【青葉賞】前走1勝クラス、芝2200m以上に大注目 サンライズエース、ディライトバローズらに好機
勝木淳
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中団優勢、好走条件はためて末脚を生かせること
牡馬クラシック初戦・皐月賞はジオグリフの勝利に終わり、いよいよ春の集大成、日本ダービーへ話題は移る。
そのトライアルレースといえば青葉賞。舞台は同じ東京芝2400m。申し分ない設定ながら、なかなか本番に結びつかない難しい立場にある。今年は重賞実績がないメンバーが多く、文字通り日本ダービー出走権をかけた戦いが予想される。ここでは過去10年間のデータを使用。その傾向について探っていく。
人気別成績ではなんといっても1番人気【3-3-3-1】勝率30.0%、複勝率90.0%が目立つ。この10年で馬券圏外は13年外国産馬レッドレイヴン11着のみ。例年の傾向であれば、連軸に最適だ。一方、2番人気は【0-0-1-9】複勝率10.0%と不振。これは気になる。3番人気【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%と対抗評価が微妙なところ。それでも4番人気【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%、5番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と上位人気はそれなりの数字。以下7番人気までは好走が目立つ。
舞台の東京芝2400mは3歳春の成長途上には厳しいコース。位置取りをみると、逃げ【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%、先行【1-3-0-29】勝率3.0%、複勝率12.1%と開幕2週目であっても、スピード重視だと苦しく、権利狙いの強気な仕掛けは結果に結びつきにくい。中団【6-4-10-53】勝率8.2%、複勝率27.4%が優勢。この10年で3着はすべて中団から差してきた馬。ためを効かせられる馬を選びたい。ただし後方は【1-2-0-46】勝率2.0%、複勝率6.1%なので、直線一気は決まりにくい。
春も大詰めとなれば、ある程度キャリアを積んだ馬が優勢。キャリア2戦【0-0-3-7】複勝率30.0%に注意しつつ、好走はキャリア3~7戦にほぼ集中。なかでも4戦【5-1-3-25】勝率14.7%、複勝率26.5%、5戦【1-5-2-30】勝率2.6%、複勝率21.1%、6戦【2-2-1-20】勝率8.0%、複勝率20.0%あたりが好走ゾーンだ。
長めの距離経験が生きる
連軸向きの1番人気、中団待機優勢、キャリア4~6戦といった大枠をつかんだところで、ここからは前走成績に注目、さらに好走ゾーンを絞ってみたい。
前走重賞組も注目したいところだが、やはり前走1勝クラス【6-7-8-60】勝率7.4%、複勝率25.9%に目がいく。ここまで春前半の重賞実績こそ乏しくても、青葉賞で一発権利取りといったケースが多い。今年もそういった馬が多数参戦を予定しており、掘り下げてみたい。
前走1勝クラスの距離別成績を調べると、レース数が多い前走1800、2000mが【0-0-0-19】。明らかに皐月賞を目指した戦歴が距離延長で苦戦する。フリージア賞を勝ったジャスティンスカイはここに触れる。反対に2200m【3-5-4-24】勝率8.3%、複勝率33.3%、2400m【3-2-3-14】勝率13.6%、複勝率36.4%と早々にダービーを意識した長めの距離経験がいきる。
まず前走2200mについて競馬場別成績を出す。水仙賞を勝ったロードレゼルが当てはまる中山も【2-2-2-18】勝率8.3%、複勝率25.0%で悪くないが、中京が【1-3-2-6】勝率8.3%、複勝率50.0%と少数ながら良績集中。青葉賞と相性がいい大寒桜賞がこれに当たる。
今年は重馬場で行われ、ブラックブロッサムが8馬身差圧勝。同馬は京都新聞杯予定だが、2着サンライズエースは出走予定。大寒桜賞2着は【0-0-0-3】なので、今年は例年ほど好相性とはいえないか。同馬は上がりがかかってほしいタイプで、馬場状態や流れ次第で判断したい。青葉賞はスローでもレース上がり34秒台後半まで。道悪やバテ比べの展開なら。
次は前走2400mについて。レース別では阪神のアザレア賞【3-0-1-7】、ゆきやなぎ賞【0-2-0-4】が強力。今年はアザレア賞組が不在で、後者から2着ディライトバローズが出走予定。着順別だと1着【3-1-3-7】勝率21.4%、複勝率50.0%、2着【0-1-0-3】複勝率25.0%。1着馬がいればベストだったが、ディライトバローズにも警戒は必要。前走のような先行だと位置取り別成績では厳しいが、未勝利勝ちは差し切り。相手次第で控える可能性はある。
また同じ東京のゆりかもめ賞は【0-0-1-2】。1回東京のレースだけに間隔があくため、青葉賞直行は少ない。今年は同3着からグランシエロが出走予定。2歳時のアイビーSではドウデュースとタイム差なしの2着がある。父ハーツクライ、母の父ゾファニーは2歳短距離GⅠ勝ち。その父ダンシリの日本での活躍馬もフレッチア、ラルムドランジュと短距離型。父ハーツクライとの組み合わせで、お互い補い合うようなら面白い。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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