟大賞典は不良馬場ながら、2、3着の差が8馬身もあったレース。中距離では積極的に運ぶカラテは決して道悪専用ではなく、ここも注目だ。4歳フェーングロッテンは今年重賞で逃げて3、2着と充実。昨年のラジオNIKKEI賞のような器用な立ち回りもできる。
一方、前走重賞で掲示板を外した組は6~9着【1-1-3-12】勝率5.9%、複勝率29.4%、10着以下【1-2-1-18】勝率4.5%、複勝率18.2%で大敗よりは9着以内が目安。これに該当するのがソーヴァリアントなど。同馬は同じ舞台チャレンジCを連覇しており、適性は申し分ない。順調に使えないだけに一戦必勝。ここも勝ちにくる。
最後に前走都大路S【1-2-1-19】について。中京だと【0-1-0-4】、阪神【1-1-1-15】。阪神の8年間でみると、9着以内【1-1-1-8】、10着以下【0-0-0-7】で2着アドマイヤハダルはチャンスだ。昨年の白富士Sはジャックドールの2着、中山記念はパンサラッサの3着という実績馬。長期休養明けを2度使われ、上向き気配だ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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