【弥生賞】2歳王者ドウデュースが中心! 可能性秘める逆転候補はリューベック

勝木淳

弥生賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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近年は混戦、思わぬ伏兵激走も

正式名称は報知杯弥生賞ディープインパクト記念。とにかく長い。しかし正式名がもっとも長いJRA重賞は、アイルランドトロフィー府中牝馬ステークスとスポーツニッポン賞ステイヤーズステークスの20文字。それでもTやSといった略称が使えない報知杯弥生賞ディープインパクト記念は、今世紀の英雄を冠したことも相まって存在感がある。

しかし、近年はレース名に反し、ちょっと存在価値が低くなりがちも、昨年はタイトルホルダーが皐月賞2着、菊花賞1着、シュネルマイスターはNHKマイルC1着と巻き返した。今年は昨年の最優秀2歳牡馬ドウデュースが参戦。2000mで好走し、春に向け、その存在感をさらに高めたい。ここでは過去10年間のデータを使い、傾向を調べていこう。


弥生賞過去10年人気別成績,ⒸSPAIA


かつては超がつくほど堅い決着が多かったレースだが、ここ10年は1番人気【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%。堅実と言えばそうだが、イメージほどではない。それでも前走GⅠだった1番人気は【1-2-1-1】。馬券圏外だったのは19年ニシノデイジー4着のみ。ドウデュースが3着以内に入る確率は高い。2番人気【3-2-2-3】勝率30.0%、複勝率70.0%、4番人気【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%など上位人気は高確率も、3番人気【0-1-2-7】複勝率30.0%はやや頼りなく、6、8、9番人気が勝利をあげるなど、近年はひと筋縄ではいかない。


弥生賞過去10年キャリア別成績,ⒸSPAIA


前走新馬のキャリア1戦は【0-1-0-7】複勝率12.5%とそこまで強くなく、ここは経験が問われる。キャリア2戦【2-2-1-12】勝率11.8%、複勝率29.4%から5戦【2-0-1-13】勝率12.5%、複勝率18.8%ぐらいまでが好走ライン。6戦だと【0-2-0-10】複勝率16.7%、7戦以上は【0-0-0-10】。


逆転候補はリューベック

ここからはキャリア2戦以上に焦点を当て、その好走パターンについて探りつつ、出走予定馬のなかに当てはまる馬がいるかどうか調べていこう。


弥生賞過去10年キャリア2戦以上組前走クラス別成績,ⒸSPAIA


近年は混戦模様といえども、さすがに前走未勝利は【0-0-0-9】。反面、前走GⅠも【2-3-7-5】勝率11.8%、複勝率70.6%と案外勝率が伸びない点には注意。それでも複勝率70.0%超なので、その取捨選択は重要。今年も朝日杯FS、ホープフルSどちらも当てはまる馬がいる。


弥生賞過去10年前走GⅠ組レース別成績,ⒸSPAIA


マイルの朝日杯FS組は【1-2-3-2】勝率12.5%、複勝率75.0%、同舞台のホープフルS【1-1-4-3】勝率11.1%、複勝率66.7%。だいたい互角だが、ホープフルS組は昨年ダノンザキッドが単勝1.3倍3着など安易に飛びつくのは禁物か。

朝日杯FS勝ち馬は【1-1-0-0】。16年リオンディーズ2着、18年ダノンプレミアム1着、いずれも1番人気。マイルからの距離延長が嫌われない限り、ドウデュース中心でよさそう。父はディープインパクトのひとつ上のライバル、ハーツクライ、母ダストアンドダイヤモンズは短距離型も、ドウデュースのきょうだいフラーレン、ロンズデーライトはダート中距離に良績。2000mをこなす可能性は高い。

ホープフルS組は4着以内だと【1-1-2-2】なので、3着だったラーグルフは買える。今年のホープフルS組は年明けから重賞ウイナーを多く送り出し、力量比較のための重要度が増すだけに、ラーグルフがどのぐらいやれるか注目したい。


弥生賞過去10年前走GⅢ組レース別成績,ⒸSPAIA


次に前走GⅢ【4-3-3-22】勝率12.5%、複勝率31.3%に注目。良績を集めるのは東京スポーツ杯2歳S【1-1-0-0】、きさらぎ賞【1-0-1-3】で、マテンロウレオ、メイショウゲキリンの連続好走は視野に入れたい。ジャスティンロックの京都2歳Sは【1-0-0-1】、ロジハービンの京成杯【0-0-2-8】。ややロジハービンは分が悪いか。

最後にサンプル数は少ないが、高確率の前走オープン・リステッド【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%について。好走はすべて若駒S【2-1-0-2】。同レースを勝つと【2-0-0-0】なので、リューベックも有力。4カ月半ぶりの実戦、馬体重18キロ増で勝利。ドウデュース逆転候補はラーグルフやマテンロウレオ、ジャスティンロックよりリューベックではないか。

また前例こそないが、ジュニアCを勝ったインダストリアもマイラータイプではない。父リオンディーズといえばダイヤモンドSを勝ったテーオーロイヤルを輩出。リオンディーズの現役時代といえば、このレース2着を含む3歳春までのたった5戦。真の距離適性はわからない。現代競馬の中心になりつつあるシーザリオ一族、むしろマイラータイプは少ない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


弥生賞インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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